武具屋2
「おい!ニコラス!やべーよ今から外の街だぜ」
「ああ、でも気にするなって。俺たちは今から優勝して外の街を闊歩するんだろ?その英雄が今から尻込みしててどうするんだよ」
「なるほど。たしかにそうだな」
「ぼ、僕も頑張る」
外の街か。俺たちにとっては縁のないところだと思っていたがまさかこんな形で出れるとはな。
「さて小僧共。心の準備はできたか?いくぞ」
オリバが扉を開けると俺たちはまばゆい光に目を瞑るしかなかった。こんなにも外の世界は明るいのか。
「すげーよニコラス!!俺まだ直視することができねぇ!」
光に目が慣れるとそこには俺たちには想像もつかないような世界が広がっていた。
活気がいいなんてもんじゃない。人々は笑顔で通行人に声をかける商人。それを楽しく見る人。
ここの街のやつらは希望に満ち溢れた目をしていた。
もしかしたら、それが俺たちにとって眩しかったのかもな。
「観光するのはあとだ。ほらさっさと行くぞー」
オリバに急かされてケビンもはっとしたらしいが、まだキョロキョロしながらついていく。
俺たちとは住んでる世界がまるで違うようだ。
三十分ほど歩いただろうか。
明らかに外の外観から武具屋だとわかるところにきた。
「ここは俺の御用達の武器屋だ。好きなもん買え」
「「おおー!」」
ケビンとリンが興奮している。
そりゃあこの中から好きなもん選べって言われたらそうなるか。
「おっと小僧はこっちの刀だな。こいこい」
呼ばれて行ってみるとそこには天井から壁までびっしり刀で埋まる部屋があった。
「ここの主人は大の刀好きでな。ここにはいろんな刀が揃ってるぜぇー好きなの選びな」
「あぁ、でも俺はこのままでいいかな」
腰の物に手を当てる。これは俺と親父の数少ない接点でもある。
「う~んたしかにその刀もいいんだが、それじゃキツイ。
新しく買ってそいつは飾ればいい。折れてしまったら仕方ねえだろ」
たしかにこいつの言うとおりなのだがそれだけでもない理由もある。
「お前、気づいていたんだな」
頷く。そうだ。俺はスラムでこれよりいい刀も何本も拾ったことがある。ただし俺はこの刀以外だと上手く扱えないのだ。
まるで刀に拒絶されているような感覚だ。
「お前のその感覚は正しいよ。お前はかなり刀に嫌われているようだもんな。なんでかなぁー」
嫌われているか。そうだな。
この武器屋で飾られている刀にどれもピンとこない。
まるでこの部屋自体に拒絶されているようだ。
「ん、、?」
それは豪華な装飾が施され壁に飾られているわけでもなく、天井から吊るされているわけでもなく、無造作に入れられている刀の一本に過ぎないのだが。
「これは、、?」
わかる。手に取るとわかる。まるで俺を呼んでいるようだ。
まったく装飾のない刀なのだが紫色の柄を握るとまるで俺自身だ。
「ちょっとお客さん!?それはだめだって!!なんたって妖刀だよ?!そいつを手にしたやつは不幸な死を遂げることで有名なんだ!」
「ほぉーなるほどたしかにこいつは妖刀だなー。小僧この紙を切ってみろ」
オリバが正方形の紙を持って切れと言っっているが、おかしい。
「ふふ。なるほどなぁー」
どうやらこいつは紙を切るつもりなど到底ないようだ。
オリバを斬りたがっている。
きっとそれをオリバも知っている。
これは俺を試す試験だな。
ゆっくりの抜いた刀には一切の淀みなく透き通った刀身の鋭さに惚れ惚れする。
(まあ、まて今は俺の言うことを聞いてくれ。そのあと二人で暴れようや)
刀にそう問いかけるとまるで先程の殺意が嘘のように消えていく。
ゆっくりとオリバの持つ紙を斬る。よしどうやら言うことを聞いてくれたみたいだ。
「流石だな。その妖刀ともう仲良くなるとは」
「あぁ。これはまるで俺自身だ」
「なるほどねぇ」
呆気に取られている主人にこれを買うと伝える。
「そ、そんな。それでお前が死んだら俺まで後味悪いよ」
「安心しなって。大丈夫だ。どうやらこいつは妖刀と仲がいいらしいからな」
「は、はあ、、オリバさんがそこまで言うのなら」
「よし!小僧あとは服だがどうする?」
「鎧はどうも重くて合わない。軽くこいつを腰に付けるのに適した服でいい。靴は動きやすければな」
「まったく欲がねえなぁー」
おれは結局、黒い革靴と茶色がかった服を上下で揃えた。
袖口はキュッとしまっており中々動きやすい。
足の丈もぴったしだ。
「おい小僧。これも付けてけ」
オリバに渡されたのは黒いローブ。さしずめ死神って言うところかな。
「おおー似合ってるぞ。よしっ!他の二人も見に行こうか!」
死神か。悪くない。
さて二人はどんな武器を選んだのかな。
俺もまだまだ子供だな。こんな格好してるだけで胸が高鳴る。
今だけはいいだろう。
さぁ行こうか。俺の相棒と共にな。




