武器と獣
休憩を挟みつつ木を倒し、倒木を薪にするために石斧を振るい続けてもう昼過ぎ、疲れた体を木に寄りかかり休める。
ぼーっとして上を眺めていると俺が知っているサイズの2倍の大きさのリスらしき獣が俺を見つめていた
(でっっっかっ!モルモットぐらいのサイズじゃんデカすぎるだろ····)
森を行く途中や木を伐採してるときに聞こえたギシギシ音の正体はこれかと驚く
(······)
しばらく見つめ合っていると、俺から興味が無くなったのかそっぽを向いて爪を食い込ませるのを辞め助走を付け、木の枝を揺らしながら別の木に移り視界から消えた。
(リスであのサイズ、あんな身体を支えるには鋭い爪や筋肉もきっと必要だろう。)
リスでさえあのサイズなのだ、他の獣や『化獣』は、でかいし爪や牙は鋭く、毛皮は分厚くパワーも段違いなのだろう。
想像上の獣に内心、ビクッとしてそろそろそれに対する『手段』を考えなければならないと思ったのであった………
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拠点に戻り、汗を流しながら持ってきた薪や材料等を地面に起き、燃え尽きた焚き火の前であぐらをする。
元々、この森には獣を狩る為に入ってきたのだ、その獣に対する手段も早急に考えなければならない。
ひたすら思考を巡らせる、どうすれば獣を効率良く、素早く、確実に仕留められるのかを
(とりあえず、武器だ、武器を作らなければならない…獣の毛皮を貫き致命傷を与える武器を!)
自分が持ち合わせる知識を総動員して考え、自問自答する。
(まずは剣、ソードだ)
答えはNO
リーチが無く斬撃は有効で無いし、突くだけなら槍のほうが良い。
既存の剣術や戦い方では『獣や化獣』は殺せないし狩れはしない、そんなのはゲームだけで剣で出来るのはせいぜい弱った獣の息の根を止めるぐらいだろう
(次は槍だ)
答えは、YESだが正解ではない
槍は古来より動物や魚を狩るために使われてきた道具だ、身体を軸とし穿つ一突きは獣の毛皮を貫くことが出来るし、投げて中距離の獣にもダメージを与えられる
だが、獣に対して近接戦闘は第一にリスキーであるし、そもそもその間合いに入る前に逃げられるだろうし、飛び道具としても命中率が個人の才能や熟練度に大きく作用するし、威力が今ひとつ足りない。
(なら、マスケットはどうだ?)
武器としては正解であるが現実的ではない
そもそもマスケット銃は中世期の終わりである『15世紀』で普及し始めた武器だ、あってもせいぜいタッチホールのハンドキャノン。
例え、マスケット銃や火薬のメカニズムや作り方を知っていても作るのも硫黄や硝石の採取にも金が掛かるし、莫大な労力がかかって非現実的だ。
(吹き矢はどうだ?)
残念ながら、NOだ
基礎原理や仕組みは簡単で飛距離も出るがいまいち威力にかける、矢に毒を塗れば多少マシになるが……
(ならスリング、投石紐はどうだ?)
答えは微妙である。
確かに作るのも用意で、練習をすれば高速で石を撃ち出し、簡単に威力をだせて、鉛の弾を使えば兵士の革製の鎧すら貫いてダメージを与える事が出来る非常にいい武器だ。
だが、あれは思ってるより当てにくいし、高速で石を打ち付けても中〜大きな獣の毛皮と脂肪には無意味だろう、せいぜいウサギや鳥を狩ることしか出来ない。
(なら弓はどうだ!)
これまた微妙である
たしかに弓は、獣を狩るに当たって最適な武器であろう
上下の射角に強く、高速で撃ち出される矢は安定性があり正確にターゲットを捉えることもできて、仕組みも単純で簡単だ
だが、あくまでそれは青年や大人の身体ならという話だが。
弓の威力や飛距離をを高めるなら張力が必須で、それに比例して張力を求めると必然的に弓が重く、固くなり引くのが困難になる、
この体ではせいぜい引けて10〜25ポンド、頑張って30ポンドだろう。
だが、それでも中距離であれば毛皮を貫く事もできるし、弱いところを狙うか毒矢を撃てば致命傷を与えられるが……
(毒を使っちゃだめなんだよなぁ、面倒くさい法だ)
毒の利用は許可でもないと不可能であり、宗教で禁止されている、使った場合は鞭打ち20回以上か死罪になる
それでも毒矢が無くとも弓は使える武器になるだろう。
(威力が欲しいならクロスボウはどうだ?騎士だって殺せるぞ?)
答えはNOである
確かにクロスボウは狩猟でも使われるし、プレートアーマーを着た騎士を容易く貫き殺すこともできる武器だが
やはり、この身体でクロスボウの弦を引くのは難しく、引けるように威力を下げてもなおそ威力も有るが上下の動きに非常に弱い、これは狩猟をするときに致命的だ。
それに、作ることは出来るが現状、制作難易度が高いのが現状で、上下の動きに強くするために矢を固定するバネも金属で作らなければいけない。
「と、なると考えられる答えは一つ、矢に重さがあり、高速で飛ばせて、少しの訓練で飛距離が200メートル以上出せて、製造も用意なのは……」