自己紹介
ようやく主人公のひとりの自己紹介です。
もうひとりの主人公は…だいぶ先に登場します。
『妄想が暴走する』里美は
同じ営業部の部長や高田を華麗にかわして『ユメのクルマ』創造できるのでしょうか?
営業部に戻ってきた。
『ユメのクルマ』の企画は体のいい北斗自動車の
リストラ対策なのかな。
それでもいい
応募することで何かが変わるかもしれない。
もしかしたら、わたしが応募する『ユメのクルマ』が
採用されるかもしれない。
わたしの理想のクルマができたらどんなに幸せだろう。
賞金でなくてクルマ
わたしだけのクルマ
わたしはくるまが好きだ
わたしの思い通りになるくるまが好きだ
だけど、わたしだけのくるまはない
うちにはお父さんが所有するくるまがある。
誰も使わないときはわたしも使うことができる。
お父さんのくるまは年代物だ
キーはさすがにリモコンだし
窓もパワーウインドーだけど
『昔はハンドパワーウインドーだったんだよ』
ってお父さんにきいたことがある。
ガラスの上げ下げが、自動ではなくて
レバーをギコギコまわして開けていたらしい。
笑いばなしらしいけど
お父さんの若いころは、外を歩いている女の子に
自分の乗ってるくるまがパワーウインドーだって
思わせるように、スムーズにレバーでガラスを
上げ下げする技術を友達と競っていたっていっていた。
さすがに、それは、だいぶ前のはなし
うちのくるまは当時だったら高級車といえる
パワーウインドーだけど、実年齢は
わたしより少し年下程度のじじさまだ。
だけどじじさまに不自由を感じたことはない。
オートマだし、キーや窓は自動で開けしめできる。
ライトは自分の思い通りに、つけたり消したりできる
(社有車みたいに勝手につかないから
かえって不自由ではない)
衝突安全装置はついていないけど
わたしが思うとおりに動いてくれる。
うちのじじさま(くるま)は便利だ。
自分の思い通りに動く。
くるまって新しくなくても
(いやむしろ新しいくるまでない方が)
ノンストレスでいいなと思う。
わたしは、うちのじじさま(くるま)が好きだ。
会社のくるまみたいに
わたしの思い通りにならないのは
いくら安全に配慮されているといわれても
わたしは大っきらいだ(…あ、いっちゃった)
もとい苦手だ
わたしはわたしの思い通りになるクルマがいい。
そうだ
理想のクルマ
それはわたしの思い通りに動くクルマ
わたしと同じ考えをもつクルマ…
それだ
それが一番
空をとんだり、瞬間移動したりしなくていい。
(空をとんだら、おもしろいかもだけど)
ただわたしの思い通りに。
そうだAIがわたしを学んで、
わたしが考えるように、
わたしが行動するように動くクルマ
そんなクルマがわたしの理想のクルマだよ。
たしかYOSHIKIさんが自分のAIを開発するとか
前にやってたような…
『AI里美』
あ、それいいなぁ
『クルマだけどわたし』
『わたしだけとクルマ』
わたしが『クルマなわたし』に乗ってドライブ
自分自身がドライブって絶対、思い通りだし
楽しいと思うよ。
そうだ
それで友達みたいに『AI里美』に相談したり…
おもしろくない?
あ、でもわたしが『AI里美』に相談したら
同じところをクルクルまわるだけかな?
あはは、それはそれでおもしろいよね。
『AI里美』楽しいと思うよ
『AI里美』はクルマだけど
ふだんは小さなわたしになってて
わたし以外には誰にもみえないけど
わたしの肩の上に乗ってるの。
それで24時間一緒に行動してさ。
あ、『相棒』だ
そうだ『小さな相棒』
いいなぁそんなクルマ…
…ん?…それじゃクルマじゃないか……
「⋯とうさん。佐藤さん!」
「あ、あ、おは⋯
あ、あしたの情報を整理してまして⋯」
「はい、おはよう。よろしくね」
(うわっなんできょうに限って部長がいるの?)
「はい!」
「さとみちゃん、『妄想が暴走する』ときは
画面をそれらしいのにしといた方がいいよ」
同じMRの高田さんが囁いた
「あー、そうですよね⋯
って妄想じゃないです。
総務から回ってきた依頼を考えてただけですよ」
「あ、それ。
それって総務が自分のとこのノルマをこなすために
イントラに載せてきてるだけじゃない?
やんなくてもいいやつだよ。
ま、やってあげてもいいと思うけど
適当に『ちゃっちゃっ』て、かたしちゃった方が
いいんじゃない?
⋯そうだなぁ。僕だったら
『ユメのクルマ』は『空飛ぶクルマ』
…うん、それでいいんじゃない?
あ、なんなら、いまの僕のアイデア使っていいよ。
それで、なんか賞とれたらさ
僕にも分け前をくださいましねー
あははははー
それよかさぁ、僕、あした〇〇医院に呼ばれててさ⋯」
わたしはこのひとが苦手だ
どんどんはなしを進めていってわたしを巻き込む
自分のペースを乱されるのって、気分がよくない
そして、やっぱり疲れる。
ヒトもクルマも同じ
「⋯とみちゃん、ねぇさとみちゃん?」
「あ、ごめんなさい。
わたしもあした回らないといけないとこがあるんで、
一緒に回れないです。
あーわたしも、これから仕込まないと。
…いろいろおはなしきいていただいて
ありがとうございますっ」
かわしにはいる。
「そうなんだ。
そんな総務の依頼みてたから
あしたは余裕があるのかと思ってたよ。
あー残念残念。ほかをあたりますか。
じゃ、ま、またなんかあったら
おチカラ貸してくださいまし」
ようやく席を離れてくれた。。
いままでの流れだと
そうは感じにくいかもしれませんが、
実はわたしは、この業界で役にたっていると思います。
訪問先のドクターや事務員さんの評判もいい。
(と思っています)
ドクターの先の患者さんたちの思いや
もしかしたら患者さんがドクターに
伝えきれてないかもしれないことを読み解いて
あらゆる可能性のあるお薬を案内している⋯
あ、今更ですが、わたしは製薬会社で働いています。
なまえは佐藤里美。
入社して5年になります。
訪問先のドクターからいただいた要望や
おはなしいただいたことから
関連する情報や、対応するお薬の案内などをしています。
それが後日
あのときの佐藤さんの案内が役にたった
とドクターにいってもらえたときに
仕事のやりがいを感じます。
以上、リクルート紹介のようなわたしの紹介。
そのための妄想。もとい想像力だと思っている。
ときに妄想が暴走とか、
なんかうまく韻を踏んでまとめられる
(わたしは納得してない)けど
わたしはときに、時間を忘れて想像する。
そして全力で一つのことを想像することで
よい創造ができる。
(なんかうまいこといってみた)
ということで
きょうは明日の準備もするけれど…
わたしのキモチを優先して
まずは『ユメのクルマ』を創造するのだ。
ここまで読了いただきありがとうございます。
わたしは里美みたいな子が好き(自分の分身だし)
そして里美の思いついた『AI里美』はほんとにほしい
自分の相棒が肩に乗ってわちゃわちゃする
わたしも妄想が暴走しながら、楽しくかけます。
次回は『ユメのクルマ』の発想のきっかけになる社有車のはなしです。