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ユメのクルマ 友佳の場合


中村先輩だけでなく、友佳も入賞。

動揺するわたしを友佳は気遣ってくれる。

そして友佳の考えた『ユメのクルマ』

友佳の『ユメのクルマ』はどんなクルマなのでしょう。


(中村先輩だけでなくて友佳も優秀賞…

わたしだけが選外?


いや、でも、ほんとにふたりともすごいよ)


軽い、いや重い、かなり重いショックではあったけど

わたしはポーカーフェイスだ。


…と演じたつもりだけど

友佳はわたしの異変に気づいた。

そしてフォローしてくれた(のだと思う)


「高田さんはダメだったみたいですよ」

営業のわたしの苦手な彼のことだ。


「なんか『空飛ぶクルマ』って書いたようです。

みんなが思いつくようなアイデアでも

そこにオリジナリティや思い入れがあれば

入賞する可能性はあると思います。

たとえば中村先輩みたいに

明確なコンセプトと真剣な分析があれば

『空飛ぶクルマ』もいいと思うんです。


だけど高田さんは

『空飛ぶクルマ』って1行かいただけみたいです。

アニメでありそうな絵を添えてあったみたいですけど。

それだけだとなかなかむつかしいですよね」


(あ、それって実は真剣⋯

彼はふだんの仕事からして上っ面だ。

それをカタチにしてお客様に案内している。

だから、わたしは彼が苦手だし、リスペクトできない。


そんな彼のことだから、

てっきり『空飛ぶクルマ』とだけかいて提出。

ノルマ達成、おしまい。

だと思っていた。


モノゴトを言語化するのが、得意でなくて

効率だけを求めるようなヒトだから

それでも絵を描いたということは

彼としては実は絵に魂をこめてたのかも)

そんなことをぼんやり考えた。


「そうね…

⋯友佳も入賞したんだ。おめでとう。

さっきは教えてくれなかったけど、

どんな『ユメのクルマ』なの?」


「ありがとうございます。

そうですね。

わたしのは、ほんとにありきたりなんで

恥ずかしいんですけど…」


ふだん表情を変えない友佳が

少しだけはにかんでいるのがわかる。

(こんな表情もできるんだ。かわいいぞ)

そんなことをふと思いながら続きに耳を傾ける。


「わたしは現代の一つ先の時代を考えました」

(一つ先⋯)

「ガソリンが枯渇するというはなしは、

ずいぶん前からありますよね。

その危惧がハイブリットにいきついた背景だと

おもいます。


そして電気、水素⋯少し前には廃油の利用など

クルマの動力源について、みんながいろいろ考えて

います」


(おーー、すごっ。さすが友佳。

いろいろ知ってるいるし、考えている)


「わたしは、少し先でなく、だいぶ将来には

きっと燃料問題は無くなると考えています」


「…え、どういうこと」


「むかしの映画のなかで

そこにでてくる博士がいってました。

『未来では燃料も道もいらない』と。

どこにでもある葉っぱや石とかなんでもタンクに

いれれば、それが燃料に変換されてました。

だからエネルギーについては考えなくてよいと。

あと、それこそ空を飛ぶから道もいらないと」


「あ、なんかそんなのあったかもしれないね。

それが当たり前になったら確かにエネルギー問題は

なくなるね。

それに空を飛ぶクルマも夢ではないんだ」


「おそらく、わたしたちがもういなくなってから

かもしれないけど、

そんな未来があるかもしれません」


「そうだよねー」


「だからそれまでのつなぎ的に

エネルギー問題を先延ばししていけばいい。

そういう考えでの、現代の一つ先です」


(そういえば『ユメのクルマ』のはなしだった。。

さすが友佳。

はなしがどっかにとんでもしっかり戻してくれる)


「ハイブリットの先。

例えばガソリンと電気と廃油と水素をすべて備える

といったクルマはどうだろうと思いました。

そのときの状況で使える燃料を切り替える。

そんなクルマがわたしの『ユメのクルマ』です」

 

(なるほど)


「問題はそれらのシステムをコンパクトにできるか

だと思います。

統合できるとこは統合して、システム自体を

単純化しないといけないと思いました。

ガソリンと廃油はなんとなくシステムをミックス

できそうな気がします。

だけどほかはダメかと思うので、3システム必要です。

これをいかに小さく収めるか、ここの工夫なんですけど⋯


先輩きいてます?」


ついていけてないことがバレた。。

「あ、あ、ごめん、少し違うこと考えてた

やっぱり友佳はすごいなぁ

わたしには到底想像できない発想だよ」


「そんなことないですよ

先輩のふだんの妄想が暴走していることと比べたら

わたしのはスケールが小さいです」


「そうかなぁ。

なんかいいこといわれてるのかダメだしされてるのか

わかんないや」


「それでいいんですよ。

先輩のそういうとこがわたしはすきなんだから⋯」


「ほえ、あ、ありがとう?」


「それだけ先輩の熱量は人を惹きつける魅力がある

ってことですよ。

先輩にはなにかきてないですか」


「えーと、通知って友佳もスマホにきたんだよね。

わたしにはなんにもきてないかな。はははは ぁ⋯」


「そうなんですか、先輩のとこにもきてると思ってました」



読んでいただき、ありがとうございます。

わたしは、中村先輩の『ユメのクルマ』も

友佳の考えた『ユメのクルマ』も、実際にあったら

いいなと思います。

実現していないのは、なんらかの理由があると

思いますけど、みんなで考えていかないといけない

問題かなとも思います。


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