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田中さんからの連絡


スマホが指定日になることはわかっていたけど

大掛かりななんとか詐欺かも。

そんなことも考えながら電話にでた里美。

そんなところから始まります。

果たして?

そしてこの展開は?


「はい」

とりあえずスマホにでた。


慌てていて、電話番号を確認しないままでてしまった。

無機質な声で応対する。

不審電話対策用の声。


「株式会社ファースターの田中雅治と申します。

佐藤里美さまの携帯でお間違いなかったでしょうか」


「はい」

今度の応答は『♪』みたいな声色に変えた。

自分でも変わりすぎだろと思うくらい好感度アップな

高い声だ。

ワントーンあがるって、こういうことです

という見本みたいな変わり方。


今度は相手が少し無機質な声色になった。

「それではぶしつけですが

パスコードをおききしてよろしいでしょうか」


パスコード?そういえばなにか書いてあった。

「あ、えーと、…あれ、なんでしたっけ⋯

…あー⋯『ざ・い・せ』でした…かな」


ひと呼吸してから応答があった。

「…はい、ありがとうございます。

それではさっそく、お伝えしたいことがあります。

このままお電話大丈夫でしょうか」


「はい」


「それでは…

これから、わたしが一方的にお話します。

大変心苦しいのですが

佐藤さまは、わたしが話すことに対して

『はい』か『いいえ』でお答えください。

『はい』か『いいえ』以外では答えないでください。

よろしいでしょうか」


「『はい』」


(なんか、なんとか詐欺ってこんな感じなのかな…

大丈夫かな?)

ふとそんなことがあたまに浮かんだ。


「まず、第一に

ほかの方に、本件に関することは

一切、話さないでください。


このお願いをきいていただけますか。

『はい』か『いいえ』でお願いします」


「⋯はい」

(ますます、これってヤバいやつ?)

警戒を強めた。なんかこれで『カネオクレ』

のキーワードがでてきたら…


「ありがとうございます。

それでは詳細をおはなしいたします。

先日ご送付したご案内では、ほかの方に漏れる

可能性があったので、あえてお伝えしませんでした。


佐藤さまが考案いただいた『ユメのクルマ』を

わたくしどもで製作したいと考えています」


(…きたっ!

これで『製作費は全額、当社負担ですか

今少し足りないので、50万送付してほしい』

とかだったら絶対そうだ。

引き延ばして、警察がくるまで待って…)

「はい…

あ、いえ……それってもしかして⋯」


「『はい』か『いいえ』だけでお答えください。

それ以上のことばはださないでくださいね」


「あ、ごめんなさい…『はい』」


「こちらこそごめんなさい。

ご無理を承知でお願いしてます。

当社にとって…このはなしは今後の当社を

左右しかねない大事なはなしなのです。

重ね重ね申し訳ございません。

そして大事なはなしになるので、詳細はまた後日

とさせていただくことをご承知ください」


「…『はい』」

(あれ?これはやっぱりホンモノなのかな)


「おっしゃるように佐藤さまの考案いただいた

『ユメのクルマ』を最優秀賞として選定いたしました。

あらためて、おめでとうございます」


(…………?!! ホンモノ?)


「最優秀賞は実車製作または賞金の選択ができる旨

要項に記載しておりました。

どちらを選択されるかは、佐藤さまのお考えで

結構です。

ただ、わたしどもとしては実車をぜひ製作したいです。

仮に佐藤さまが賞金をご選択された場合は、

このアイデアを買い取りさせてください。

そして実車製作の許可をいただきたいと思います。

どちらを選択されるか困難な選択と思いますので

急ぎません。

ただ私どもとしても極力、早期にプロジェクトを

進めたいと考えております。

差し支えなければ、当社へお越しの際までに回答を

固めておいていただきたいと思います。

そのような段取りでよろしいでしょうか」


「⋯⋯はいっ!

わたしもできあがったク…」


「ちょっ!ストップッ!ちょっと待って…

あ、お待ちください。『はい』か『いいえ』ですっ

ことばにださないでください」


「…ごめんなさい」


「いまの佐藤さまのおはなしだと、実車製作で

よろしいということですか」


「はいっ!」


「…ありがとうございます。。

ついては詳細なおはなしもお伺いしたいので

やはり製作のために佐藤さまにご協力をお願いしたい

と考えています」


「⋯協力って⋯」


「『はい』か『いいえ』でお願いします。

協力していただけるか、いただけないかも含め

わたしどもの会社にとって…

いえ、佐藤さまにとっても、今後を左右する大事な

はなしになるかもしれません。

ですので、まずは一日、佐藤さまのお時間を

いただけるかどうか、いただけるならいつがいいか

それだけを決めましょう」


「はい…」


「詳細は、きていただいてからご相談させてください。

ご相談させていただいて

その上で、内容に不安があるようであれば

その時点でお断りいただいてもかまいません」


「はい⋯」


「いつきていただけそうですか

時間としては朝の10時から午後5時くらいまで

ほぼ一日お願いすることになります」


「えっと⋯」


「⋯あ、ごめんなさい。答えられないですよね。

日にちは教えてください

朝の10時から午後の5時までいただける日

土日でもいいですよ。


たとえば今週の土曜日はいかがですか?

わたしはできるだけ早く佐藤さんにお会いしたいです」


わたしは土日は家でゆっくりすることが多い

今週もそのまま予定なく空いている。

「はい、じゃあ⋯今週の土曜日でお願いします」


「はい、ありがとうございます。

こないだ送付したフリー切符をご利用ください。

おそらく佐藤さんの住所地からならそのフリー切符で

対応可能と思います。

場所は実は北斗自動車本社ではありません。


わたしから佐藤さんへ

スマホに地図を添付送信しますね。

今後の連絡先も送ります。

都合が悪くなった場合などはご連絡ください」


「『はい』」


「本来はもう少しおはなししたいところですが

やはり対面でのお話がいいと思います。

この会話もどこかで聞かれている恐れもありますので

本日はこのあたりで。


きょうはお話できてよかったです。

また今週の土曜日によろしくお願いいたします」


(『カネオクレ』はでなかった。

これはホンモノだよね。

まだ、細かいはなしきかせてもらってないから

絶対的ではないけど、これは…)


「はい、ありがとうございます。

こちらこそよろしくお願いいたします」


(なんか、まだ夢の中のようだけど…

いま起きているのは現実だよね。

わたしの想いがカタチになるんだ。

『ユメのクルマ』)


ふわふわした感覚はいままでにない感覚だし

まだ半信半疑でもあるけれど、ジワジワとなんか

こみあげてくる。

わたしの『ユメのクルマ』

できるかも。


どこを歩いて戻ったか定かではないけれど

会社の席に戻った。

そして戻ったら普段通りにできた。

わたしはやっぱり、かなりのポーカーフェイスだ。


ここまで読了ありがとうございます。


最近ってしらない電話って変なの多くないですか?

夢のようなはなしなんで、ホンモノかなって半信半疑

その割に、次の土曜日にのこのこ指定通り動く里美は

大丈夫?

里美はこの怪しい電話の展開にも関わらず

すっかり信じちゃってますけど…

なんとか詐欺は本人以外はみんな怪しいって

気づくんですよね。知らぬは本人のみみたいな…


そんなことも第三者(作者)としては考えちゃいます。

ただ進まないとユメは始まらないですよね。


次の土曜日に里美は指定場所に向かいます。


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