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土器と石斧

川の流れのせせらぎと鳥の声


煙を出しながら激しく燃える焚き火の中に鉢状に厚く形成された粘土が枯木と共に燃やされていた


(これで土器ができる、ただの素焼きで釉薬無しだが最低限の煮るや煮沸はできるだろう)


土器とは主に登窯や釉薬などのコーティングを使用せずに600℃から900℃未満で焼かれて出来る容器だ。

これより高度な陶器や磁器より耐久性が無く吸水性も大きいが、それでも人類に煮沸と加工を教え、人類に食の安全と繁栄を約束した技術だ。


(とは、言ってもできるまで時間がかかるし、その時間を無駄にする余裕もない、夕方まで後3時間、太陽の光は有限だ)


夕暮れには森の中は闇だ、暗闇の中ではどんなに夜目を慣らしても、人はその闇に活動を縛られる。

できるのは焚き火を眺めながら細かな作業をするか、恐怖を忘れるように寝るかの二択だ、ぼーーーっとしてる暇など俺には残されていない。


やることはすぐに決まった、石斧を作って木を切り、土苔や葉が生えた枝をもぎ、シェルターを作ることだ

ただ石斧を作るにしても、ただ適当に石を選んで木にくっつければ良いってわけじゃない、斧の種類も適した石もあるのだ


俺が作るのは縦斧の蛤刃磨製石器だ、石材はチャートや安山岩やシェールや黒曜石のような硬い石、石ごとに特徴もあり見分けるのも簡単だが、


「ふんぬらぁ!!」


わからないならおもむろに石をぶん投げたりぶつけたりして割れなかったり、割れてその断面がツブツブせず比較的滑らかなら適している。

本来その石材を叩き割って、平面な石や岩で研磨したりて作るものだが、川の中や河川の近くにある石を探す

川の力は偉大だ、水の流れで押し流し長い年月をかけて砕き研磨す、自分で手間を掛けてやるよりも簡単に適した石が見つかるものだ。


お次に柄の部分、つまりハンドルだが流木やお好みのサイズの木を切って削って、石器を装着する穴を作る

穴の開け方は尖った石でグリグリして、燃えてる枝や炭をそのくぼみに入れて燃やして穴を開けるだけだ。


(ホントは、アスファルトや樹液で接着したいけど時間がない、縄で固定して使おう)


俺はできた石斧を肩に担ぎ、幹が細い小高木や屋根に使う葉の付いた長い枝や低木を求め森をゆく



_________________


時間は夕方になり日も落ち始め、闇が徐々に森を侵食してくる時間であり獣たちが動き始める時間である

大量の木材を運んで疲れた体を休めることなく、シェルターを組みて始める。


(ここは拠点、長期に渡って使うシェルターだ、しっかり堅実に作らないとな)


俺は、基礎となる土に太い枝を使い穴2箇所を掘り、伐採してきた1メートル半有るだろう木を二本用意して先端を縄で結び『Aの字』に柱を立てて、その先端のクロス部分に一番長い木を三脚みたいになるように立てる

そして、それを支点にして伐採してきた細い低木や葉の付いた枝を隙間なく立て掛けて、縄で結ぶ。


こうしてできるのが『Aフレームシェルター』だ、決して広くなく居住性は最悪だが雨風を凌げて保温性にすぐれ簡単に作れる

これからサバイバルするとき、移動するときに必須になるシェルターだろう。


できた頃には当たりは日はくれ闇に包まれ、虫や小動物の音やフクロウらしき鳴き声が聞こえる

燃え盛る焚き火に新たな土器を追加して、木材調達の途中で取ってきた名前も知らない何科何族の植物の茎の皮をナイフを上手く使いひたすら剥ぐ。


(繊維が丈夫だ、これなら弓の弦にも使えそうだ)


木材を伐採する時に見た、謎の果実がなる木や初めて見る花、この世界の生態系や植物には知らないことが余りにも多すぎる。


元々そこまで元の世界の動植物をそこまで知ってるわけでも無いが、それでも明らかに違うとわかる見た目、異様性


(詳しい情報や生態系が書かれてる本を司祭に聞いたが、そういう百科事典みたいなのはあの村には無いみたいだし、知れたのだ食べる事と食べれないポピュラーな植物と有名な危険な化獣の生態系だけ…)


あまりに知識が無い、書物自体が貴族や商人が買うのにためらうほど高額なのだ無理もない


(辞典が20フランツで本が12フランツ、農民の一日の給料が1ガトラと8ディッシュ、1フランツが30ガドラ……)


20デッシュで1ガドラである、余りにも高額で農民は数年間、酒をやめ食事を節約してやっと買える品なのだ。


「宗教と上流階級が知識を独占する時代、根本は元の世界と変わらないな…」


その独り言は焚き火の音にかき消され、暗闇の森に霧散した



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