表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/106

悪目立ち

 そうだ。一口に<悪目立ち>とは言っても、悪逆非道な感じで悪目立ちしてる場合と、そこまではいかないものの突飛な素行で悪目立ちする場合があるだろう。大虎、<大戸(おおと)羅美(らみ)>は後者って感じか。

 人当たりはそれほど悪くなさそうだから、友達とかも作るのは難しくないかもしれない。だが、

「大虎は、なんかグループみたいのを作ってるのか?」

 問い掛ける俺に、牧島(まきしま)は、

「う~ん、それが逆に孤立してる感じっぽいってのが娘の印象らしいんだよね。学校でも別に誰かとツルんでる様子もないし、話とかもしないし。特に教師とはまともに口をきこうとしないんだってさ」

 とのこと。

「なんか、俺が見た印象とは違うな」

「へえ? どんな風に?」

「いや、どっちかってえと、なんか悪い仲間とツルんでウェーイってやってそうな気がしたんだけどな」

「そうなんだ? ああでも、学校なんかとそれ以外じゃ印象変わる子っているよね」

「まあ、そんなもんなんだろうけど。なんかやっぱ、あれは<演技>だったんだろうなって気がしてきたよ」

「だけど、それが向こうの作戦かもしれないよ? そう思わせて同情を買うっていうさ」

「だよな……その可能性は高いよな……ほだされちゃダメだよな……」


 なんてやり取りをして、仕事終わりにも牧島に、

「警察から何も連絡がなかったところ見ると、別に騒ぎにはなってないかもしれないけど、やっぱ、ちょっとでも金になりそうなものはなくなってたりするだろうから、気を付けた方がいいよ。あと、Wi-Fiのルーターとかも置いてるんだろ? パスワードが書かれてたりするからそれ見てWi-Fiを勝手に使われたりってこともあるんじゃないか? もしそれでなんかやらかされてたりしたら、面倒なことになるかもね。私も証言はしてあげるけど、覚悟はしておいた方がいいかもね」

 って言われて、

「あ……!」

 と思ってしまった。そうだ。盗まれて困るものは別にないが、うちのWi-Fiからなんかネット使った犯罪行為でもやられてたら、これは確実に俺も責任を問われるヤツじゃないか。怪しい奴を部屋に一人にしておくとか、<重過失>って言われても仕方ないぞ……

 自分の迂闊さに頭を抱えながら、俺は焦る気持ちを抑えて慌てずに家に帰った。今さら慌てたところで手遅れだしな。そこで焦って車に撥ねられたり駅の階段を転げ落ちたりしたらそれこそ目も当てられん。

『泣きっ面に蜂』

 って言葉もあるが、そういうのは狼狽えたり焦ったりして注意力が散漫になった所為でやらかすことも多いと思う。

 なら、

『焦った時こそ冷静に』

 だな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ