トーナメント表
今日はエレナが剣術大会のトーナメント表を持って帰ってくれるはずだ。ヴァンラルテ家としての出場ということで4人で合意した。
エレナはお家再興の為に。俺達は解放のために。
目的は違うが絶対に優勝するつもりでいる。
「ただいま帰りました。トーナメント表をもらってきました」
「おおー!それであの騎士団長の息子とはいつ当たるんだ?」
「決勝ですね。どうやら一人での参加らしいです」
このオルガンっていうのが騎士団長の息子か。
一人での参加とは随分と自身満々だな。
「あの、、僕たちの一回戦の相手は?」
「一回戦はね。名前は有名じゃないから調べて見たんだけどどうやら騎士団の訓練生候補らしいわ。この大会で優勝とまではいかなくても結果を出したいんでしょうね」
なるほど。たしかに騎士団長も見に来るこの大会は絶好のアピール機会ってわけか。
「でも油断は禁物です!皆さんの力を合わせて頑張りましょー!」
「「「おー!」」」
トーナメントは16組で争われるようだ。
騎士団長をぶっ飛ばしてやりたいがまずは息子から、、いや、逆に息子をぶっ飛ばすってのもいいな。
父親の前で殺してやる。
「あと2週間だけれどもやれることはやってきたから皆で優勝しましょう」
「そうだな!俺が絶対全員守ってやるぜ」
「僕も、、力になれるよう頑張る」
気合も充分なことだ。このまま決勝までなんとか体力を温存して上がりたいところだな。
そして大会前日。この日は大会が行われる会場での国王陛下の挨拶となっている。
16組が勢ぞろいする試合前もっとも緊張感のある場所だ。
「おい、、あれって潰れたはずのヴァンラルテ家じゃないか?」
「おいほんとだぜ。兄と親父が死んでからあの家は潰れたも同然だったのにな」
どうやら外野がうるさいようだが、エレナはまったく気にしていない様子だ。
こんなクソみたいな連中のことぶっ飛ばしてやりたいがそれは試合が始まってから。
こんな所で棄権にされちゃ溜まったもんじゃない。
「静かに!!国王陛下が直に到着する!」
野太い男の声に会場は静まりかえる。
今から一国の国王が来るのだ。みな緊張の様子だが、
「もしかしてあれがオルガンか?」
「はい。流石に落ち着いてらっしゃいますね」
一目でこいつはやばいやつだと感じた。
周りの奴らよりずっと静かに前だけを向いているはずなのだが空気が違う。むしろ一番目立ってるぜ。
「おもしれぇ。その鉄仮面俺が剥いでやるよ」
そうこうしている内に国王が到着し、当たり障りもないような挨拶だけして帰っていった。
そりゃあ俺達のことなんて興味ないか。
さてと。明日からは剣術大会も本番だ。
必ずぶっ殺してやるから待ってろよ。
「おっ!お前ら久しぶりだな!」
この声はあいつだな。俺たちの宿敵、騎士団長だ。
「どうやら仲間も見つけて無事参加出来たみたいだな!
どうか俺達を楽しませてくれよ!ハッハッハッハッ!」
今すぐ腰の物を抜いてやりたいがだめだ。
こいつは将来絶対に倒す。
「騎士団長様。この度はよろしくお願いいたします」
「これはこれはエレナ殿。お兄様とお父様にはよくしばかれていました。ぜひこの大会でもヴァンラルテ家の武を見せてくれることを期待しておりますぞ」
「はい。」
この笑顔が気味が悪い。どうせ息子には勝てない。そんな余裕が見え見えだ。
「それじゃあまた!明日の会場でな!」
そう言い残し去っていった。
俺の胸にはたしかに闘志の炎が燃えていた。