7・私の愛の全て
前回までのあらすじ
こちらの世界には無い植物、
その花を持ち出してしまったTVニュースキャスターの小春。
次の現場に移動中、
魔物による未曾有の攻撃に巻き込まれ、
たった1人生き残り、
起こった惨事に精神を病み、
心の殻に閉じ籠もる彼女を
思念体となった愛里たちが救い出した時、
小春は愛里たちと会いたいと願ったが、
それは特大スクープの為かもしれなかった。
王宮の最も効率的な陥落計画を
更に精査しながら庭園の散策に出たノオミ。
ここにある物全てが興味深く学者としての興味を引き、
建物群の構造は見事で隙間が1つもない一体造形、
壁は地上世界の漆喰技術を遥かに凌駕する滑らかな壁。
触ってもゴツゴツした粗は一切感じない成形技術、
庭園周りは遊び心ある造形物の配置、
常に吹き出す水の量が計算され、
噴出時間もずらしてあり楽しさを醸し出す噴水。
その周りに幾つか置かれたベンチは
カップル用なのか屋根もあるが狭く、
外からは見えづらい装飾に囲まれ、
どこにでもあるランプは多種多様で、
地上にもある花を模した物、
愛らしい動物の形、
恐ろしげだが滑稽な悪魔のランプまでが
そこここの壁にあり、
「純エルフが作ったと言うしか無い壮大な庭園…だが、
装飾文様は確実に彼らの物では無い…
もっと幅広く万人受けするような
優しい感じに仕上がっている」
ノオミは次に植物たちを拡大鏡で観察し、
「ん~これは植物ではないな。
鱗のような物が細やかに覆っている…
一見植物だが実は蛇類?
細胞の様子を観察しないといけないが、
通常はあり得ない組成の違う物同士の合成種。
両立型生命体。
こんな物は私ですら作れない…
この咲き乱れている花も種子を飛ばす為ではなく、
薄暗い世界で少しの光も漏らさず
エネルギー変換するために進化した草の一部。
言うなれば口だな…
だがこの場所を照らし続けている魔法のエネルギーは
どこから湧いてきている?
この庭園がいつからあるのかは分からないが、
無限に湧き出すエネルギーなど無い。
どこかに管理者がいて炉に火を灯し続けてる…
それが魔王ならば教えを請いたいし良き隣人、
友達になれるかも。
クククク…だが敵なら、
こんな謎の科学力を持つ輩と戦って勝ち目は…
気の狂った老人の戯言も大変気になっている。
探索など眼中に無かった。
本来の目的は
ここへ籠もったように見せかける事だったのだからな…
危険度が高く誰もが二の足を踏む、
それだけの理由で選んだこの場所だったが
あまりにも面白く知れば知るほど学者の血が騒ぐ…
やはり魔法を放った爆心地へ向かい
造形物に与えた衝撃を調べる必要がある、
いや徹底的に調べて
私の力をもっと有利に出来るなら…
ここに居るのが少し所か、
当面ここになりそうだ。
クフ…
あぁ今思いついた。
その病人を攫って直接対面するかな?
ギャハハハハハハハハハハハハ」
狂った笑いが辺りにこだまし、
長い長い独り言を誰も聞く者もいない庭園。
ノオミはまだまだ喋り足りず
考察を重ねながら魔法を放った方向を目指すと、
シュルルーン…
ゴウンゴゥンゴゥンブゥウウウウン
ノオミの頭上数メートルに
動いているマシンと共に出現したトオビン。
「久しぶりだノオミ」
「お、来ましたね。
送った男はいかがでした?」
「お前の事は何一つ疑っていないよ?
でも答えならこれだ」
浮かんでいるトオビンが
暗がりの影から降りてくると、
「ほぅあの頃が戻りましたね。
上手くいって良かった」
しげしげと義理の父の容姿を見つめる娘。
「全てが漲っている!
マシンも完璧に動いているぞ。
規模は小さいがこのユニットを
次々と増やしていけばお前が望む大規模工場にで、
どこへ置く?」
「とても大事な機械。
誰の目にも触れ無さそうな…
あーあそこが良い。
あの屋敷屋上のテラスで」
トオビンが腕を揮うとマシンはゆっくり上昇していき、
地上からは見えない場所に隠されていった。
「それで魔王とは会えたか、
既に討伐してしまったかな?」
「いえまだまだ。
このダンジョンには大いなる秘密があり過ぎて、
今のところ危険とはほど遠い場所なのですが、
ほぼ何も探索出来てません。
それで丁度良かった付き合って下さい。
今から試験的に放った古代魔法の爆心地へ
調査に向かっているのです」
「ほぅ!
何の魔法だ!
わしも立ち会いたかったぞ」
「ダスト・エクスプロージョン」
「空気中の塵を発火させる古代魔法。
今からその中心地に?
これは楽しみだ。
規模、爆発範囲はどれくらいだった?」
「放った者が初めてで、
そこまで広くは有りませんでしたが、
あの辺りの空中で爆発し
嗅いだ事の無い残り香もありました」
「復活させた古代魔法には
現在の魔法と組成が違う事くらいしか分からぬ…
特別な配合が隠されている匂いか」
「はい。
それも解明出来ればと思ってます」
「しかしこのダンジョンん?
庭園の広さはなんだ…
ここはそもそも地下都市か何かか?」
「かもしれません…
上級貴族のための遊び場、
避暑地、
特別な催し物会場などがパッと思い付きますが、
実は魔法の秘密実験場ではないかと言う考えに至りました」
「となるとまだまだ我ら、
お前でも知らない力が眠ってる可能性も?」
「魔法はあなたの専門分野。
期待しておりますが、
王宮の状況はどんな感じですか?」
「ふふふ聞いてくれ、
奴ら国中の魔法使いを招聘して
城の周りを固めお前の攻撃に
今か今かと戦々恐々としている。
わしはお前の身内で監禁状態だったが、
今ならほんのちょっと突付くだけで
簡単に明け渡すかもしれんぞ?
それとこのダンジョンの地上からの出入り口を爆破し
封鎖しようとしてる。
なんと無駄な事を」
「扉を埋める?
そうですかそれは寧ろ歓迎です。
邪魔者が本当に入れなくなります。
当分怖がらせるだけ怖がらせて
滅びるのを待つのも楽しそうですね。
タヒんだ者たちは全部ホムンクルスに生まれ変わり、
偽の命だけの国が出来上がる。
ギャハハハハハハハハ
ギャアッハッハッハッハ」
義理の父はこの笑いにだけは絶えられず体を強張らせ、
いつの間にか自分の能力を軽々と超えて行った義理の娘は
もっと自由が欲しいと、
ノオミの悪魔の本質を見抜いており、
きつく厳しく当たっていた義理の母を、
父に取り入り離婚させ正当な財産分与権利も失効させ、
義理の娘との越えてはいけない線を越え、
その関係となった時から自分も狂い出したトオビン。
ノオミはずっと初め養子にした時から
余りある知性に隠れた狂気を隠していたことに
後々気付いたトオビンだったが、
ノオミの研究するホムンクルスには
萎びた細胞の再活性化、
若返る効用もあり、
永久の若さを続けられる事への渇望は
すぐにふたりの上下関係を逆転させ、
今彼らは普通の親子のように
穏やかに対応しているがそれは、
長い間2人が培った他人から見られても
関係性が破綻しない術、
見せかけだけの業務連絡と同じ。
そしてトオビンは長年のきつい城勤めからの開放と、
自分の老いからの開放を得て
ノオミから更に離れられなくなっていた。
「(ノオミ!……ん、あれは誰だ、
どっから湧いて出た……
しかもあの機械、
緑色の液体が幾つも揺れている…)」
キャンプへ向かう途中猫目は気づき、
身を隠しながら彼らの動向を監視すると、
奇妙な機械が高い場所に着地するのも見ていた。
「(多分奴ら、
爆心地の調査に向かってる。
やばいやばい危うく鉢合わせする所だったぜ。
急げ超特急でキャンプへ)」
ずっと寝ておらず
疲れ溜まり腹も減っている猫目のカジキ。
それでも気力を振り絞り音も立てず爆走して行く。
辺り一帯がえぐれたクレーターも、
魔法の破壊力が広範囲に及んだ痕跡は一切無く、
やっとその地点を探し出したふたり。
「ここが…」
「そうとしか思えません」
「小さなボヤかこれは」
トオビンが言う。
「はい。
でも私はたしかに見ました。
この辺りが真昼のように照らされた閃光と爆発を…」
丘状の公園にほんの少し焦げた箇所があり、
植え込みの草花の一部が破壊され
四方に飛び散っている残留物をノオミは
手に取り指でこすると、
パラパラと崩れ指の匂いを嗅いだ。
「ですが、
この草花の一部は蒸発したようです。
これは魔王に勝てる事を示唆してるとも言えます。
大収穫です」
「確かにそうだが
あと何倍の力が必要なのだ…
私たちの世界そのものが蒸発してしまうぞ、
このダンジョンはいったい…」
「危険な実験場に遊び心満載で作られた地下都市。
ちくはぐ過ぎるんです」
「古くからある場所に
誰かが別の物を構築した可能性は…」
トオビンは言う。
「無いでしょうね。
理由はこのダンジョンが一体造形だと思えるからです。
ここの全てが!」
「ファイヤー・ボール!」
「コールド・フリーズ!」
「グラウンド・ブレイカー!」
「プラズマ・アロー!」
ボン!
ボボン!
ドドーン!
ギシュッギシュッギシュッドグァーーン!
ノオミはいきなり低レベル魔法のスクロールを詠唱し、
魔法の数発を辺りの地面に打ち込んでいた。
「ど、どうした…」
「心配無用。
簡単なテストです。
基本エネルギーの魔法を4種放ちました。
フフフッ見て下さい。
奇跡が起こったようです」
「土魔法!ここの弱点は大地にあったか、
凄いぞノオミ」
土魔法のグラウンド・ブレイカーで炸裂した地面は抉れ、
数メートル下にある階下の構造物がが見えている。
「探索に下へ降りたくて堪らなくなってきました」
ノオミは亀裂の安全な位置取りをし、
ギリギリの場所から下を覗き込んでいる。
「わしも大いにそそられているぞ。
ホムンクルスを1つ貸してくれないか?
テストしたくて堪らないのだあの究極魔法を、
それも兼ねて下へ挑んでみたい」
「チルハナノビガク…
東の国から伝わったとされる
言葉の意味は誰も知らない究極魔法2つの内の1つ。
タヒぬかもしれませんし、
魔王と出会ってしまうかもですよ?」
「わしは科学者であり探求者。
今はお前のおかげで
若くあるから血気盛んに行きたいのじゃ。
だが中身はただの爺…
タヒがそこまで怖い物には思えないが、
魔王が出てきたら瞬間移動でパッ!
ククク」
トオビンは手をパッと閉じたり開いたりしている。
「わぁ私そっくり」
ノオミもクスッと笑い、
「あーでもせっかくお若くなられたのに、
言葉まで老人であるのはいかがなものかと。
昔のように若い女を侍らかしては?」
視線は階下から離れず話すノオミ。
「そんな馬鹿な事はもういい、
もういいのだ。
私はお前を見ていたいのだ。
私の愛の全てノオミ」
義理の父の真実。
「フフッ昔なら本当に嬉しい時もありましたよ?
クスクスクス…
ホムンクルスの製造には相当な日数を要し、
あの改良した新型生産機ならもっと賢いホムンクルスが作れる…
それでも成功率は88%…
上手く行くとも限らないが、
出来上がったらきちんと魔法を込めて貸与する。
それまで待て。
あと、
この開いた地面を造成し行き来できる階段を作っておいてくれ」
「あぁ大変失礼な事を口走ってしまいました…
つぃ…
通路ならすぐに」
シュルルン
トオビンは再びどこかへ瞬間移動し、
「…男はいつまでも…男。ギャハ」
親子ごっこを終わらせたノオミの厭らしい笑み。
「このダンジョンは
古くからあると言われているが文献の類はほぼ無い、
だから私はこれは違う世界から突然現れ、
我々の記憶に根ざそうとしてるのではとも考えている。
理由…理由は……
最深部まで探索すれば、
もっともっともっと面白いものが転がってるだろうな」
角度を変え階下を観察すると、
崩れ落ちた土塊の上に花が一輪落ちていた。
「…あぁ!」
それが目の前でフッと消滅してしまったのだ。
「消えた…
何故だ…
くぅうううう今はダメだ…
だがちょっと降りるくらいなら」
「シャイン・ライト&レビテーション*浮遊魔法」
好奇心に負けてしまったノオミ。
2つの魔法を唱えフワリフワリと降りて行くとそこは通路、
ただの廊下で左右の先は灯りもなく
暗く何も見えず、
壁に施された装飾が上とはまるで違っており、
「これはなんだ…」
消えた花と入れ替わったような、
さっきまで無かった小さな物体が現れている。
ノオミはそれに手で触れようとして躊躇し、
まず拡大鏡で観察し筆入れから筆を出し突付いてみると、
それは簡単に転がり危険は無いと手に取ったノオミ。
光に翳すと
手にピッタリと収まる透明なケースの中の液体が揺れ、
先端には小さく細やかに加工された金属のガードと
やはり小さな筒に溝が掘られた物がはめ込まれている。
「まさかこのダンジョンは
別の世界と別の世界同士が繋がる場所なのか?!」
それを握り、
あまりにも親指に密着する箇所をうっかり回してしまうと、
ガシュッ
それは100円ライター、
普通に使えば当然火が着く。
「火…これは、
金属火花による原始的な発火装置。
しかしこの手に収まる感覚は見事」
ガシュッーー
もう一度押し匂いを嗅ぐ、
「揮発性の液化ガス…
この道具のある世界に魔法は無いな多分…
まずこちらから叩くか?
いとも簡単に落城させられるかもしれんぞ」
ガシュッ ガシュッ ガシュッ
「だがどうやって行く…
なぜ花が消えこれが出て来た。
植物が鍵なのか?」
考えを巡らせながら何度もライターを着火するノオミ。
「いかん夢中になりすぎてる。
ここにはいつでも来れる。
製造機械の調整が先だ」
そろそろかと上に戻ると、
ふと見た境界の壁に扉があり、
その辺りには草花すら植えられていない、
何も無い空き地のような場所があるのを見ていた。
「んんんあれは…」
そこに黒いゴミの様な物を見て
向かって行くノオミ。
「ほうほほぅ。
ほほほほほーこれはなんという幸運。
直撃に近い熱で
ほぼ灰だが3人くらいはタヒんでるように思える…
この数なら1パーティは壊滅してるな」
腰のバッグから
蓋付きビーカーを出すノオミは、
小さなスプーンで彼らの黒い灰を集め
すくい入れていく。
「人の遺灰はかなり貴重だ…
お前たちの古代魔法を帯びた素材は無駄にはしない。
ホムンクルス溶液の配合に加えてみるとしよう…
ん?」
そして足元に誰かが、
ここから去る靴跡を見つけたノオミ。
「…あぁだが誰かは生き残った。
おそらく猫目のカジキ…
真相を知ったら怒り狂うだろうな。
クククッ」
▼場面は探索パーティーのキャンプへ飛ぶ
「お、帰って来たな、
なんか収穫はあったか…
あらガウは一緒じゃないのか?」
「あいつキヤンプ周辺に鳴子
(なるこ:触れると特有の音がする罠のような物)
作ってる。
危険を察知とか言いながら。
お前は寝てなかったのか?」
「うん…
ちょっと胸騒ぎがしてな」
「どうした?」
「後で話す」
「そうか、
ノオミ様は?
あとイーガン」
「錬金術師様は1人で良いと言いながら散策へ、
イーガンは自分のテントに籠もってせっせと毒薬作りかな?」
「イーガンの仲間も仮眠か?」
「いやなんか新種の植物を探し回ってるらしい。
2人はずっと居ない。
さぁヤモト茶だ飲め。
俺様特性の毒じゃない普通の美味い茶だ。
ガハハ」
ロッグスが差し出す
お茶のコップから湯気が立ち昇り、
受け取るコップを
フーフーと冷ましながらすすろうとする
ヤモトだったが、
「ところでロッグス。
小型手榴弾を数個、
俺とガウに分けておいてくれないか?」
飲むこと無く
テーブル代わりの石の上にコップを置いた。
「そうだなここは何があるか判らんからな、
俺らのテントにある今出すか?」
「あぁ俺も行くよ」
その様子をガウは少し先の木の上から見ていて、
焚き火の回りに居ないイーガンはきっとテントだろうと、
ショート・ボウを握りしめじっと監視している。
「じゃ聞こうかと言いたいが、
小石3個…」
「そうか、
ならお前らの荷物も持って行かないとな。
小型手榴弾は今は9個しか無い、3個ずつで」
ロッグスは顔色ひとつ変えず爆弾をより別け、
たすき掛けの専用ベルトに装着すると、
ヤモトに3個、
ガウの分を彼のバックパックに入れようとしたが、
ヤモトに入れるなと制されると、
「イーガンは敵」
まさかの一言を耳打ちされたが、
それにも反応は示さないロッグスは先にテントから出て、
すぐに続いて出てくるヤモト、
2人は身軽なままに
いつ飛び出てくるか判らないテントからの敵と、
自分の命を守る武器との間合いに全神経を注いでいて、
その緊張がありありと見て取れるガウは、
弓打ちの基本である呼吸法で、
ゆっくりと息をし、
次に長く息を止め、
矢の先をテント上方に向け、
正確なリードを取っている。
「それで悩みってなんだったの?」
「あぁ嫁さんが恋しい」
「やっぱこの仕事断れば良かったんじゃないの?」
「実はかなーり後悔してる」
「そそうか…」
「じゃガウの所へ行こうか」
「だな」
ガサッ!
イーガンがテントから出て来た。
2人と1人は目を見合い、
ガウは弓を放とうとした。
「小石3個か…
くだらない合言葉だ…
帰れるうちに帰ったほうがいいぞ…
あの人からは逃げられないだろうが仲間になら、
今ならなれると思うぞ?」
イーガンは両手を上げた状態で出て来ていて、
打てなくなったガウはずっと狙いを定めている。
「仲間?
仲間ならもう居る!
ノオミが魔法を放った事をなぜ俺たちに言わなかった!」
ヤモトが言う。
「いや違う詠唱したのは、
なんとマジックスクロールだぞ?
放ったのも俺。
それが誓約書みたいなもんだったからな」
「なんだとー
あれはお前が嘘だろ…
仲間ってノオミに丸め込まれたって事なのか」
ロッグスが言う。
「だから何度でも言うあの人には敵わない。
王宮魔法騎士団が総掛かりでも倒せない。
さっきの魔法は封印されていた古代魔法。
それをノオミ様が復活させたんだ。
究極の魔法も10の中にある。
このキャンプに居るんだぞ?」
「…俺たちが奴らの仲間に…
そんなの戯言を信じてるのか。
悪魔みたいな力の奴と普通の人間が…
無理だ。
目を覚ませイーガン!」
ヤモトが言う。
「仲間とか言いつつ
ホムンクルスの仲間入りとかなんだろ本当は…
御免だ。
帰ろうヤモト、
ガウも、
そしてお前、
イーガンも」
ロッグスは腕をクルクル回しながら上げると、
それは計画完了、
集合の合図。
ガウはやっと緊張の糸はほぐれたが、
速攻木から降りてこちらへ向かって来ている。
「俺はもう戻れない…」
地面に両膝、
両手は頭の後ろで組んだ完全降伏を見せるイーガン。
「何故だ。
まだ大丈夫だ帰ろう上に。
ここにノオミは居ない…
それにお前顔色が変だ」
ヤモトが言うイーガンの顔は
どこかドス黒くやつれて見える。
「友達じゃないかイーガン。
帰ろうぜー」
ロッグスがたしなめる。
「ダメなんだ…
仲間を1人殺した…
ダンジョンハンターの掟も、
人としての法も…
犯した」
グブッ!
イーガンは泣き出し口元から泡を吹き出した。
「おいお前まさか毒を!」
ロッグスは彼を支えようとし、
「…あっ?!」
ヤモトは視界の角に誰かが飛び込んで来るのを見て
ロッグスを引き止めた。
「お前の放った魔法で俺たちの大事な仲間が、
身内同然の奴が何人も死んだ。
だから俺が仇を討つ!!」
ギャアアアアアアア
毒で自殺を図ったイーガンだったが、
突然現れたカジキに腹を一文字に裂かれのたうち回り、
「まだ間に合う今ならノオミ様に忠誠をぉおおおお」
内蔵を垂れ流し絶命した。
「あぁああああカジキ!」
「お前!!」
「俺はイーガンの逃げようとしていた仲間から、
全部見ていた奴から顛末を聞いた。
次はノオミを殺る!…
だが無理だ…
だから頼む手を貸してくれ!」
カジキは地面にへばりつくように
懇願し咽び泣いている。
「話は後!
今はここから逃げる。
上に戻るんだ」
「どうやって?階段は…」
「カジキお前も一緒だ!
無限階段の罠はもう解けてる。
普通に戻れるんだ。
証明してくれた人が来てるんだよ!」
3人は来た道を走り出すと遅れて合流したガウは、
なんと生命維持装置を背負いホムンクルスを抱え、
それに驚いたロッグスはホムンクルスをもってやり、
ホースの破損が怖く歩き出し、
1番先を走るヤモトは背後の事を知らず、
ロッグスは途中で嫁に会うことを知らず、
ガウはこの先どうなるか検討も付かず、
カジキはずっと涙を溢れさせ走っている。
「コハコさーん」
ヤモトが呼ぶと、
「コハコ…さん?
うわぁああああああ~~ん奥さーん
奥さんが居る~」
ロッグスの驚く目が喜びに変わっていた。
「ダーリーーーン。
やっと会えた~
生きてて良かった怪我は、
五体満足か?」
「ハニーはなんともないかい?」
嫁は旦那と熱いハグを交わすと、
互いにお互いの全体を見て回るふたり。
「ぎゃあああああ、
おまおまお前らそれなんだそれはぁああああ」
ヤモトはそれがここにあるのに気づいた。
「気づいたら持って来てた」
ガウが言う。
「わしは手伝っただけ悪いのはガウ」
ロッグスの弁。
「なんでも良いよ。
だってこいつ凄いんでしょ?」
ガウの弁。
「俺たちに扱える訳ないだろー!
置いて行くぞー」
お怒りのヤモト。
「いや待て、
これは使える。
扱えるかどうかは別だが、
これで対等になれるとしたら…
ワンチャン」
冷静なカジキの一言に、
「くぅううう。
怖いんだよこれ、
究極の魔法爆弾だぞ?
何が起こるか…」
ヤモトの困り顔。
「も、もしかしてこれがノオミさんの?」
コハコが言う。
「わぁあああ見ないで奥さん。
目が汚れます!」
ロッグスが彼女の目を手で覆うが、
「あぁ…
これは人造生命体」
それを避ける嫁。
「うん。名前はテン」
ガウが言い、
「あぁもう良い今は先を急ごう!」
ため息を付き肩を下げるヤモト。
「あのさ俺さ猛烈に腹が減ってるんだ
なんか無いか?」
流れをぶったぎるカジキ。
「あるよーちょっと粘ってるかもだけど
大丈夫だと思う。
ほいほいほぃ」
喜んで弁当を差し出す嫁。
「おー硬パンの肉詰め。
頂きやす」
ガブガブと齧り付くカジキの犬歯は異様に発達している。
「わしも喰うぞー」
ロッグス。
「うわぁ粘ってる~
これくらいが美味いのよ」
ガウ。
「ワインも水もあるよ~
勝手に飲んでねぇ~
ダーリンには私が飲ませて・あ・げ・るぅ」
「皆さん逃げましょー
早く早めに行動をみなさーん!!」
必死で汗だくなヤモト。
「奥さ~んこんな危険所になんで来たの~
来ちゃだめでしょ~
もし何かあったらわしはぁあああ」
大粒の涙のロッグス。
「ダメだよ先に嘘ついたのはダーリンなんだからね?
もの凄い敵だって言うから
ビビってたけどなんか良い人ぽかったよ?」
コハコが言うと、
「な!」
「え?」
「まさか…」
「会った?」
皆凍っていた。
「会ったよ
そしたらとても親切に私のお腹に…
あっ!」
コハコは詳細を話そうとしたが、
「お腹…ってなに?!
ダメだそれはダメだ。
ほら立って逃げるとよ、
上に戻るとよ!
やばいよヤモト!!」
ロッグスは血相を変え嫁の手を引いた。
「だから言っただろ
逃げてる途中なんだって俺たちはー!」
ヤモトも堅パンを食べていたが
早々に走り出した。
「分かった。
分かったから~」
コハコはバックパックも置きっぱに、
そして彼らはまた走り階段を登って行くと、
「あぁあれは」
明るいランタンを持ち誰かが降りてくるのが見え、
「ここじゃ隠れられない…」
「静かに!」
剣を抜き身構える面々。
光はもうそこに…。
「あーなんだ戻って来てるでげすな。
ダンジョン探索隊の人たちでげすか?」
明るさのせいで顔はよく見えなかったが、
声はひからびた爺さんのようだった。
「です…ぁあんたは?」
ヤモトが聞く。
「ここがなもうすぐ扉どかんだから
こっそりお知らせに来たでげすよ」
ドワーフ爺さんが言い、
「そ、そうだったんだ。
でも誰に言われて?」
ガウが聞く。
「上にいる魔法使い、
足怪我したのいるでげしょ?
そいつに金もらってグヘヘ。
じゃー戻りますでげすよ
あーでももうちょっと銭っこ出してくれたら
徹底したサービスがお勧め。
どうするでげす?」
その言葉に出した武器を鞘に収めていく面々。
「ぬぅ。
ドワーフはほんと強欲だな…」
ガウが言うと、
「ドワーフの本質は素直に強欲ですから。
この爺さん普通のドワーフよ?」
的確なロッグス。
「まぁまぁここはお金でなんとかなるなら。
早く愛のお宿に帰りたいでえーす」
コハコが言うと、
「そうそう嫁ちゃんの言う通り~」
その手を取り握りしめる旦那。
「ぼそぼそぼそ」
爺さんがプランを説明している。
「壺と荷馬車?!
乗った。それ最高!」
ヤモトは早く落ち着きたくて小躍りしている。
「本当に後払いで良いんだな?」
カジキが聞いている。
「すでにたんまり貰ってるでげすそれに、
ドワーフが大変だって言うから来たでげす」
ドワーフ爺さんはドワーフたちに微笑み、
狭い階段を上がって行く彼らだった。
そして遂に地上へ出た3+1+1+0.5=4.5名?は、
ドワーフ爺が用意した巨大な壺に入れられ
荷馬車に乗せられるとキャンプ地のゲートへ運ばれたが、
「止まれーはいどうどうどう…
いい子だいい子だ」
詰め所の兵士に馬を宥められ、
止められていた。
「あ、こりゃどうも衛兵さんお疲れ様でげす。
中身はこれでげす」
ドワーフ爺は中身のリストと許可証も提示していた。
「あぁ肥…」
鼻をつまんだ兵士。
「すっごいですあんたらの。
開けて見ます?」
爺さんは率先して外へ出て
巨大な壺のきつく閉じられた蓋をこじ開けようとしたが、
「あぁあああ、
いゃいい行っていい書類に問題は無い。
爺さんこそ肥溜め場まで気をつけてな」
さっさと行って欲しそうな邪険な態度。
「匂いだけでも嗅ぎません?
すっごいあんたらのー」
しつこい爺さんに、
「いらーん!
だが見ていかなくて良いのか?
見ものだぞーきっと」
あの扉を指す兵士。
「ハッパ?
んなもの、わしらドワーフ日常茶飯事でげす。
もっとでっかい爆破も見てきましたでげす」
「そうかそうだよな、
分かった。
気をつけろよこぼすんじゃないぞー
俺らのすっごいの
ハッハッハッ」
自分で受けてる兵士だったが、
「はい次の人ー身分証を拝見。
あーあんた出て行っていいの、
ここに留守番の命令は?」
荷馬車に同乗している魔法使いに聞いていた。
「見てくれ…
それに治療を終えたらどうなるかは判らんが、
戻ってくる予定ではいる」
汚れてしまった包帯から血が滲み、
患部が黒く変色してるのが分かる。
「あぁこりゃ酷い…
キャンプにはろくな医療設備が無い、
許可は俺が出しておくよ。
じゃお2人とも行ってらっしゃい。
これ以上臭くならないようお大事に。
ワッハッハッハ」
1人で大受けしている兵士だった。
そして荷馬車に揺られ数時間、
肥の浄化槽施設に来るとさっきまで居た山に爆発が起こり、
ガラガラと土塊が崩れる音がしていた。
「お前ら大丈夫でげす?」
「タヒんでくれるなよー
幾ら空壺だとは言えそもそもが肥壺。
うっぷ」
手際よく蓋を外していく爺さんと魔法使い、
壺からぽんぽんぽんと勢いよく表に出た彼らは
深呼吸し天を拝み喜びを訴えている。
「くっっせえええええーーーー」
初めに飛び出たカジキ。
「神は見放さなかったーー」
ロッグス。
「ダーリーン目が見えないよー」
「それはいけないこうやって、ほら~」
固く閉じてる瞼を開けてあげる優しい旦那。
「あー目の前にダーリン…でもくちゃい」
コハコは鼻をつまんでパタパタ煽っている。
「ワ・タ・シ・ハ・モ・ウ・シ・ン・デ・イ・ル」
ガウは地面にぶっ倒れたまま動けない。
「どっちが地獄なのか考えた事も無かった。
壺だって言うから食物入れとか水入れだと思うだろ…
うわぁあああああここが天国か!
フガーフガー」
両手も鼻の穴も広げ息をしているヤモト。
そして爺さんはこれもサービスなのか、
屋根があり籐編みの丸い座布団が幾つか置かれた
休憩場のコンロスペースにお茶セットを用意すると、
「お茶にするでげすよ」
魔法使いが集められた小枝に火を唱えたが、
彼らの現状はただ臭く
落ち着いてお茶を飲めるような感じではなかった。
「じゃあたしたちだけで」
ズズッ
「ありがとう」
ズズズーごくり。
爺さんと魔法使いだけは
臭い彼らを気持ち遠巻きにしつつ茶をしばいているが、
「あぁじゃあ俺…
焚き木拾いに行ってくるぜ」
いきなりの事でちょっと居心地の悪いカジキは藪の中へ、
その背中を見るともなく見ているヤモト。
「ぶげぇえええええええええ」
言葉にならないガウ。
「それにしても
口で息してても匂ってくる…
ハァハァハァ」
藪にはいったが、
岩肌にもたれ後頭部を叩いているカジキ。
「生きることは糞をするが如く。
この匂いこそ生きてる証…
うげぇええ」
ヤモトは地面にうずくまって悶えている。
「服・が・体・が・全部!う・ん・こ~!!」
地面をバンバン叩きながらガウが言う。
「ダーリーン私の鼻はまだここにありますか~」
「あるよほら
こんなに可愛いお鼻というよりお花が」
「いつも褒めてくれて嬉しいです~」
「うんうんコハコさんは何があっても美しぃのです」
幸せ過ぎるふたりには
酷い匂いも逃げて行くようだったが、
「あの子は何も感じないの?」
ただ突っ立っているソレを見てコハコが呟く。
「人扱いはしちゃダメだよハニー…
こいつ恐ろしい生物兵器。
すごい危険な魔法が入ってるんだよ」
ロッグスが言うと、
「そうなの?」
頷く嫁。
「これが子供に見えるように作られていること自体が罠なんだ…
遠目になら誰でも安心するでも、
間近で見たらドン引きするけどさ」
ガウが言う。
「何を食べるの?
魔法…かな」
「あーいや、
何も判らないけど固形ではない流動食を
1日に1回?腹に開いた穴から流し込むらしい」
イーガンから聞いたことを話すと
最後の顔も思い出してしまったヤモト。
「直接胃に…口は無いの?」
コハコはテンに興味津々のようだ。
「あるにはあるが…
糸で縫われて…
目もだぞ?
さすがに酷い」
ヤモトが言うと、
仲間たちは皆テンを見ていた。
「あーあんたら落ち着いたでげすか?」
「うん」
ガウが爺さんを見て答えた。
「あんたらに起こった話をな
この人から聞いちまって一大事だろう?
だから長老にもなんとか伝えてみるでげす」
爺さんが言うと、
「どの区域の長老?」
コハコが聞く。
「トオノッグ区域の大長老様」
爺さんは答え、
「おぉ4大区域で1番でかい区。
幸運が訪れると信じよう。
そうかそれならワシらもあぁそれがいいぞ
コハコさんも」
「そうだなそうだそうしよう」
ロッグスとコハコは熱いお茶を注いでもらい、
互いにフーフーと冷ますとゆっくり飲みはじめた。
「本当か!
それはとてもありがたいでも、
何があっても先走らないでくれ。
動く時は綿密な連携が必要だ。
一撃必殺のような攻撃を多段階で繰り出さなければ
化け物学者には通用しない。
一瞬で命を絶つ算段が幾つもなければ」
焚き木をたくさん拾っていたカジキは爺さんにも、
皆にも思いを話し、
焚き木置き場に木々を放り込んだ。
「わしは夜の働き手なもんで、
もう帰らないといかんのでげす。
朝来る奴にわしの名で頼めば
行きたい所まで連れて行ってくれるはずでげす。
じゃーわしはそろそろ」
「あんた良い人で良かったよ」
見直すガウ。
「金は返さないよ?」
爺さんが言うと、
「約束は約束。
金は朝の奴、
そいつに払っとく。
ありがとう」
ヤモトが言い、
皆も会釈すると爺さんはまた荷馬車に乗り去って行った。
「じゃー次は俺だな?」
カジキがヤモトを前にして座り話し始めた。
ふたりの間の炎が燃え盛った。
「あぁ色々考えていた。
どうすればお前と一緒にやっていけるのか。
俺もお前の力を借りたいと思っている、
ノオミをどうにかしたいから
本来は手打だが
猫族は腹の底から信用出来ない。
落とし前…
お前の誠意を証明しろ」
「あぁ分かっている
あの件をまず心の底から詫びる。
すまない許してくれ。
お前が発見したお宝を
横から掻っ攫ったのは本当に悪いと思ってる。
そして誠意かどうかは判らんが
カタナの…
絶対に他人に渡したくない…
なんと言っていいのか判らん物を所持してる。
それをお前にやる」
「(カ…カタナ…ぐぉうぅ…)な、
内容による話を聞いてからだぁ」
ヤモトの弱点が露呈していると、
ガウもロッグスもニヤニヤしながら見ているが、
彼らの仲の悪さは知っているコハコは
静かに見守っている。
「あぁ一応言っておく、
ここに居る奴らは聞いててもいいのか?」
ヤモトが聞くと、
「あぁ構わない。
すまないが、
お前が思ってる物とは違うとだけ先に断っておく。
いいか?」
カジキは答えると、休憩所の角から…。
グガガガースピー
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*異界編:登場人物*
名前:ブレイン
種族:半エルフ
職業:魔術師
中より上のランカー魔法使い。
ダンジョン探索に必要な基本的な魔法は習得済みで、
近接戦士と相性が良い精神魔法に特化気味。
相手に少しでも脳があれば麻痺、
眠らせる、
操り、
困惑させる、
脳破壊などが行えるが、
4大元素破壊魔法はこれから覚えるが口癖。
====================
ブレインは寝てしまい微かなイビキをかいている。
「これを見ろ…」
カジキが見せる小さな折り畳まれた
ツルツルした紙の切れ端、
それが広げられるとそこに
カタナだと思われる武器を携え構える
初老男のとても精密な絵が、
まるで現実を写した様な物が描かれ、
誰かと決闘しようとしてる風に見え、
その周りに文字だと思われる記号が羅列されているが
誰も読めず理解不能だが、
その文字が確実に読める部分には、
【剣豪:ミヤモト・ムサシ。
その生涯と至宝の刀展:開催期間~】
と、書かれこれ以上は判別出来なかった。
「(うぎゃぅううううなんだこれは!)
こここれをどこで?」
震えるほど興奮してるヤモト。
「ダンジョンから唯一生還した爺さんが
ある日これを握りしめていたらしい。
それを関係者が俺に買ってくれないかと…
これが駄目なら俺は消える」
「(あぁしかし、
これはどこにあるかのヒントでもなんでも無い。
憧れが強くなるだけのマストだが謎過ぎアイテム!!
うぉおおおおお)
猫目のカジキ君。
僕と握手!
お前の誠意は証明された」
「あぁありがとうヤモト!」
ニカッと笑いカジキと手を取り合うヤモトは、
まるで子供が欲しがる玩具を
与えて貰ったかのように和解していた。
「おぉー」
コハコの声。
「ヤモトの目が実は笑ってないように見えるのは
わしだけ?」
ロッグスが言う。
「いやあれは
あまりに興奮しすぎて
頭逝っちゃってるだけでは?」
ガウが言い、
このふたりの戦闘スタイルはほぼ同じ、
カジキは湾曲短剣の二本持ち。
ヤモトはロングとショートソードの二本持ち、
どちらも闇に紛れ討つアサシンんスタイル。
敵を倒す武器の切れ味は常に最高の物を求め、
彼らはそれを刀に夢見ている。
キャンプに戻ってきたノオミ。
まっさきにイーガンがタヒんでいるのを見て、
「おぉ将軍、
将軍……
殺られるの早すぎ…
だが今日はテンに大盤振る舞い、
美味しい餌の日」
呟くと辺りを見回し、
「テンどこだ!
テン!
私の愛の全て!
テン…
うぉおおおおおおおおおおまさかあいつら!
私とした事が
まさかあんなに恐ろしいと脅したテンを、
甘かった!」
数個あるテントを狂ったように探し、
ついに連れ去られたと分かり怒りに目を見開き、
「殺してやる!
お前ら全員皆殺しだ!」
激怒し、
破壊魔法を乱れ撃ちし、
あらゆる方向で爆発する魔法たちだが、
天井に向けて打った幾つかの魔法の爆発は
天井近くの何かを浮き上がらせていた。
「なんだあれは…
ビッグ・シャインライト!」
強い明かりの魔法が
辺りを照らしながら空へゆっくり進んでいく、
ドーム状の天井の1番高い所に
やはり何かが浮かんでいると、
ノオミは視認していた。
つづく
*「」内のセリフが()の中の場合は心の声になります。
*『』この会話は思念波、テレパシーになります。
この物語は下記noteで先行掲載しています。
小説はこれしかありませんが他には
短い物語やパロディなど多々ありますので良かったらどうぞ。
note猫夢アトニマス
https://note.com/clear_swift8618
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