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【第一章】目覚めと祝福


何故、俺は生きてるのだろう……


なぜ、どうやって死んだのかは分からない、もしくは本当は死んでないかもしれない

だがそれを知るすべはここにはない、この世界には衛星軌道に漂う機械も海底に沈む長い紐もコンクリートと鉄筋とガラスで作られた巨人のような建物も空を飛ぶ金属の怪鳥も轟音を響かせる鉄牛もこの世には存在などしないのだから。


俺はたちの悪い冗談かも知れないが「ナーロッパ」に転生したらしい


_________


この村は、外界はコナラやシラカバなどの雑木に覆われて、その木や獣から人を守るように申し訳程度の柵、広い畑、みずぼらしい家屋、粉挽きの水車、休日に下手くそな歌が漏れる居酒屋、村外れの鍛冶屋、身体に悪そうな煙を出し続ける炭焼小屋とパン窯、そしてその大きさが権威の象徴である聖堂

人口は500人居るだろうか?そんな村で俺という自我は再び目を覚ました。


始まりはなにかに祈る女性だった、目を開けると俺じゃない名前で体をゆすり始めた

「アルテス?アルテス?!しっかりして!!アルテス!」


アルテス?誰だそいつは、揺さぶられて意識が体が理解し始める


あぁ…俺だ、それは…


理解し始める、自分は何なのかをここは何処か、こいつは誰なのかを、実にたちが悪い夢だと思いたい


ここは、この世界は生活水準がよく見積もって中世盛期レベル、衛生概念も識字率も農業力も科学も低レベルで子供も大人も良く死に理不尽に飢えたり、闇に怯え何かに祈り縋り付かないと狂いそうな世界だと。


「アルテス!?目を覚ましたのねっ!すぐにお父さん呼んでくるから!」


俺は、


「ヴッ、オロロロロロロッロ………」


吐いた


「アルテス!!!!!」


_______



この村で一番デカい建物(聖堂)を背に子供が靴も履かず走り回り、どっか拾ってきただろうガキ大将らしき男の子が棒切れをもって剣術(チャンバラ)の真似をしているやつも居れば、追いかけっこして遊んでる奴らがいた

「靴すら履かないか、いや有っても履けないのか?アフリカか?ここは…」

俺は独り言をボソボソと落とす、それにだれも気に留めることもなず子供たちははしゃぎまわる


(まず作るのは、草鞋だな。足の保護は重要だ、動けなくなったり感染病になったら死んだも当然だ)


そう子供の騒がしい音を無視して退屈な時間を思考で消費する。


ゴーンーゴーンー


と大きな鐘の音がなる、時間の合図だろう、鐘が鳴り終わると同時にこの村には珍しい扉が開かれる


「これより人の洗礼を始める!!遊ぶのをやめて、入りなさい」


立派な修道服に着た白髪のおじさん(司祭)が周りに呼びかける、すると子供たちは名残惜しそうに遊ぶのを止めて続々と聖堂の中に入っていく。


「さぁ君も入りなさい」


俺もその後に続いた


聖堂の中には長椅子が備わってあり、フラスコを横に並べた様な窓から光が指し、奥の台座にはシカ科らしき動物と弓を携える長耳(エルフ)女性の彫刻が祭壇に祭られ、その手前に前に、鉛色をした炎が灯されてる大きなゴブレットが鎮座してた

俺はそれを眺めてると椅子に座るように催促された


他の十数名の子どもたちから浮きだつ声が静かな聖堂をざわめかせる、「楽しみだな」や「俺は選ばれてる」とか

修道服を着たおじさんがそれを黙らせるように咳払いをする


「君たちは10の年を越え生きてきた!その時を越えるまでに病魔に犯されたり獣に襲われて死ぬことも多い、非常にめでたいことだ、きっと自然の神であり厄災を終わらせた大五英雄の『アールブ様』の加護が有ったのだろう。」


彫刻の長耳(エルフ)の女性あれが『アーブル』なのだろう、この聖堂が祀る神、この村の宗教であり法。


「10の年を超えた君たちには、人として生きる使命が与えられる、それは森に入ることや村を出ることも育ての親も手伝う事も出来るということだ!それに伴い、印とし蜂蜜酒を飲み、ナイフと火打ち石を授け、『祈り』の有無を確かめる」

静かになってた子どもたちが再びざわめき始める、それを黙らせるように司祭が再び咳払いをする


「無論、『祈り』がないからと言って人でなくなるわけでも無い、大半は授からなかった人が多いだろう安心したまえ。さて、キミたちは長話は嫌だろう私もそうだった…待ち切れないだろうし早く始めようか」


そう言って手を叩くと奥から修道服をきたおばさんが出てきて酒を盃についでナイフと火打ち石を配る準備を始めた。


子供たちがそれを貰うために並び始める

『やっとだぜ!一人前の証』

『これで兄貴にパシリにされなくなる』

『これでママにいちいち怒鳴られなく無くなるわ』

そんな声がヒソヒソ聞こえる


この儀式はいわば成人式見たいなものなのだろう、次々前へと進み、盃に注がれた(蜂蜜酒)を飲み、ナイフと火打ち石を貰い、燃えさかるゴブレットに何かを放る

時折、「なんで反応しないんだよっ」と癇癪を起こしたり「もう一回やらせろ!」と何度も触れたりする奴らを優しくなだめてる司祭の声が聖堂に鳴る…


その間に列は進む、着実に俺の番が近づいてくる


「やった!炎が!」

どういう原理なのだろうか?なにかの化学反応?ただ燃える火の色が青くなったのだ

喜びの声が場をざわめかせる

「おめでとう」と喜びを分かち合う姦しい集まりや

「なんであんな女なんかに」と卑下する選ばれなかった男どもの小言が姦しさに負ける


「みんな静かに!おめでとう、これはきっと癒やしの『祈り』でしょう、癒やしは傷を治すのを早めたり病魔を退ける力が有ります、後で使い方をお教えしましょう」


『祈り』か、聞いた話によると魔法に近い何かだが超能力に似てる気もする、ファンタジー要素まるでゲームだな、

そう思ってるうちに列は進み再び喜びの声が聞こえる…







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