1・最後の仕事は最大級クエスト?!
第一話:あらすじ
ダンジョン・トレジャーハンターパーテイー「ラスト・スタンド」を、
解散しようとしていた3人組パーティー。
最後のクエストで特別な能力を持つ女と子供を封印された
【魔王の庭】ダンジョンの最奥まで護衛し、
魔王を討伐と言う王国の威信を懸けた仕事が舞い込んだ。
斡旋屋が帳簿片手に一瞥を俺たちに喰らわし奥の部屋へ迎えとカウンターの一部天板をパタンと開き、普段ならこのカウンターに常駐している目の前の太った髭面から何らかの仕事を貰えるのが普通だったが、
奥に目をやるとそこに重厚な扉があり、
普段ならただのドアで気にすることは無かったが、
俺達は何事だと顔を見合わせ開かれたカウンターから奥の部屋へ進んで行った。
俺たちは3人組のダンジョン・トレジャーハンターで、
通称ダンジョンハンターと呼ばれる仕事屋。
依頼がなんであれ害虫駆除でも何でもこなし信頼を勝ち取ってきていた。
仕事によってはメンツを加えたり引いたり徒党を組んだり、
依頼に対応出来る幅も顔も広い古くから居座るオールドパーティー。
だが俺たちは10数年も危険な仕事をやり続けこの歳でそこそこの財を成し、
内一人は結婚したてで嫁が帰りを待つドワーフも居てこいつのそろそろ引退して宿屋を買いたいと言い出したのがきっかけで、
あとの2人、
戦士でリーダーの俺と罠師の森エルフもそろそろ潮時だろうと解散する手はずとなっていた。
そこで優秀の美を飾る訳ではないが、
最後の仕事を相談にここに来ていたのだが、
俺ら古参パーティの解散話しは少し前から知れ渡り、
斡旋屋が気を効かせて最後の餞に、
何か特別な仕事をくれるのではないかと言う淡い期待を抱きつつ奥へ進んだ。
部屋へ入ると、
初めて会う高齢な老人、
頭が長く耳の長い男が重厚な書類机に座わり、
うず高く積み上がった書類、
何冊も置かれた本の、
その隙間から見える狭い面積で何やら書類をこさえている最中で、
立派な刺繍の入った貴族服の腕をたくし上げ目の前の長椅子へ腰掛けろと指を上下し、
顔を上げた。
「お待たせしました。
お会いしたことはありませんよね?」
老人は3人を見回し、
「はじめまして。
ラスト・スタンドの皆さん。
無作法なことを斡旋屋に頼んでしまい失礼いたしました。
私は…」
この呼ばれた名前こそ俺たちのパーティ名で数分待たされた後、
男は囁くようだが低く響く声で、
自分はこの国の王宮からの特別な使者で、
近年話題になっている無限の迷宮だとか、
ただの地獄の底だとか暗に呼ばれ、
いったいいつの時代から有るのか検討も付かず、
学者たちの間でいつも論争を巻き起こす我が国最後の未到達ダンジョン。
誰にも踏破されず内部を正確に知る者は居ない悠久の過去から今まで多くの謎と噂、
伝説を残し、
入るには莫大な金銭を国に担保しなければならず、
進入できるのは近隣の王国貴族までと定められ、
過去二回だけ学術調査のためのパーティが探索に出かけたが誰も帰って来ず、
救出に向かった精鋭王宮部隊すら帰還する事はなく、
今は禁断の地。
ぶ厚い金属扉で封印された、
なんびとも進入を許されない曰く付きの【魔王の庭】ダンジョン。
これこそが正しい名称で唯一、
1人居る生還者は気が触れた状態で発見され迷宮や探検隊の詳細は何も分からなかったが、
この男が病床で口走った貴重な文言の中に、
「大きな赤い力の椅子…」
「驚くべき罠…」
「魔王は解き放たれた…」
これらの言葉がしきりと登場し、
メモされた言葉の情報はどこからか漏れ伝い、
大げさな噂へと化け、
まことしやかに囁かれる都市伝説の一部となっていた。
「あ、あのダンジョンへ行けとの依頼?…
ま、まさか俺達…が?」
言葉を詰まらせながら話すリーダー。
「はい」
低く響く声。
「依頼内容は?」
ドワーフが切り出す。
「とある人物の護衛です」
低く響く声。
「とあるって誰よ?」
一番若く見える森エルフが口を挟む。
「一人の女錬金術師と子供です。幼い…」
「女子供をあのダンジョンに?!」
俺たちはいっせに身を乗り出していた。
「最後の探索パーティーから唯一の生還者の帰還から12年が過ぎ、
私たち王宮魔法学術院も指を咥えて何もして来なかった訳ではないのです。
私たちはあの生還者の途切れ途切れの言葉を集め真剣に考察し一つの答え作り上げたんです」
「作り上げた??」
「どういう意味?」
「何を作ったって?子供か!
おいおい性教育は間に合ってるぞ」
3人は老人を食い入るように見ている。
「それは当然魔王討伐用の魔法兵器を作ったのです!
長い年月がかかりすぎましたが遂にです」
力強く拳を震わせる長頭老人だったが、
男たちはへたった野菜のように長椅子に深く座り直していた。
「え?あっはっはっは~そりゃすごい凄すぎる。
何も分からないのに討伐決行?はぁ~」
膝を掴み笑いため息を吐いているリーダー。
「…するとその女と子供が魔王を殺る魔法兵器…
俺達の役目は討伐を最後まで手伝い見届けて帰りも安全に送り届けろって事?
フガガ~」
太くて短い腕を組み、
鼻息も荒いドワーフ。
「うわぁあああマジで?
そいつらいったいどんな化け物。
二人で行かせたらいいじゃん駄目なの?
しかも女のほうはともかく幼い子供を護衛?
僕ちょっと詐欺にあってる悪寒しかしないです。
帰っていいです?」
そう言うと森エルフは斜に座り直し、
自慢の金髪を手ぐしでかき分けた。
「信じる信じないはこの際どうでも良くて、
その女子供の二人が私たちの答え。
無事任務が成功の暁には、あなた達に土地家屋を授け、
もちろん望む誰を招き入れても全ての者を正式な市民としてこの王宮で永劫過ごせる末端だが貴族となり。
もちろん報奨金もたっぷり。
命を賭けるには充分過ぎる見返りかと存じます」
長頭は息もつかず話し終えると、
「たっぷりな金…貴族の身分、
王宮に召し抱えられ未来永劫…おぉ…」
森エルフの瞳は輝き、
「ききき貴族!
ドワーフが?
奥さんは公爵夫人!
グハー」
3人は心の中は一気に盗らぬ狸の皮算用状態になったが、
「凄い報奨で気が引けてしまう…
だがなぜ俺たちなんだ?」
リーダは冷静だった。
「そうだそこ知りたいフガ~」
「そうだよ~なんでぇ~」
ステイ・ハングリーズたちは一斉に質問した。
すると、
「私は歯に衣着せませんし、
隠すこともないですからはっきり申し上げるとあなたたちは解散すると聞きました。
そして腕が良いと評判のパーティ。
有終の美がどちらに振れるか分かりませんが、
タヒんでも生きても未来永劫名を残すでしょう。
そして一番の目的は魔王の種が有るならそれの排除もしくは掃討これしかないのです。
どうぞどうかこの国を救って下さい。
この話はあと何組かのダンジョンハンターたちにも話す予定になってます。
回答がハイの方々だけで複合パーティーを組むことになり、
我々にはこの国を守る義務しか無いのです」
長頭の力強く悲願の思いが伝わる。
結局彼らはその場で答えが出せず一日だけ猶予を貰い、
いつもの酒場で夕飯を喰らいつつどうするか決めようとしていた。
「女子供って言ってたけど実は化け物かね?」
髭にたっぷりの泡を付けたドワーフが話し、
「化け物って言えば数年前、
強敵すぎた魔女を討伐出来たのはただの幸運。
あの時、
天井が崩れてこなかったら今頃俺らここに居ない…
あんな思いなど霞むほどの最強の化け物かもな魔王って…
おーいビール…」
リーダーはビールを飲み干しそのまま掲げ3杯目を注文していた。
「でもな俺らは見てるだけのような気もするのね。
だって化け物には化け物をぶつける作戦だろ?
最強には最強でドーンだフガーでもな、
最強っていったいどこまである?」
そう言うとドワーフは4杯目をまた一気に飲み干そうとし、
「このパーチィーで最強なのは俺っちだよね~グハハハハハ。
プッハー」
すぐ顔が赤くなり酒に弱い森エルフ。
それでも飲みたがり、
ぐいっと一息に飲み干しビヤカップをテーブルに置くとそのカップは、
他の二人の標準なサイズより遥かに小さい容量だった。
「ふざけろわしが最強に決まってる酒弱森エルフ!!」
ドワーフが言い返す。
「で、どうする?」
リーダーが言う。
「IN or OUT」
テーブルに突っ伏してる森エルフ。
「うーむ…」
ビールを飲もうとカップに手を伸ばしたままのドワーフ、
3人の答えは…まだまだ出せる状態では無いようだったが、
「わしは街道端で売りに出ていた宿をポーンっと全額払って買っちまった。
これは本当に二人のおかげだと思っているし、
今日で解散でも問題はない。
リーダーのお前はそもそもなんで最後の仕事とか受けようと思ったんだ?
わしは付いては行くが有終の美とかいらないし、
今この場で終わりでも構わない。
だが貴族として王に仕えるなんて夢のまた夢が突然振って湧いた。
これは悪夢か?正夢になるのか!
でも奥さんの幸せそうな顔と悲しむ顔が交互に出てくる…だから一任する」
ドワーフが言うと、
「僕はヒーダーに付いて行きますびょ最後の最後までヒック。
こんな小汚い森エリュフを拾ってくれてほんなごっつ感謝しか無かばいヒック。
だからあんたの思うままに僕は…でも貴族!!
うひゃひゃひゃひゃ~~っ」
森エルフはそう言うと酔い潰れ、
二人に答えを任されてしまったリーダーは、
途方も無いクエスト案件に戸惑ったまま一日が過ぎようとしていた。
次の日約束通りにクエスト斡旋所へ到着した3人だったが、
リーダー以外のドワーフと森エルフはリーダーから腹の内を知らされておらずここまで来ていたが、
「メンツ見て決めよ~や」
と言うリーダーのひと言で納得していた。
ラスト・スタンドパーティは、
いったいどの他パーティと一緒するのかそれを見て決めようと言うことなのだ。
この王国には腕利きのダンジョンハンターは数組居て、
必ずしもラスト・スタンドパーティーと相性の合う奴らばかりではなく当然、
啀み合う奴ら、
中でもラスト・スタンドのリーダーが心底嫌ってる奴が一人居て、
もしそのパーティーと地下へ潜ることになったら、
潜る先々で騒ぎになるのは必至でドワーフとエルフは、
「うんうん。だよな~俺らもあいつらだけとは勘弁だぜ」
と頷きあい、
斡旋所に入って行くとカウンターの髭デブっちょに地階へ行けと指示され、
暗い階段は蝋燭の揺らぐ明かリだけでユラユラ揺れていてドアを開けるとそこは大広間。
幾つかある長いテーブルにそれぞれに分散するように数名づつかが固まるように座っていて、
昨日の長頭老人は別テーブルで、
こちら側を見渡せる位置に陣取り書類を整理していたが、
ラスト・スタンドたちが来るやいなやまた指で適当に座れと即すと、
ラスト・スタンドたちも良く知るメンツが3パーティも揃い踏みしていた。
「来たなラスト・スタンド」
「久しぶりだな」
「あの時はよくもやってくれたな。
だがありがとな恩に着るぜ」
「ギャハハハハハハハ来ないと思ってたら来やがった。
ガハハハハハ」
「ドワちゃんおひさ~奥さんと上手くやってるかー、
そろそろ足洗うって聞いてここには来ないと思ってたが、
大丈夫か?
やばいよこのクエストヤバ過ぎだ意味不明だ~」
「俺は絶対やる。
貴族だぞ?あちら側に行けるならこの身捧げる…
タヒにたくはないが…」
軽口が飛び交ったが、
「…来るのかよ来るわけ無いと思っていたんだが糞が来たぞ!
くっせー窓開けろよ。
わぁあああここ地下だ窓は無い!」
こいつだ。
こいつがラスト・スタンドのリーダーが死ぬほど嫌う、
ダンジョンハンター【ミツルギ】ノパーティーリーダー、
カジキだった。
こいつは鼻持ちならない性格をしていて、
隙ありと見たらいつでも他人の功績を奪い取ってしまうという泥棒精神の輩リーダだったが腕は超一流、それもそのはずこいつは猫目一族なのだ。
猫目とはまさに暗視能力の事。
光の無い暗がりを簡単に攻略出来る能力者。
このカジキがどんなに性格悪でも一派のメンバーにとっては頼りに成りすぎる存在。
だからこの王宮で一番のダンジョンハンターパーティとして君臨出来ていて、
ラスト・スタンドのリーダはどちらかと言えば正義感のある一本気な気質。
過去カジキに功績を奪われた経緯もあり、
ずっと恨んでいるのだ。
他のパーティーの面々はカジキが悪徳寄りだと知りつつも、
金銭を詰み功績を分けて貰ったりで頭が上がることはなかった。
だからリーダーにとってここに居る自分ら以外のメンツとは厳密に言えば仕事など一緒にしたいと思えるレベルでは無かったのだ。
「でも来ちゃったんだよな」
ドワーフがひそひそと話し、
「やっぱ報奨でかいもんね」
エルフもひそひそとカジキとリーダーを交互に見て言った。
「まったくだ。
俺もな奥さんに貴族なれるかも~って言ったら嬉しそうに快諾してくれてこれで心置きなく攻略に出れるが、
どこからか湧いてくる不安が無くならないのはいつもの事…」
ドワーフが話し終えると、
「それで答は?
すぐにでも出発しないといけないこちらの事情も考慮してください」
苛立つ長頭老人がリーダーに問う。
「なんだこいつまだ決定してなかったのかメンツ見て決める気だったのか?ならすぐお帰り。
まーお前が来ないことが平和への一番の近道なんだが」
カジキの激しく罵る声。
だがリーダーはそんな言葉には乗らず、
「やります」
まっすぐ老人だけを見ていた。
「ん??出口をもう忘れたのかね?お帰りはあちらなんだが」
カジキが何度か茶々を入れると、
「受けますね?」
長頭老人は念を押し、
「はい」
リーダーははっきりと答えた。
出立は1週間後と決まりそれまでに想像できるありったけの装備を整えあないといけない。
早速装備品の買い出しといつもの店を巡ろうと、
この辺りで一番賑やかな城下街を歩きラスト・スタンドパーティーは、
女魔法使いと子供を禁断の【魔王の庭】ダンジョン最深部まで護衛する仕事に着く事となった。
リーダーはこれが最後になるかもと言う生死を分ける両極端な思いを噛み締めていた。
「なんで受けたの、やっぱ貴族報酬?」
「わしも知りたい」
「ん~俺の母は貴族の末裔、
そこそこの金持ち農夫だった父と借金に形みたいに結婚させられ、
反りが合わないと結局離婚し元の家には出戻れず母はいきなり貧乏暮らし俺は父に引き取られ、
たまに母には会って支援のマネごとしてて母がうんざりするほど聞かせてくれたのは貴族の暮らしに戻りたいだった。
もう生きてないがきっと喜ぶだろうし供養に…」
リーダーがしんみりと話すと、
「かーちゃんは星に…
もっと早く言えよ気が利かねー訳じゃないんだこう見えてわしは、
それはご愁傷さまでしたね」
十字を切り手を組み空を仰ぐドワーフ。
「そ~なんだごめんよ知らなくて」
目を瞑り同じマネをするエルフ。
「謝る必要はないタヒんでもう20年になるし、
でもありがとな。
あとはやっぱ永遠に追い求めてる武器探索のほうがでかい…
東の国の武者が携えていた伝説の武器カタナ…」
リーダーは答えた。
「あーそうかなるほど~納得。
もっと情報あると良いのにね」
エルフが言う。
「そうだな、
たまたま母から聞かされた事をずっと覚えてるだけで今となっては雲の中の夢物語」
「父ちゃんはご顕在で?」
「うーん。
父は母に関しては本当に何も教えてくれない。
農家は継ぎたくないし他にも色々あって絶縁喰らって家を出てそれっきり。
生死は不明…」
歩いてるうち鍛冶屋へ着くと、
3人はそれぞれ好きな武器や防具の品定めを始めた。
「俺達が未踏の主だったダンジョンはあと3っつだが、
遂にその中の一つ【魔王の庭】ダンジョンへ進入できる。
案外ポロッと伝説のカタナがーウッハ~ウッハーッーウッハッハ~」
ドワーフは浮かれ舞い踊っていると、
「クエストは大成功となり、
ラスト・スタンドパーティの名は未来永劫受け継がれました。
めでたしめでたし」
エルフも踊ると、
「うぇーぃ集合~」
リーダも踊っていたが店主に睨まれ、
二人に近くへ来いと手招きしていた。
「なんだなんだなんだ」
「どうしたの?」
鍛冶屋の店の真ん中で座り丸くなってる三人に。
店主の目がさらに険しくなっていた。
「実はないつもの情報屋ムトからとんでもない情報仕入れてな、
【魔王の庭】から生き残った奴の言葉メモの中にカタナと言う言葉が出てくるんだそうだ。
前後の言葉は不明だが確実にカタナがどうしたとかそんな事…」
「うぉーわしの直感が当たったか!」
「おぉおおおおーでも求めるカタナなの?」
「うむぅ、そこまでは分からないが、でかすぎる手がかり。
だからこの仕事請け負った」
「超納得。
でもさ東の国には普通にいっぱいありそうだよね?」
「そうだと思う。
でもな俺はその国がどこにあるのか分からん。
母も詳しく教えてくれる事はなかったし、
ひーじいさんが東から来た人物だって事も相当後から知らされたし、
最後の仕事が終わったらカタナ探しの旅に出ようかと考えていた。
そしたら情報が舞い込んでこれは行かねばならないハンターとしても」
リーダーの目は茶色の優しい瞳。
これは先祖返りで曾祖父の体質を受け継いでいるらしく、
蒼が主体のこの国ではとても珍しい色だった。
「カタナ…わしもその武器に興味津々じゃ。
わしの振るうこのハンマーとタイマンやって叩き割ってあげたい。
リーダーその時はすまない、
いやほんとガッハッハ」
「言ってろ。」
そう言うとリーダーは店主の所へ向かい、
あれやこれや装備品の相談を始めていた。
====================
*主要登場人物*
【ラスト・スタンド】ダンジョン・トレジャー・ハンターのグループ名称
■リーダー:人間の「ヤモト」
二刀流で接近戦を得意とし、
金属製で先が尖った物ならなんでも扱いに長けているアクロバティックな戦闘をこなし闇に紛れ討つアサシンタイプだが、
人の道を外れる事はせず斥候も得意とする戦士。
その風体は謎めいていて目は茶色。
青い瞳が主体のこの国の誰とも違う異界な雰囲気に、
質問され過ぎてうんざりな「どこの国の人?」があり、
聞かれると多分すごい東だと言うだけになった。
そして彼は幻の「カタナ」と呼ばれる武器を生涯をかけて探し出そうとしている。
■メンバー1:ドワーフの「ロッグス」
戦闘はそこそこで盾とハンマーを使うが、
最も得意なのは爆弾の作成。
ドワーフ種はそもそも鉱山で金属掘りを生業としてる者が多く彼もその1人。
地質学にも長け土の様子からダンジョンの深度、
年代を測定することができる見た目とは裏腹な知性派でメンバー唯一の妻帯者。
ちなみにドワーフ兜、
両側に角が生えている物を寝ている時も外すことはなく、
たわわな髭を蓄えているが、
ハゲを必タヒで隠そうとしているともっぱらの噂だが、
ドワーフが人と組むなど普通はあり得ない事で、
ロッグスは頭の秘密をヤモトに知られ口外させないために仕方なく…とも言われている。
■メンバー2:森エルフの「ガウ」
ウッドエルフ以外正しく発音できないのでパーティではガウと呼ばれる遠隔攻撃、
弓の扱いに長けていて敵を翻弄する罠術を身に着けている森の追跡者。
3人の中で一番若く見えるが、
そもそも不死に近い種族。
年齢を知ると驚くが森エルフの中では本当にただの子供であり、
怪我で絶命の危機をヤモトに助けられその恩をずっと忘れずパーティに加入。
ヤモトの話す異国、東の地へいつか行ってみたいと夢見ている。
====================
3人は雑貨屋を巡り携行品を品定めし、
できるだけ頑丈かつ軽い物資を買い求め、
リーダは3人で間借りしてる住居へ戻ると取り急ぎいつも装備しているロングソード、
簡易投げナイフを研ぎ始め、
エルフはショートボウの弓の弦を新しく張り替えるとすごい速さで矢を作り始め、
毒草を擦り潰し毒薬にし小瓶に詰める作業に移っている時、
ドワーフは1人鉱山へと向かい爆発物の材料をせっせとこさえ竹筒爆弾を作っていたが彼らは、
肝心な護衛するべき2人とはまだ会えておらず、
いったいどんな奴らなんだと思い思いの妄想を膨らましていた。
その日ついに【魔王の庭】ダンジョンのある山深くうっそうとした森林地帯へ到着すると、
一行はパーティーの要所となる野営テント郡を、
王宮兵士の手を借り設営し、
一際目に引く封印された鋼鉄製扉の前に4パーティ総勢11名のチームとなった彼ら。
本当なら12名だが欠けた1人は怪我が癒えず脱落者ではあったが、
ここで待機し成功か可失敗かの成否を王宮へ伝える任務を得ていた。
彼らはいつになく気合の入った面持ちでその時を待っていて、
そろそろ護衛される例の2人が到着すると言われていたからで、
馬車の音が聞こえ目前に到着するとまず降りてきたのは長頭老人。
軽くメンバーに会釈し次に出てくる女魔法使いの手を取りエスコートすると、
出てきた女は蛇腹のたわみを直しながら奥の座席から子供をゆっくりと丁寧に地面に下ろした。
するとメンバーたちに小さなざわめきが広がった。
「うぎゃ…」
「なんて痛々しい…」
「やっぱ化け物!」
「試験管ベイビー?」
「これ魔法生物なんじゃ?…」
「最近噂で聞いたあれがこいつ…ホムンクルス?!」
「子供とかじゃない小さいだけの化け物じゃん」
「すげーや魔法院の奴ら…命まで武器に…絶対敵に回したくねぇ」
「こいつらが居るか居ないか分からない魔王への究極の…」
「いったい何が…始まる…」
青白い肌。
着てる外套は頭まですっぽり入る衣服。
その顔がしっかり見える事は無かったが、
その顔には多くの毛細血管が浮き上がり走り、
口を覆っているのは酸素マスクなのか、
護衛の全てが子供を見てギョッとし、
誰かが口にしたことは当たっていて、
これは正真正銘のホムンクルス。
錬金術士系魔法使いの実験室、
ガラス瓶の中で作られた生命体。
この子供は頭をすっぽりと覆う丸いガラス製のヘルメットを被らされ、
口元から外に繋がる酸素マスクで息をしてると思われたが、
そこから伸びた蛇腹のホースが女魔法使いの背負う静かに唸る機械に直結し、
機械からは時おり白い煙を吹き上げている。
そしてこの女こそがこの偽の命を作り上げた当人で子供の管理者。
彼女たちはここに来る以前から一心同体だったと簡単に推測できそれは、
これから先の道中も変わることなく、
護衛メンバーはこの不安定な引き離せない2人を最深部まで送る事になるのだ。
そう思った途端彼らの背中に冷たい汗が流れていた。
長頭老人は女と子供を一時的に休ませている間、
ダンジョン攻略の計画の要である女子供の取り扱い事項を、
「彼らは見たまんまでとても脆く戦闘経験など無いただの女子供だが、
特に子供が持つ特殊魔法は計り知れない力を持っている…」
メンバー全員に説明をはじめた。
「究極の魔法?なんだよそれ~正確に教えろ~」
「あの子供はホムンクルスなのか?」
「子供を制御出来るんだろうな、あの女は?」
「この計画が途中で失敗するとどうなる?」
「その魔法で俺らも巻き添えかー?」
「その魔法のテストは行ったのか?」
一番大きなテントを作戦本部とし席に座ったメンバーは、
それぞれに思う疑問をぶつけていた。
「……だが理論上あまりに強力な魔法のためテストは実施されていない、
1度だけのぶっつけと言う事になるが、
子供の能力は女が管理し漏れ出す事も目的外で放たれる事などあり得ない!
それは実証済みの事実、
そしてあの子供のような何かはあの女が作った紛うことなきホムンクルス。
君らが生きてこの事を世間に口外した場合命は無い一族ごと消える!
このダンジョン探索の一部始終で起こることは未来永劫誰にも話してはいけない。
そう契約書に書かれているのは読んでいるな?読まずともサインはもう貰っている。
心に強く留めておきなさい。
そしてクエストが失敗したと判断された場合、
あの扉は再び封印され捜索隊が送り込まれることも絶対に無い!」
強い口調で念を押す老人。
「…次にこれはダンジョン踏破計画のペーパーだが、
こんな物役に立たないだろうから便所紙でいい」
渡される数枚綴りの紙を一通り読むメンバーだったが、
書かれている事はダンジョンでは良く行われる探索における通常手法で、
これを作ったのはそもそも彼らハンターたちの長年の仕事の成果なのだ。
まず安全な場所にメインベースを置き、
そこを拠点にゆっくりメンバーを交代させながら先々を探索し地図を作る。
作り終わったらまたベースを先へ先へと動かして行くという方法。
ただしこれは中が普通のダンジョンと違う場合、
臨機応変に手練手管のダンジョンハンターの直感で動くことになり、
その場合軋轢が起こるのは必須。
そこで今回の探索隊のリーダーに選ばれたのは、
もちろんダンジョンハンター・スキルトップの能力を持つ猫目のカジキ。
「みんな俺に付いて来い。
俺の能力さえあればどこまでも安全だろう?
なぁラスト・スタンドの皆さんもそう思ってるだろう?
もっと崇めろ俺の事!
反抗的な態度を取るなよ、
なんでも言うことを聞け、
さもなきゃ真っ暗な穴に捨てて行っちまうよ?
ギャハハハ」
カジキの超上から目線。
「フガー(腹立つ)」
ロッグスの心の中。
「(言い返せないから自分自身にも余計腹立つ)」
ガウの心の中。
「…分かってる、
分かってるさ。
あんたの目が頼りなんだ、
だからここに居る。
分かってくれないか」
なんとヤモトはカジキに対し過去の恨みは忘れたように柔軟な姿勢を見せていた。
「…うわリーダ~あんな嫌いな奴なのに。
心情お察しします。
ぐぎぎぎぎ」
「人間の旦那大人になったなーここはひとつあいつらのブーツにキスでもするか?
大げさに…おぇえええ言ってて気持ち悪くなった」
「おぇえええええ」
ドワーフにつられ森エルフも身体を小刻みに揺らしえずいていた。
そして数時間後、
王宮付きの警護員によって重い封印扉は開かれようとしている。
長頭老人の号令が下され、
軋む音と扉に積もった土砂がパラパラとモクモクと舞い上がり落ち扉は開かれていくとそこに、
本来のダンジョンの入口である一切劣化の様子なく真っ白で美しい扉、
草の蔦や小動物、
鳥たちが飛ぶ絢爛な前後に絡まるような浮き彫りを施された扉が現れ、
見守る全ての人に息を飲ませそして、
その扉を開ける名誉を授けられた探索隊リーダーのカジキは前に進み、
扉を強く引いたが年月のせいなのか動かず数分試したが埒が明かず、
しぶしぶ振り向くカジキはそれぞれのパーティーリーダーたち3名に目配せし、
彼らの初めての共同作業は扉を開けるから始まった。
「ぐぉーー」
「重い…」
「この扉とても冷たい…魔法障壁か?」
「きばれー」
カジキが檄を飛ばす。
「うっしゃああああああ」
ゴウンゴウンゴゥンゴゥンゴゥン…
ギギギギギギギギ…
遂に扉は開かれ、
【魔王の庭】への深淵の口がそこにぽっかり空いていた。
つづく!
この物語は下記noteで先行掲載しています。
小説はこれしかありませんが他には
短い物語やパロディなど多々ありますので良かったらどうぞ。
note猫夢アトニマス
https://note.com/clear_swift8618
*面白かったらぜひスキやチップで応援を宜しくお願いします。




