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「アウトランド:異界と女優と魔女と剣とホムンクルスと魔王」  作者: 猫夢アトニマス


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4/13

4・重なり合う世界…

「(……後続組は大丈夫だろうか…

同じ扉が出現している事を祈るしかないが、

この無限階段に飲み込まれ前人者も救援隊もタヒ亡?…だが、

何らかの痕跡を見つけるまでは、

まさかとは思うが生きてる可能性も捨てきれない…

ここから生還するにはある程度の謎を解いたあと、

自分たちで開拓した道をただ戻るだけだが、

唯一生き残った爺さんは

どこか別の出入り口を発見したのではと俺は推測している…

ダンジョンを知り尽くしている者だけが通れる隠し通路…

抜け道…そして俺は…)」

ギギ…ギィ…

 扉をほんの少し開け中を覗くとそこが途方もなく広く、

先に見える建物へのエントランスになってる事を知り、

「(あれは要塞!

兵士は…………違う御殿、

巨大な誰かのお屋敷だ…)」

 結局自分のパーティーメンバー2名とB部隊3名と合流出来ず

猫目はただ1人扉をくぐり、

ヤモトたちの場所とは違う所へ辿り着いたようだ。

「(………窓から漏れてる明かりも無い、

無人かもしれないが…1人探索は厳しすぎる……)ん?」

 そして気づく猫目。

「(あぁアハハハハハハハ

笑っちまうな俺が立派な遭難者……

これは限界まで調べて、

突破口を見つけるしか…)」

 押し殺す声で笑うと肩が揺れ、

先々にある生け垣や壁に身を潜めながら進む猫目。

暗視の世界は彩度の淡い色で構成され、

全てが明瞭にはっきりと見えている訳ではなく、

その世界を長年の感で突き進んで行くが、

「ここいらには一切の気配がない…

空気の流動も、

土の匂いも…

草木の匂い…」

 暗がりに咲く花たちの花弁を次々と香ってみるが、

「これも…これも、

これも何も香らない!

蝋燭の明かりだけユラユラ揺れているがきっとこれも幻影…

だがいったい誰がこんな大掛かりな世界を維持してる…

侵入者を拒む何者かが魔王?

もしそうなら決して悪ではない

自衛してるだけだろ?

この場所はいったい…」

 猫目はついさっきから隠れ歩くのを止め、

庭園の造形物をしっかりと観察しながら歩き、

目の前に屋敷の入口が見えてきていた。

「全てがタヒんでる世界。

屋敷の中だけ何かが蠢いてるとか勘弁してくれ…

こっちは1人…

とりあえず休める場所を探して

本物の火で休みたい…」

 入口の大きな扉を真正面に見据えつつ、

脇の壁を左回り伝いに歩き出す猫目。

窓の一つ一つに手で触れ動くかどうか見ていたが、

隙間に手を入れ力を加えてても微動だにしない窓たち。

「嘘だろ。全部嵌め殺し…これは…」

 ガンッ!

 猫目は何を思ったのかショーソードの柄でガラス自体を叩き、

破片を恐れ顔を覆ったが割れずしかも、

ガラスとは思えないボンッという跳ね返る感覚に、

「窓に見えるだけの…」

 急いで入口に戻り扉には

必ずある隙間にショーソードを入れてみたが、

刃はそこをなぞるだけで奥まで通らず、

「…こ…この建物も何もかもが偽の作り物?!」

 その時、

閃光が辺りを昼間のように照らすと

高い天井の作りがはっきりと見え、

「なんだあれは!」

 何かがそこに浮かんでいるのがはっきりと見えたが、

ドグワォオオオオオオオオン!

 凄まじい爆発の衝撃に襲われ、

「うぐぅぎゃあああああああーーー!!」

 爆発は屋敷のすぐ側で起こり猫目は吹き飛ばされ、

小さな小塔の壁に叩きつけられたが、

壁はまるでクッションにように衝撃を吸収し彼を守っていた。

「な、なんだ…何が…天井に…人?!」

 壁を滑り落ち受け身を取った彼は

もう一度それを見ようとしたが、

辺りは元の暗がりに戻り

暗視の力でも見ることは叶わなかった。

「まさかあれが魔王…ではなくても、

この謎の庭の重要な鍵…

くっそーイタタタタタタ。

手足は無事か?

折れてないか!

荷物は…」

 あちこち自分の体を触り調べたが怪我や異常は見当たらず、

跳ね返った壁をさすり拳できつく叩くと

ボヨンっと跳ね返りがあり、

「…この嘘の建物は魔法障壁を兼ねてるのか?

あの爆発でも損傷が無い…

これのお陰で助かった…

くそっ今のはなんだったんだとりあえず調査だ…」

 猫目はヨロヨロと立ち上がり埃を払うと

爆発の中心へ歩き出した。


 そこへ到着すると魔法特有の匂いがあたりに充満していて、

誰かの放った破壊魔法だとすぐ分かったが

カーブを描く外周の壁際に、

「あぁあそこに扉が!…ん?」

 無限階段から続く開け放たれたままの扉を発見したがその傍に、

黒い焼け焦げたような異物も発見し、

近づくごとに嫌な思いが頭を過ぎり足が重くなっていく。

「うぅっ…」

 …壁にへばり付いた布地、

テントの燃えカス…

破損したポット…

近くに明らかな焚き火の跡。

「…嘘だぁあああ!!」

 後続部隊の5人は爆発に飲まれ死んでいた。

猫目はあまりのショックに地面に四つん這いに倒れ、

その大きな目からボロボロと涙を流している。

彼は悪の心も有るが、

人の心もちゃんと持ち合わせている。

猫目のパーティーの1人は泳ぎが達者で、

素潜りなら誰にも負け知らずもう一人は山岳地帯に長け、

王宮一帯の山々の踏襲道を全てを把握。

彼らは陸、水、闇、全てに対応できる斥候部隊。

そして全滅してしまったBパーティーは近接戦士集団で、

大きく丸い盾を持つガーディアン1人、

巨大な両手剣を奮う屈強な剣士1人、

もう1人は槍の使い手。

猫目は彼らの顔を想いながら

炭と化した遺体の近くに光る物を見つけ、

「あぁあああ…えぐっえぐっ…」

嗚咽のままに拾うとそれは、

潜水士と呼ばれていた仲間のロケットペンダント。

かろうじて開くことができたチャームの中には

いつか見せられた彼の母の写真があり、

無念の悲しみが波の様に襲い来る。

「お前らとは短くとも長い運命を分けた仲間だった。

ここで死ぬのは不本意だろうが、

その魂の行き着く果てで安らかに眠れ…

お前らの名にかけて約束する。

もし今の爆発が敵の仕業ならそいつらを必ずぶっ殺す…

そしてここに戻って来る。待っていてくれ」

 両膝を付き空に祈る猫目、

しばらく動けずじっとしていたが、

遺体をこのままにしておくことは出来なかったが

どうする事もできず、

全てが終わったら拾いに来るとまた誓った。

「あ、あれ…ない、ないぞ」

 水を飲もうと腰にあるはずの水筒に手を伸ばすが、

さっきの爆発で無くしてしまったようで、

植物下の水路から水をすくい匂いを嗅ぎ、

「大丈夫かこれ……

そのうち自分の体で判る…」

 ガブガブと飲み顔を洗った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


▼場面は異界:爆発直後のキャンプに戻る。

「ほほぉここまで凄まじいとは…

この力がお前の手にもう一枚ある。

納得してくれたようで良かった。

それでいいんだそれで、

でだあとの奴らはどうだ?

仲間になりそうなの居るか?」

 ノオミが話聞くと、

「…そうか…その話しが聞けるのはとても幸運な事…

しかもそれが、

たまたま俺らだった…」

 イーガンは答えた。

「ん?あぁそうだ。

まぁそう言う事だが結果こうなって良かったと思っているぞ?

私がダンジョン攻略の護衛を、

ダンジョンハンターたちにとリクエストしたのは自然な流れだったが、

この国に山ほどいる野良の盗賊、

組織的な窃盗団、

暗躍するヤクザな奴らと簡単に交流するのが得意だろうと踏んでいたから…そいつらをお前に束ね纏め上げてもらいたい。

手駒にし時に伏兵とし、

私と敵対する奴らの牙城を叩いてほしいのだ」

 10(テン)の様子を逐一チェックしながら話すノオミ。

「確かに俺たちはその手の輩と通うじている、

そいつらの闇の商売で良い思いをした事も有る。

ふぅ~話が具体的になって来たな。

それで質問の答えだが癖のあるのが2人、

猫目とヤモト…

あとの連中は喜んであんたのお供に成りたいと願うだろう…

だが猫目は自分至上主義で金でも動かない。

城主にしてやると言っても、

あんたを倒して頂点の座を欲しがりそうだ。

ヤモトはどこか正義感ぶって

仲間とワイワイしてる甘ちゃんタイプ…

だが…

まぁ簡単な話しどっちも潰せばいい…

だがどうしても仲間を増やしたいなら

ここは猫目しか無い…

義理人情や信頼でしか動かないヤモトはそもそも…」

「そうか?

なら早々に2人共消し炭にしてしまおう。

でだここで手をこまねいている訳にもいかないのだ

時間が無いからなぁ。

1人外へ出て王宮との橋渡し役、

このメモを渡す。

こいつは私に刃向かえないからスパイ役にぴったりだ…

クククッ。

実験機材も揃えないとな~

時間はない~」

 ノオミは手下の2人に指を向け

どちらかを選ぶ仕草をし、

「お、俺に行けと?無限階段は…」

 指の止まった手下の一人が言うと、

「階段なら心配要らない、

上に登れと猫目の声がしたからただ戻ればいい。

私は耳が良いからなぁ」

 半エルフはそっと耳を撫で、

手下は1人階段へ駆けて行った。

「それでどうする、

帰って来るヤモトたちを待ち構えて撃つか?」

「…他の連中の行方も判らない、

今は仲間の振りでこの庭の秘密を探らせ、

こき使いたい腕は最高のパーティ。

何も指示しなくても勝手にいろいろやってくれるはず」

「ほほぅお前で本当に良かったイーガン。

こんな采配が待っているとは幸運の始まりだ。

今から将軍と呼ぼうか?

魔王の戦士で最高位の役職」

「呼び名はなんでも構いません魔王様…」

 イーガンはノオミの前で膝を付き、

王に対する従順を示す仕草で応えると、

ノオミすっくと立ち上がり、

彼が差し出す剣を抜きその肩に当て、

「私の名のもとに汝イーガンを我が魔王国の第一騎士、

将軍として任命する。

未来永劫を私に誓え。

褒美は王宮の城の全て丸ごとだ。

どうだ文句あるか?」

「私はあなたの純粋な悪に惹かれひれ伏しております。

なんでもあなたの意のままに使命をはたして見せます。

将軍の位ありがたく頂戴いたします」

「うむ…

フハハハ…

ギャハハハハハハハハハハハ!」

 ノオミの高笑い。

「お、おい目を覚ませ!

お前気でも触れたのか?

お前はまだ俺の知ってるイーガンだよな?

メディシンマンのリーダーだよな?!

魔王ごっこは止めてくれ!」

 2人の狂気を目の当たりにしたもう一人の手下、

苦楽を共にしたリーダーの今を案じ

ノオミを殺そうと小瓶の蓋を緩め毒液を、

液が飛び散る瞬間イーガンのロングソードは

その持つ手を弾き地面に転がる毒瓶、

毒々しい液体は地面に流れ染みが広がっていくが、

すぐに消えていく。

「貴様ーーーー!!」

 手下は即座に逃げたが、

目に狂気を宿したイーガンの袈裟斬りで絶命した。

「おぉおおおおおおお…仲間を殺した!

クフフッ…お前の本気見せて貰ったぞ。

お前も立派な魔王になれたな。

遺体は私が処理するからテントで休め…

決して見るなよ?」

 言われるままテントに入って行くイーガンと、

「ほらほら10ちょっとおいで~

久しぶりの…

ご馳走~美味そうだよぉ~

すごいだろう~」

 入れ替わりに外へ出される10に、

小さなヒソヒソ声を楽しむように、

この上ない満面の笑みで、

生命維持装置に折り畳まれている金属製の筒を伸ばし、

死んだ男の首後ろ下方から頭上に向かい

力を入れ押し込むと血が滲み、

スイッチが入れられた。

グチャグチャ…ガガガガ…グチャグチャ…グチュ

 脳髄の吸い取られる音が響き、

数種の栄養素と一緒に混ざリ合い

給餌カプセルは満タンになった。

「さぁ食べなさい…今日は特別だよ~

フフッ

……………イレイス!」

 ノオミは1枚のスクロールを唱え遺体を消し去ると、

10の胃に直接死んだ男の脳髄をベースにした

特別な餌を流し込んだそして数分後、

爆発で心配になったヤモトの連中が戻って来るのが

生け垣の向こうに見えていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


▼場面は現代戻る。

「逃げるぞ!ここからとっとと逃げるんだ」

 波多野は力強く言うが、

「どこへ?」

 栗山はいきなり冷静になったようにそっけなく答えた。

「どこでもいい!

ここに居たら色々大変だ俺たちも生き残った奴ら全員

マスゴミの標的にされ追い回され、

身動き取れなくなる!

特に愛里を守らなければこの世の終わりだ!」

「愛里ちゃんが終わる?

馬鹿言うなよ終わるわけ無いじゃん、

俺が付いてるんだ心配いらない…

何言ってんだこの人…」

「おぉお前ぇええ、

頭打ったとかが今頃響いてるのか?

今の見てただろう?

携帯はその携帯に証拠がそうだ。見せろ!」

「イテッ…そんな力ずく…」

 無理やりな波多野に怪訝な顔の栗山。

「んぁ…

ぁああ…

あぁああああああ…

肝心な所が消えとるがな…

アイラがなんかしてると思ったがこれか~」

「アイラ?

この光…

うわぁあなんか特撮映画なの?

すごいリアルカッコいい~」

 目をキラキラさせて見入る栗山。

「やばぃなこいつ頭がおかしくなっとる…

どこかへ逃げようにも、

足は今もあればだが…

ロケバスしか無い…

他の連中も気がかりだから

俺たちだけ居なくなるんも要らぬ詮索と、

捜査人員が増えるだけ…

おいAD本当に何も覚えて無いのか?

俺とお前しか証人が居ないかもなんだぞ?

俺の心の拠り所になってくれよ~

頼むよぉ。

こんな事誰にも相談できないぞ~

師匠はとっくにあの世だ…

ぁ…」

「ぁ?どうした、

なんか良い発見が?」

 キラキラした目のまま波多野を見る栗山。

「曾祖母さん!」

「ひーばーさん?」

「お前今から依り代になれ…」

 波多野の無茶振り。

「いいっすよぉ~でも、

のりしろ?」

 適当に返事する栗山。

「はいはいはいはい!

はいこの指を見て~

リラックスして~

あなたは今から無我の境地の桃源郷に向かいま~す。

そこはとても暖かく緑の多い場所で

見晴らしがよく花々も咲き乱れてますね~

ほら今あなたの鼻に蝶が止まりましたね~

見えますかーね?」

 栗山はより早く依り代になる為の催眠術をかけられたが、

波多野の心配は他所に波多野が印を切り文言を必死に唱えると、

「はい!」

 あっと言う間だった。

「こいつの頭がすっからかんで良かった。

邪気が無いんだ…

おばーちゃん居ますかー?」

「はいはいおりますよ~」

 声は栗山のままだ。

「で、どうしたらいいんですかー!!」

 波多野の必死の思い。

「愛里を守ってくれ、

それしかない」

「あんな奴らからどう守ればいいんですかー?!」

「…愛里の存在を奴らに気づかせてはいけない。

魔物が居る所に愛里は反応する!

魔物から愛里の居場所は判らないはず。

だから簡単に平たく言えば軟禁状態が望ましいのじゃその間、

愛里に魔法の基礎を徹底的に教育し…

頃合いを見計らいやっと魔物討伐へ…

だが教育係もおらんしなぁ、

愛里の心は事態を受け入れきれず破綻するかもしれん、

それが1番怖いんじゃ…

あとなお前よーく聞いておけよ?

簡単にさっきの出来事を説明すると

愛里はアイラを使役とし、

アイラはアイラで愛里を使役にしている…

アイラの世界とこちらの世界で同じ事が起こってると思ってくれ、

これの原理はあの魔物たちと同じだが、

奴らはまだ自分たちの重ねがけに成功しておらず

上手くいってない…

だから渦から鎖に囚われた少女たちしか居なかった。

もし魔物の本体もこの世界に出現し始めたら

途方もない力に…もし、

もしもそれが同時多発的に起こりでもしたら

愛里とアイラだけでは………

グググゥ…

グガガガガ」

「…それで…おばーちゃん?

おばーちゃ~ん~???

あぁあああああ終わったぁあああ~こんな時に…」

「グググガガガ…

ムニャムニャ~グガー

愛里ちゃ~ん!

スピースピー」

 栗山は寝てしまい夢の中。

「…あ、

あのあのあのぉ~

いったい何が起こったんですか?」

 愛里はずっと目覚めていたが

大慌ての波多野と栗山の会話をただ両方の顔を

交互に見つつ聞くだけで、

会話に入れなかったがやっと話せていた。

「い、今の栗山くんの話し聞いてましたか?」

「聞いてはいましたが

まるで頭に入りません…

ちんぷんかんぷん…」

「そ、そうですか…

少しも理解は?」

「ごめんなさい…」

「うむむむむぅ」

「このADさん大丈夫ですか、

寝てるだけなんですよね?」

「はい寝てるだけです。

こいつの事は一切お気になさらず…

証拠は状況証拠しか無いし…

どう説明してもきっと愛里さんには

理解し難いだろうと思います…

証明する術は私にはありません…

せめてこの栗山くんの記憶や携帯の録画があったら…

でも、

愛里さんはその時だけ覚醒すればいいのかも…

そうだ!

きっと何も知らないほうが…

いや待てよそしたら俺はただのストーカーになる?

遠くで見守るただのファンには成れない…

くっつき過ぎて犯罪者の烙印を押されでもしたら、

メディアへの復帰とかこの際どうでもいい!

世界を救えるのは愛里さんあなただけなんです!!と、

言うことを証明したいんですが…

どうしたらいいのか判りません…」

 スキンヘッドを抱え気の狂いそうな波多野。

「ムニャムニャ

*真帆の庭を探して*

ムニャムニャ」

 寝言の栗山。

「…あぁアイラが消える前に言ってた!」

 波多野は力強く手を叩いた。

「アイラさん?…

まほうのにわ?…

何かとんでもないことが起こったのは判ります…

すごく怖いですだから、

1から話してもらえないですか?」

「そそそそその言葉待ってました!

さぁここは危険ですロケバスに…

ロケバスはあるのか判らないけど…

あっち瓦礫の無い所へ移動しましょう。

話はその後で…おいAD愛里さんを守れ!」

「あっはい!

私はあなたの永遠の盾になります。

どこへでも付いて行きます。

さぁロケバスはあちら。

あれ?

ロケバスはどこだ…」

 愛里の名で急激に覚醒し、

目の覚める栗山。

愛里と近すぎる波多野を押しのけ中に割り込むと、

彼女をうやうやしくエスコートして行く。

「(…それでいい栗山くん!

君もこの事件の重要なファクター。

こんな依り代役そうそう居ない…

もう2-3発殴ってボケボケ頭にしておきたいくらいだ…)」

 3人は足元の危ない瓦礫を避けながら進んで行く。


 そして辺りは騒然と成り

警察やマスコミのヘリも数機飛び交い爆音が響き、

何台もの消防車、

パトカー、

救急車両、

幾つかある大手テレビ局の

ライブ通信用の車両のそれぞれから降りてくる

レポーターやカメラマンたち。

マスコミは黄色い境界線からは入って来れず

その辺りでベストポジションの取り合いをし、

その奥に無事だったロケバスは一時避難所のように、

生き残った者たちは全員そこに集められ

1人づつ救急隊員の検査を受け、

怪我をした者は簡易治療され、

1番酷かったのは栗山で肋骨は3本折れ、

全身打撲による赤黒い内出血の痕多数、

大小様々な傷が全身にあり後頭部の裂傷がとても酷く、

血は奇跡的に止まったようで彼は生きていたが、

ぼんやりとした目や身体反応の弱さは、

早々に救急車に乗せられ地元の病院へ向かうこととなった。

「栗山お前ー

そんな酷い怪我で愛の情念だけで動いてたのかよぉ~

泣いちゃうよ俺、

すぐ見舞いに行くからな待ってろよ~

今は愛里さんに全てを説明しないといけないんだ

付き添いたいが…

あとボケ野郎扱いしてすまん…

何事もなくすぐ退院が望ましい!

頑張ってくれー愛の戦士!」

 波多野は拝むように救急車を見送り、

そして彼も救急車に乗せられ移動となったが、

愛里と離されそうなのを

無理やり芸人司会者の1人と交代してもらい

飛び乗っていた。

「警察病院までどれくらいかかりますか?」

 波多野が聞いている。

「田舎ですけど離れてるんで

30分くらいかかるかな、

気分悪いとかならすぐ言ってくださいね」

 救急隊員は

クリップボードの書類に目を通しながら答えている。

「ありがとうございます。

愛里さん大丈夫?」

「…はい。

でもまだ目眩が少しあるかな?

目を瞑るとフラッシュバックみたいな光も…

あと今気づきました…」

 愛里はじっくり見ていた手の平を波多野に見せると、

真ん中に勾玉のような形のマークがぼんやりと刻まれていた。

「火傷?こっちは…」

 見せていたのは左手、

「はい…」

 右手には無く、

「痛みは?」

「ありません」

 愛里はそれをなぞっている。

「聖痕かもしれない…」

「せいこん?」

「特別な人にだけ現れる聖なる印…

もしく魔法弾の発射口…」

「魔法?!」

ジュッ!

「(キャッ!)」

「(ゲッ!!)」

 2人は声も出せず小さく跳ねてしまうと、

「どうかされました?」

 救急隊員がふいにこっちを見てきた。

「あ。いえなんでもないです」

「ご、ごめんなさい…」

 愛里が思わず念じた手の平に炎のイメージ。

すると超高温の細い炎が瞬間立ち登り

車の天井に極々小さな穴を開けてしまっていて、

「(危うい魔女…)」

 救急車を降りる際何気なくその穴に触る波多野だった。


 そして病院に到着しふたりは

それぞれ別々に検査されていき、

その時間の中で波多野は沸々と湧き上がる

恐ろしい懸念に身を縮こまらせていた。

「(愛里は魔女!

僕らが勝手に思う勧善懲悪は

エンタメの中の作り物…

今はまだ悪でも正義でもないただの能力の使い手…

女優の鼻も高くなり過ぎると傲慢に…

機嫌をそこないでもしたら

最悪もある両刃の力を持つ魔女…

アイラは?

アイラは自分の事を魔物ハンター?

だと言っていた。

彼女は組織だった何かに教育され

正義の自覚があるように思えた…

だが愛里は愛里には

正しく有るべき姿に導く教育係が必要…

ばーちゃんの言う通り…

でもそれを僕がぁああああ下手したら

炎で黒焦げで世界も終わる…

そして彼女こそが邪悪な魔王になりかねない…

だが絶対に彼女を、

彼女たちを守らければいけないんだ!)

栗山く~ん~

すぐ退院してくれ~

頼むぅうううう~~!!」

 長々と考察している波多野は、

想うあまり叫んでしまい

採血しようとしていた看護士を驚かせた。

「あー駄目!」

「イテ~~~看護士さん!

全身怪我だらけで

僕らより早めに救急車乗せられた

男性の栗山くんはどこに居ますかー?」

 太ももに針を挿されてしまった波多野は

痛くて飛び跳ねながら聞き、

「あぁああ動かないで危ないなぁまったく」

「すすいません…」

 平謝りの波多野。

「頭の怪我が酷かった人ですよね?

その人の検査ここじゃ出来ないから

都心に向かったはずです。

今度はじっとしていて下さいね」

 ふくよかな看護師は丁寧に採血していき一方、

愛里は視力検査を受け光の渦の話を話し、

視力には何も問題は無いが、

その光のせいで一時的な焼付け症状が網膜に現れているだけで

直に収まるだろうと言われていた。

「その光の話は警察にもしっかりと話して下さいね。

それもこの事故のヒントになるはずです」

「はい。

ありがとうございます」

 診察室から出て、

次の診察の指示を待っている愛里。

「(怖い!怖い!怖い…

なぜ私なの…

こんな印いらないよぉ…

夢でしょこれ夢なんだから覚めてよねぇお願い!

波多野さーん!

ADの人~!

誰でも良いから助けて~

ロケバスにマネージャーさん居なかった…

居なかったんだ。

怖くて怖くて聞けなかった。

だって、あそこに居ないって事は…?

怖いよぉおお!

助けて!助けて!助けて!!)」

 左手を庇うように握りうな垂れると

涙が溢れ止まらず泣き出すと、

彼女の体が少しずつほのかに発光していき、

人の少ない待合室でそれに気づいた子供は

興味津々で大きな丸い目、

隣で居眠りする母親を起こそうとしたが起きてくれず、

「ねぇねぇ…

おねーちゃん大丈夫?

なんか身体が光ってるね~

これ魔法なの?」

 背をさすってくれている女の子。

愛里はとっさの事に驚いたが、

その子を抱き寄せごめんね、

ありがとう。

ごめんねを繰り返し泣きじゃくり止まず、

「私ね悲しい時弟の顔を見るのよ?

ほらあそこで寝てるのが弟だよ?

顔見るとねにっこり笑ってくれるの。

それで元通りなの。

でも今はママと一緒に寝てるから、

私が笑ってあげる。ニーーッ」

 女の子は自分で

自分の口元の両方を指で押上げて笑う顔を見せ、

愛里は悲しいのに嬉しくて

半笑いのまま涙を拭うと、

「光ってたの私が?」

「うん。

おねーちゃん魔法使いでしょ?

今もすこーし光ってるよ?」

「今も?…

判らない魔法使いなのかな…

わ、私はどっちに見える?」

「どっちって?」

「ぁあ良い魔法使いか、

悪の…魔女」

「えぇ~

良い魔法使いにしか見えないよ~

エヘヘ」

「ありがとぅ…

ちょっとやってみるね。

成功したら内緒だよ?」

「うん!」

 ニコニコの女の子。

「(えぃ!)」

 救急車の中で起こした事を思い、

その何分の1以下を念じる愛里すると、

左手にパチパチと小さな青い火花が渦を巻いている。

「わぁああ~

魔法だ~

内緒の魔法だ~

わぁああああ」

 大はしゃぎで喜ぶ声に、

「あ、こら何やってるの戻って来なさい。

すいませーんうちの娘がー」

 目を覚ます女の子のママ。

「ママー今ね凄かったんだよー

内緒だから言わないけどね~

キラキラパチパチー」

「ぁれ?!」 

 愛里に頭を下げたママは相手の顔で見覚えがあるのか、

「あーこないだドラマで見た女優さんだー。

そうでしょ~

違うぅう?」

 母親に会釈する愛里、

そこへ波多野がやって来て

強面の風体に母親は大人しくなっていた。

「波多野さん全部話して下さい。

聞く準備が整いました…」

 真っ赤な目の愛里に

波多野は知る事の全てを話しそして数十分後、

「マホノニワ…

真帆と言う子のお庭?」

「何も判りません…

ですが普通に考えたらそうだとしか思えませんよね?」

「どうやって探せば?」

 2人は考えあぐねていると

生存者たちが次々に待合室に姿を現し、

波多野を見つけると一斉に、

「何が起こったんだ!」

 ロケバスでは衝撃が大きすぎて無口だった彼らは、

口々に意見を波多野に求め彼は彼で、

「お前らは、お前らは何も見なかったのか?」

 質問の応酬が始まり生存者はカメラマンと、

お笑いコンビの司会者3人、

栗山と波多野と愛里の7名。

「あ、あの私のマネージャーさんは…」

 意を決して聞いた愛里に、

「あぁ…彼女と、

ディレクターと女性ADさんは、

まだ行方不明…生きてる事を祈ろう…

Bちゃんは可愛そうだったね…」

 1番年長のカメラマンが答えていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 死者が4名も出た壮絶な現場に、

テレビレポーターたちは一斉にカメラを

倒壊した校舎の様子を捉え、

番組内でも急遽登場する災害の専門家、

戦争ジャーナリストまで登壇し

彼らの意見も喧々諤々と飛び交いはじめていた。

「いったいこのマンモス校に何が起こったと言うのでしょうか?

これはまるで戦争のはらわた、

心身をえぐる戦時下の破壊兵器で起きた惨事にしか見えません!

瓦礫と成り粉々に砕け散った校舎。

この衛星写真では3棟、

古くはありますが堅牢で

立派な校舎が今や全てがゴミと化しており…

どの情報網からも空からのミサイル、

爆撃機などが飛翔するといった事も報告されておらず、

地震の発生すら皆無で、

今はまだ謎に包まれております!

そしてこの惨事にお亡くなりになられた方が4名…

お名前は今テロップで、

出ますか?」

 女司会者はカメラ側にいるスタッフに聞くと、

はいと頭を振る誰かに納得し、

モニター画面には

死亡した者たちの名が年齢と共に映し出されている。

「…御冥福をお祈りすると共に…

生存者の方へのインタビューは

警察の取調べ後となり今は出来ない状態ですが…

何と言っても不可思議なのが、

ここの倒壊が爆発物によるとしたら、

火薬系爆発物の特有の硫黄の匂い、

炎で焦げた跡が一切無いのです。

熱源はなくただの衝撃波で破壊の限りを尽くされた。

とでも言えば良いのでしょうか?それでは一旦CMです…

滅多なことは言えません控えますが、

ここが新型兵器か何かの

秘密の実験場にされた可能性は…

熱源が無いのはもしかして超音波による音響兵器?!

…なんてSF映画」

 この司会者が「CMです」と言った後の言葉は

電波には乗っておらず、

それを当人も知りつつ独り言の初見を述べていた。 

「オッケーです。

3分あります~

簡易トイレはあちら~

御用の方はお急ぎを~」

 ADは声を張り上げている。

「誰がこんな戦争行為を…」

 本来ならNテレビの有名ニュース番組の

アンカーウーマンで

局内で収録のはずが、

この惨事の現場へ出向き解説に当たっていて、

遠くの瓦礫の先に防護服を着た専門班が

捜査に当たっているのが見えている。

「自衛隊や警察の科学班まで来て合同捜査らしい…

疫病などの症状は無いらしいから安心だが…

この現場まじやばいな…

地震が起こった形跡すら無いんだぞ?

いったい何が原因なんだ…」

 瓦礫の中にひっそりと建ち

完全倒壊を免れた一つの空間、

そこはあのトイレで、

そこがあまりに印象的で彼らは何も見逃すまいと

注意深く観察している。

「…取材途中だけどこの大事故?

きっとすぐ政府内で箝口令が敷かれて

マスコミにもシャットダウンのお達しが来るわ…

だからもっと確信に触れる人らを

先に捕まえて調べられない?

防衛大臣の実務官とか、

自衛隊の計画執行幹部とか…」

「そんな裏側カメラ入れない…

系列雑誌にでもネタ流す気か?それは頂けない案だよ」

「ギリギリの所で良いの調べてあいつの手向けに…」

「あぁそうか、

聞いてびっくりだ。

残念だったな同期なんだよな?」

 プロデューサーが言うと、

「うん。先週飲んだの同期連中と

その中に彼も居たし話した…

でも話してたオカルト番組のロケで

大事故に巻き込まれるなんて洒落にもならない…」

 死亡したディレクターは

同じ局内の部署は違うが現場仲間で、

悲しみに沈む彼ら。

「よし分かった。

上にかけあって誰か適当な人と

接触出来るように頼んでみる」

 そう答えると、

「あの~ちょっといいですかー?」

 呼ばれたスタッフに向かうプロデューサーすると、

女司会者は瓦礫の中に奇妙な物を見つけていた。

「なんだこれ?カメラさーんちょっと、これ撮ってー」

「はいはい…」

 辺りの瓦礫をどかしていき、

ボールペンでそれを突付く女司会者。

大きなTVカメラを肩に乗せ直し

女性司会者の動きを追うカメラマン。

「花?」

「なんだろうね造花かな~?」

「あ、茎から液体が!」

 TVワゴンに急いで戻り

ビニール袋を手に巻き付け戻ってきた女はそれを掴み、

そのままビニール袋を裏返すと根本を縛り、

「なんかね甘だるい香りがするの、

ほらこれ匂わない?…

海外からの輸入植物だろうけど、

なんでこんな生きてる物がタヒんだ場所に

しかもポツンと…」

 辺りは瓦礫だらけで、

同じ植物が生えている痕跡は無かった。

「そうですね~

変といえば変だけど鼻は良い方だけど、

私には何も香りませんねぇ。

それどうするんです?」

 袋から匂ってみたカメラマン。

「知り合いの学者に調べてもらうよ」

 植物はあの庭園の花。

それがこちらの世界に伸びて来たとでも言うのか、

そして女司会者が感じた匂いは

紛れもない魔法の残留痕。


 生き残った者たちは

憔悴した面持ちで適当な座席に座り、

警察の基本的な調書が済むときちんとした医師の下、

精密検査を受ける事となり2台の救急車、

パトカー1台に乗せられ今それぞれの車が動き出し、

色めき立つマスコミたちは被害者たちを我先にと追おうとしたが、

警察に止められていた。

「なんで止めるんですかー?」

「横暴だぞ公僕!」

「この事も含めニュースにしますからね~?」

「おいおい行っちまうぞー場所は教えてくれるんですよね?!」

 マスゴミたちの罵声や不満が飛び交っている。

「不平は後ほど全部記者会見で拾いますから。

今から説明しますー

この大事故は前代未聞で

今は何一つ掌握できておりません

そこでお集まりの皆様にはご不便をおかけしますが、

全員の検疫と清掃です!

あと現場からは何一つ持ち帰る事も厳禁です。

ポケットや車に押し込んだ物があれば

回ってくる係官に申告後、

提出してください。

皆様のご協力こそ時短に繋がります。

後日不正が発覚した場合は

上からきついお達しが届きます。

以上です」

 若い警官が大勢のマスコミ相手に、

途中途中でハウリングを起こ拡声器で話していた。

「やばいですよ…」

 カメラマンがこそりと聞いてきて、

「どうしよう…」

 女司会者はアレの事を考えあぐねていたら、

「何だどうした?」

 何も知らないプロデューサーが

様子がおかしいと聞いてきた。

「あ、いえ撮れ高の話です。

この近辺の住民に聞き込みに行こうかなって」

 冷や汗をかく女司会者。

「そんなの他の若手記者たち任せて、

検査が済み次第生存者の病院へ直行だ!」

 そして2時間、

2時間も瓦礫の山で待たされ彼らの番がやっと回って来て、

「申告するものは?」

 警官に聞かれ、

「何もありません…」

 女司会者は答え、

「本当ですか?」

 念を押され、

「はい」

 と答える彼女を警官は半分、

犯罪者を見るような目でジロジロ見ていたが、

「行っていいですよ」

 一応の書類にハンコを押すと

彼女たちテレビクルーを開放した。

「ありがとう」

 という女司会者、

彼女は何をどう思ったのか焦ったのか、

そのコメカミに拾った花を挿していた…。

====================

*現代編:主要登場人物*

名前:蜜米みつこめ 小春こはる

職業:Nテレビ局アナウンサー

年齢:28歳

 ニュース番組の人気アンカーウーマン。

取材で訪れた事件現場で拾った物が異界の植物で、

なんと魔法の残留痕も嗅ぎ分けていた。

====================

「ふぅ~やっと開放されたわね…

疲れちゃった…」

 小春はコメカミの花を抜き

ビニール袋に戻していると、

「急げ他の局より先に場所押さえないと行くぞ皆!

気合入れ直せよー」

 檄を飛ばすプロデューサー。

「ん?小春…お前その花、

ダサすぎだろって言うか…」

「あーこれ?

これは~

ものすごいお宝かただのゴミ…」

「あ~~~~

お前やらかしたな?

おいぃ~」

「急いでドライバーさん」

「了解しましたー

法定速度いっぱいで急ぎます!」

 一路、生存者の病院を目指す

Nテレビ局のクルーたちだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


▼場面は異界に戻る。

 扉からひょっこり顔を覗かせる謎の人物、

注意深くしげしげと辺りを見て

用心に用心を重ねながら庭に出ると、

景気の良い音楽と光の乱舞に興味津々に安心したのか、

「あれはなんね?

えらく楽しそうです。

あれ目指しますか~

ダーリンそこに居ますか~

居ておくれ~」

 バックパックにこれでもかと物が押し込まれ

パンパンに太く、

ぶら下がるコップは

ぶら下がる水筒に当たりガラガラ鳴り、

スタスタとそちらのほうへ歩くその後姿は、

小柄でやや筋肉質、

髪は長いが細かい編み込みで、

頭には両方に角が突き出た兜を被り、

そこここに生えている綺麗な花を掴もうとしたら、

「なんねこれ!ムキィイイイイ~」

 あまりの硬さにびっくりしながら

力任せにもぎ取ると、

花は兜と髪の間のコメカミ辺りに差し込まれ

女を体現する誰かさんだった。


 つづく


*「」内のセリフのが()の場合は心の声になります。


この物語は下記noteで先行掲載しています。

小説はこれしかありませんが他には

短い物語やパロディなど多々ありますので良かったらどうぞ。

note猫夢アトニマス

https://note.com/clear_swift8618

*面白かったらぜひスキやチップで応援を宜しくお願いします。

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