訓練2
地下への道は屋敷の一番奥の部屋のカーペットの下に扉があった。
「それでは皆さん行きましょう」
エレナは手に松明を持って階段を降りていく。途中松明の火を壁のランタンに灯して明るくしてくれているが、俺達は正直暗くてもかなり見えるので問題ないのだが、
「地下では時間がわかりにくくなりますからこのランタンの火が消えますと3時間経過していることがわかります」
なるほど。時計代わりにもなるということか。
階段が終わったと思えばどうやら大広間があるようだ。
そこにはエレナが言っていた通り鉄球が吊るされている。
「じゃあケビン一度やってみてもいいか?」
「お、おう」
少し怯え気味のの様子なので最初はあまり鉄球を引かずゆっくりと手を離す。
「ぐぇっ!」
間抜けな声と共にケビンが吹っ飛んでいく。
全然引っ張らないでこの威力はやばいな。
「この鉄球はお兄様でも苦労していましたから最初は仕方ないですかね」
「い、いやもう一回」
どうやらケビンの心に火がついたらしい。
だが誰か一人が常に鉄球を引かなければいけないので、誰か一人訓練が出来なくなるということなのだが、
「なぁ、ケビンそれを投げて受け止めたら一人でできるんじゃないか?」
「なるほど!天才だなニコラスは!」
先程少ししか引かなかったのにケビンは助走をつけて思いっきり投げる。当然かなりのスピードで来るわけで、、、
「ぐおっ!」
そうなるよな。
ケビンは一人でも出来るようなので俺達はさらに階段を降りて次の場所に向かう。
「ここはリンくんに適していると思います」
壁に様々な形の凹凸と木が刺さっている。
「リンくんはこの木に乗ることができますか?」
「う、うん」
リンは流石の軽い身のこなしで木の上に乗り片足は凹凸にはめている。
「この部屋はボタンを押すと壁が回転しだしますのでリンくんは落ちないように気をつけてくださいね。それでは」
「えっ?ちょっ!ちょっと!」
リンは回る壁に負けないように前に走っているが明らかに遅い。
そして回転に付いていけず落ちてしまった。
滅気ずになんども挑戦しようという目をしているので良かった。
「あれでもかなり壁の速度は遅いんです。もう三段階上がります」
まじか。あんなの普通に乗るだけでも無理なのにリンが走れてるのすら異常だ。それなのにまだ早くなるのか
「ここはニコラスさん用です。ボタンを押すとこのように」
360℃いろんな角度からボールが発射されている。
「このようにボールを自動で回収して永遠に練習していられます」
なるほど。俺はこのボールを剣で防げばいいのだな。
中央に立ちエレナにスイッチを押してもらう。
「おっと!」
実際に立ってみるとかなり難しい。同時に発射してきたり、時間差で同じ穴から2つ発射されると2つ目が見えない。
「さすがニコラスさんですね。私はもう一つ奥の部屋に訓練場がありますのでランタンの火が消えたらまた迎えにきますね」
「おう!わかった!」
慣れてくると楽しいのだが、やはり何球かあたってしまう。
もっと集中して一つも見逃さないように、、
3時間後、、
ボロボロになった四人で地下室を上がっていった。
特にケビンは少しだけ生気を削がれたような顔になっていた。