表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/57

あらたな思いつき

 ソニエール男爵家の屋敷は、シルヴェストル侯爵家の管理人が責任をもって管理してくれるらしい。


 わがソニエール男爵家と違い、侯爵家にはちゃんと管理人がいる。その管理人がもろもろの手配、たとえば日頃のメンテナンスや清掃をする人材の派遣、書類上の手配などすべてを行ってくれるという。しかも、その費用は侯爵家がもってくれる。


 たとえ新天地でうまくいかなかったとしても、つまり失敗したとしても、とりあえずは帰ってくることが出来る。


 ほんとうの意味ですべてを失うわけではない。


 そう考えると、わずかながらでも気がらくになる。


 ということは、そういう点でも侯爵に感謝しなければならない。


 とはいえ、侯爵はこのことも含めてなにか言ってくるわけではない。いっそ「管理してやるからありがたく思え」だとか、「これで路頭に迷うことはない。感謝しろ」というようなことを、エラそうに言うとかしたり顔で命じてくれた方がリアクションがしやすいのに。


 やはり、こちらからなにかを言うつもりはない。


 面倒臭い。それにつきる。


 しかし、もしも侯爵に離縁されたらどうなるのかしら?


 そのことをふと考えてしまう。


 いまの関係が書類上のことだけだとしても、当然離縁されればいっさいの関係がなくなってしまう。いっさいの関係がなくなれば、侯爵がお父様やわたしにしてくれているすべてのことをする必要がなくなるわけで……。


 これも当然のことよね。


 だとすれば?


 書類上の関係を、すなわちいまのまま「白い結婚」を続けた方がいいわけよね。


 これも当然のことね。


(いえ。やはり、これは自然ではないわ。わたしはともかく、侯爵にとってはよくないにきまっている。あれだけ美しくて性格がよく、すべてが完璧な紳士ですもの。それに似合ったレディとちゃんとした結婚をし、ちゃんとした生活を送らなければ。そうよ。ちゃんとした夫婦の形で生活をしなければ)


 そこまで考え、ハッと思いついた。


(そうだわ。わたしがただ『離縁して』と迫るだけでは足りないのよ。彼にちゃんとしたレディを見つけてあげないと。というよりか、彼にはすでにちゃんとしたレディはいるわ。そのちゃんとしたレディを妻にす迎えさせるのよ。そうすれば、わたしは必要なくなる。離縁してくれる。彼にとってもわたしにとっても、それが一番いいにきまっている。そうよ。わたし自身の望みをぶつけるだけではなく、彼の望みもかなうようにすればいい。もしかすると、いまの恩恵はなくなるかもしれない。しかし、わたしが一方的にワガママを通すよりかは、わたしの気持ち的にもずっといい。もしかしたら、奇蹟が起きて援助を続けてくれるかもしれないし)


 わたしたち親子への援助については、なくなってしまう可能性は高い。それはそれで仕方がない。


 これまで受けた恩を返す意味でも、侯爵にとっていい人生を歩んでもらった方がいい。


 突如、考えがかわった。しかも、これまでの道筋とはまったく違ってしまっている。


 そう思いつくと、それしか見えなくなるのがわたしである。


 そのあたらしい思いつきについて、さっそく検討を始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ