未成年で何が悪いんだよ!
『俺は<清楚系>が好みなんだよ』
まあこれは、嘘ではないが、『清楚系じゃないとダメ』という意味でもない。ただ、前妻は確かに清楚系だった。ちょっとお高くとまったところもある、少々、潔癖なタイプだ。だからこそ家族を愛そうともしない俺が許せなかったんだろう。
仕事も俺よりはるかにできるしな。
てか、俺は仕事そのものにもあんまり意欲が持てるわけじゃないんだ。仕方ないからやってるだけで、生活できればそれ以上は要らないし。
若い頃は自動車に入れ込んで、結婚する以前には三台持ってたこともある。そのために頑張った時期もある。で、結婚するからといって一台に減らし、家族用に軽ワゴン車を買った。離婚時には軽ワゴン車は二代目になってたが、それは妻が持っていった。俺には趣味のクルマが残った。まあ、軽ワゴン車よりも値打ちねえしな。プレミアはついてるが、それもマニアにしか意味ねえし。興味ない奴にとってはただの<変なクルマ>だし。
と、それはいいんだが、今日はチャーハンだった。
「割と上手いな。パラパラじゃん」
食べようとスプーンで掬ってみると、ちゃんと飯粒がパラパラになってた。俺も昔自分で作ってみたことあったんだが、どうしてもねっとりにしかできなくて、自分で作るのは諦めた経験がある。
で、食ってみると、
「普通に美味いな……」
そうなんだ。その辺の中華屋で出てくるのと大差ない美味さなんだよ。そりゃもっと美味いのを出す店もあるんだろうけどよ、でも、このレベルで七百円くらいとるところも少なくないと思う。
すると大虎は、
「やった♡ じゃあご褒美に襲ってくれる?」
とか言ってくる。冗談なのか本気なのか知らないが、
「それはない」
きっぱりと返した。
「えーっ!? なんでだよ!? 別にいいじゃん! ウチがいいって言ってんだからよー!」
「そんなんが信用できるか!」
言い返す俺に、急に真顔になって、やや上目遣いになって、
「私が、他の男ともヤってたから……?」
なんてことを。それに対しては俺は、
「関係ねえよ! お前が未成年だからだよ!」
と言い返す。
しおらしい顔をしても演技の可能性がある以上、俺はこいつを信用しない。だから<未成年>ってのを理由にすれば、急に歳を取ることができない以上、どうしようもないだろ。
「なんだよ! 未成年で何が悪いんだよ! ヤることヤれんだから関係ねーだろ!」
「大ありだわ! 親の承諾なきゃ結婚もできねえ。選挙権もねえ。少年法で守られてる。大人とは何もかも違ってるってんだよ! おめーはまだ、<子供>なんだ!」
すると大虎は、
「その子供をヤる道具にしか思ってない大人だっているクセに……」
顔を逸らして忌々しそうに呟いたのだった。