待ち合わせ
あやしさも感じながらも土曜日に約束の場所へ
里美は向かいます。
そこで待っていたのは好青年風な田中さんとなにか。
なにかのおかげでサギなのではというあやしさは
吹き飛びますが…やはりあやしい。。
土曜日
ふだんのわたしは、夜ふかしの朝寝ぼうさん。
会社がないとどうしてもそうなってしまう。
きょうも夜更かしはいつもと変わらないけど
朝はちゃんと起きた。
「おはよう里美ちゃん
きょうは、はやく起きてえらいぞ」
母だ。
両親には『ユメのクルマ』のチラシをみせて
わたしが『ユメのクルマ』の最優秀賞を受賞したことを
伝えた。
(田中さんには両親に伝えることの了承は
いただいている)
わたしにピッタリなクルマに調整してもらい
そのクルマをプレゼントしてもらえると伝えてある。
調整してもらうためにきょうはでかけると話した。
『ユメのクルマ』がプレゼントされることを
話したときは、さすがにビックリしていた。
だけどウチには、お父さんのくるま以外に
もう一台クルマをとめる駐車スペースはあるし
わたし専用のクルマがくることを素直に喜んでくれた。
「どんなくるまなの」
「車種はきいてないよ。
だけどわたしにあったくるまだからコンパクトな
くるまだと思うよ」
「そっかぁ、楽しみだねぇ」
「うん、楽しみ。早く乗りたいよ」
ほんとにワクワクがとまらない。
はやくミサトに会いたい。
あ、ミサトってわたしのクルマのなまえです。
ご対面の前になまえも決めちゃった。
ほんとにはやく会いたい。
田中さんから送られてきた地図の場所へ向かう。
…ってふつうの喫茶店なんですが。。
(これってそこまで厳重にする必要あるのかなぁ。。
やっぱりあやしいヤツ?)
9時ちょうどに少しよさげな喫茶店にはいると
入り口近くに田中さん。
オーラとかはなくて、ふつうにどこにでもいそうな
好青年風(失礼すぎる)
…一点、異色を放つのはコーヒーのとなりに鎮座する
ねんどろいど。
(あやしい!
いや、ある意味あやしくない…
サギの線はなくなった…)
ねんどろいどに目がいきすぎてたかもしれない。。
「佐藤さん?ですね
おはようございます
この子?…かわいいでしょ」
「あ、ごめんなさい。
はじめましてです
佐藤です。えっと⋯」
「あ、こちらへどうぞ。…なに飲まれます?」
「あ、はい、じゃあ同じのをお願いします」
「はーい、ちょっとまっててね」
店員さんに声をかける。
そして注文してくれた。
店員さんも気付いてないフリはしているけど
明らかにねんどろいどのこと気になってるよね。
あとできっとバイト仲間との話題のタネに
なりそう。。
「わたしはファースター社の田中と申します。
細かいことについては車で移動しながらおはなし
しましょう。
きょうはよろしくお願いします」
「あ、はい。。
わたしは佐藤里美です
このようなおはなしをいただけて、まだ夢のような
感じです。
こちらこそ、きょうは、よろしくお願いいたします」
あいさつをしながらも
やっぱりねんどろいどに目がいってしまう。。
「気になりますよね
実はこの子が佐藤さんのパートナーになります」
「えっ、この子。。」
(かわいい子ではあるけれど。。)
「詳細はつぎのところではなしますね。
やっぱり目立ちますよね。
店員さんもみてましたし。みちゃいますよね。
ご対面もしてもらったし、この場ではしまって
おきましょうか」
「あ、はい。お願いします」
「はい、では、いったん、しまいますね」
田中さんは、大事そうにその子をケースにしまい
カバンの中へいれた。
そして、その後は他愛のないはなしをした。
わたしはさっきのねんどろいどのことで田中さんとの
会話を覚えていない。
(あのねんどろいどがパートナー?
あの子がミサトになる子ってこと?
クルマをもらえるんじゃ…
あの子がなんかキーになってるの?)
頭のなかをいろんな『?』が巡っていた。
(田中さんとしては緊張をほぐそうとしてたのかな?
いや、わりと天然そうだし、なにも考えてなさそうだし)
そんな失礼すぎる想像が、まだ頭を巡っているところへ
田中さんの声が戻ってきた。
「さ、そろそろ時間ですね。
次へ向かいましょう」
どうやら、実際の約束の場所へ向かうまでの時間調整
の場だったみたい。
田中さんの車にのせていただいて
本丸へ向かう。
田中さんの車はうちの社有車と同じ車種だった。
ここまで読了ありがとうございます。
ねんどろいどが机にいたら、全面的に驚きますよね。
そんな目立つことをしたので里美の頭から
サギではないか?という疑念は消え去りました。
このあと秘密の場所で『ユメのクルマ』のはなしが具体的になっていく?かもしれません。