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スラムの英雄  作者: もも
18/22

一回戦

「それでは一回戦!スターーート!!!、、、、ってあれ?」


実況が困っているのも無理はない。

エレナを除く俺たち三人は隅で偉そうに座ってるのだから。


「えーとこれ始まってますよね、、、、?」


さっき自分でスタートと言ったくせに、自分が言ったことすら理解できないほど信じ難い光景らしいな。


「皆さん!!彼ら相手では何人いても対して変わりません!そこで!」


エレナが弓を引き、相手と自分の間に突き刺す。

これには会場も静まり返る。


「その弓よりこっちに来れればこの方たちの勝利にしましょう!どうですか?これくらいのハンデがないと面白味もないでしょう?」


会場は一瞬のどよめきののち、最高にボルテージが上がっていく。


「よっ!貴族の姉ーちゃんさいこだー!!!」

「いいぞー!!もっと言ったれー!!ガッハッハ!」


会場は爆笑の渦に包まれ相手は完全なアウェーになった。


「あの、、、騎士団長様、、、これはどうなさいますか、、、?」

「ガッハッハ!決まっているだろう!そのとおり進めるしかないだろ!」

「しょ、承知致しました。皆様!ただいまよりエレナ様対訓練生候補生として試合を再開させます!」

「くっ!舐めやがって!!ぶち殺してやる!!」


どうやら相手側はかなりのお怒りのようだ。

そりゃあ大観衆の前でこんなことされたら恥以外のなにものでもない。


「派手に行きますよー!!みなさん!」


エレナは試合慣れしている。観客を味方につけ、声援が後押しとなっている。


「【五月雨】特別バージョン!」


エレナは思いっきり弓を引き同時に何本も高速で空に向かって射った。いつもより数が多い分威力は落ちるがこいつらには十分だし、なにより派手な演出を観客が好まないわけがない。


「ぐはっ!これは一体どうなってるんだ!」


見たこともないような矢の雨にさらされ、三人が戦闘不能になる。盾を持っていたタンクとたまたま後ろにいた剣士が助かっただけだ。


「おい!突撃だ!あの弓より前に行けばいいんだ!」

「お、おう!」


焦った二人はタンクと二人で突撃するが、


「浅はかな」


エレナが弓を引き、軽蔑した目で相手に狙いを定める。


「舐めるな!これぐらいの弓なら俺でも弾ける、、ぐはっ!!!」


ここでタンクも戦闘不能。矢を弾いたように見えたのだが次の瞬間お腹に矢が当たり戦闘不能になった。これは。


「これは一体!?今の技はなんでしょう?!」

「これはヴァンラルテ家に伝わる弓術の一つ。【双刺】だな。一本は顔面に捨て石。本命はその矢に隠れたもう一本。顔に飛んでくれば人は自然と顔を守るようにできていますので、二の矢に気が付かず腹をやられるっていうわけだな」


流石、騎士団長だ。これはかなり熟練の騎士でないと防げない。誰だって顔に向かってくるものには過剰な反応を示しがちだ。それを逆手に取る技だ。


「さあ。最後はあなた一人ですけどどうしますか?」

「くっ!クソがー!」


捨て台詞と共に突撃しようとするが動けない。

既にエレナの技が入っている。


「ほう。これは【影縫い】相手の影に射つことで相手をその場から動けなくするものだな。勝負ありか」


エレナゆっくりと歩き、訓練生候補に弓を突きつける。


「貴族を侮辱したのです?どうなるかおわかりですか?」

「ちょっ、待て!いや待ってくれ!」

「最後まで哀れなこと」


エレナは躊躇せずに弓を引いた。

相手は0距離で打たれ瀕死になっている。

怒られるとこえーな。


「しょ、勝負あり!!一回戦勝者はヴァンラルテ家!」


「「「おー!!!」」」


観客は血を見て興奮が収まらない様子だ。

エレナコールが会場で起こり出す。


「さあ!皆さん帰りましょうか」

「エレナさん、、、怖い、、」

「おっかねぇな、、、」


若干ケビンとリンが引いていたが、これくらいやった方が観客も喜ぶというものだ。

俺たちは無事一回戦を突破し、かなりのファンも獲得することに成功した。

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