初めてのベッド
俺達は訓練を終えて屋敷に帰ってきたのだが、かなり疲れている。
早く飯と行きたいところだ。
「エレナさんは普段何食べてるんですか?」
「私はそうですね。訓練のあとは鶏肉をよく食べてます。近くに美味しいお肉屋さんがあるのでそこに行きますか?きっとお口に合うと思います」
じゅる、、
後ろからよだれの音が聞こえた気がする。
みんなお腹空いているっていうか限界だ。
「ぜひそこで」
お店はすでに人でいっぱいでかなりの繁盛ぶりだ。
だが、エレナは常連プラス貴族ということで特別に案内してもらえた。
そこでご飯を食べながら今日の訓練の感想を聞いてみた。
「ケビンはどうだった?少しはなれたか?」
「いや、ダメダメだな。なんども弾き返されてるよ」
「僕も全然走れなかった、」
流石に初日からみんな手応えが合ったわけではなかった。
むしろ屈辱的だった。
「俺も後ろからの攻撃にはどうしたらいいのかさっぱりわからん」
後ろからくるボールはどうしても避けれない。攻略の糸口もさっぱりだ。
「エレナはなにをしていたんだ?」
「私は同時に出てくる的を射る練習ですが、動く的はやはり難しいですね」
なるほど。たしかにそれができるようになればかなりの戦力になりそうだ。
今日の訓練の愚痴を話しながらあっという間にテーブルいっぱいのお肉を食べ終えていた。
屋敷では一部屋にベッドが2つあり、ケビンとリンに譲ったので俺はソファーで寝ている。
「なぁーニコラス。俺たちがスラム出身だって言わなくていいのか?」
「そうだなー。貴族がそんなの雇ってたってバレたらどうなるかは俺たちでも想像つくな」
これ以上この家の評判が落ちれば取り壊されてもおかしくない。
「でもさ。エレナ一人でも絶対優勝できねえじゃん。まあ、だからといって俺たちのせいで潰れるのも嫌だしな」
「ぼ、僕もエレナさんの力になりたいけど、、」
「明日、本当のことを話そう。それから先はエレナに決めてもらおう」
「そうだな、、」
エレナも大戦でこんな境遇になったんだ。できれば力になりたいがエレナにとっても家を潰しかねないことになる選択だ。エレナの判断に任せるしかない。
そして、夜もふけてきたころ。何者かの声によって起こされた。
(起きてください)
ケビンとリンは寝ているし、なによりエレナとは声質が違う。一体だれだ。
(あなたの刀です)
まさか、刀が喋っただと?
ありえない。まさかそんなことが、
(実は私はエレナの兄です。生霊としてこの屋敷にいたもののなにもできず、、ただあなたの妖刀に引き寄せられこうしてお話することができました)
エレナの兄か。戦場で亡くなったと言っていたな。
(どうかエレナを助けて上げてください。今からあなたに我が家に代々伝わる剣術をお教えいたします。
どうか、どうか妹を救ってあげてください)
貴族の剣術といえば大事なところは一子相伝として受け継がれてきたというのが常識だか、まさかこんなところでで教えを頂けるとは。
(この世は光と闇で構成されています。もちろんあなたの心もそうです。あなたが妖刀とマッチしたのはあなたには闇の資質があったから。騎士団長と戦ったようですがその時強い光を感じませんでしたか?あれは騎士団長の心が光で構成されているからです。あなたはその闇から逃げてはいけません。むしろ開放するのです。おっと。もう時間です。
どうか妹を頼みます、、、きっと貴方なら大丈夫です)
な、なんだったんだ?俺は闇?騎士団長は光?
だが騎士団長と戦ったことを知っているなら本物の幽霊かもしれない。
結局俺はこの日眠れずに朝を迎えることになった。