武具屋
あのあと俺達はおそらく牢獄内の一室に三人まとめて連れて行かれた。
まだケビンとリンは意識を失っているようで、一人でこの部屋を散策していたが意外と武器や鎧など置かれている。
これを手に取れば再び逃げることも出来そうだがそんなことは向こうも承知だろう。
余裕すぎて腹が立つぜ。
「う~んニコラス?ここはどこだ?」
「はっ!ここは一体!?」
ケビンとリンが目が覚めたようだ。
俺は今自分たちの置かれている状況とこれから何をするのか説明した。
「マジかよ。優勝すれば外の世界で自由に暮らせるのか」
「で、でも僕二人の足手まといにしかならないと思う、」
「なに言ってるんだリン。ニコラスだってお前を戦力だって思ってるからスラムで一緒に暮らしてたんだろ?」
期待に胸を膨らませているケビントは対象的なリンだが、たしかに俺はあいつの腕を買って共に暮らしていた。
「リン。お前も戦うしかないんだ。覚悟決めちまえ」
「う、うん。わかった」
さすがまだ10才くらいなのに覚悟を決めるのが早い。
まあ突発的に争いが起こるスラムじゃ当たり前のことだがな。
「よぉーお前らも起きたかー」
薄暗い部屋に光が差し、入ってきたのは騎士団長。
先程のガチガチの鎧とは違いラフな服装になっている。
「まあまあ、そんな怖い顔すんなって。それじゃあ左から自己紹介していってくれよー」
ケビンとリンが睨み付けるのも仕方がない。先程まで命を奪おうとしていたやつがふざけた格好で目の前にいるのだ。
ただ、仕方がないと諦めたようにリンから自己紹介していく。
「僕の名前はリン。年はわからない。たぶん10才くらいだ。得意なのは気配を消して相手を殺すこと」
「うんうん。たぶん俺じゃなきゃバレずに殺せてただろうもんな。たしかにあれば一つの武器だ。それじゃあ次」
「ケビンだ。年は14。得意なのは防御だな。リンとニコラスを守るのは俺の仕事だ」
「たしかにお前めっちゃ固かったもんな!俺もこんなやつがスラムにいるとは思わなかったぜ」
「名前はニコラス。年は14。得意なのは刀だな」
「お前のその刀だいぶ古いがそれは盗賊から奪ったものか?」
「いや、これは親父の形見だ。なんとなくしっくりくるんでな」
「ふーん、なるほど」
三人が自己紹介を終えるとオリバがまるで舐め回すような目で俺らを見てくる。まるで鑑定でもされている骨董品のようだ。
「お前らほんとろくな装備じゃないからな。今から武器でも買いにいくぞー。それと服もな最低限の身だしなみも出来ていないと俺が恥をかくからな」
俺たちはたしかにろくな装備も服もない。この際こいつを利用できるまで利用しよう。
「あぁよろしく頼む」
俺たちは思わぬ形で外の街に出ることができた。




