第7話 美少女の正体
「なっ、七宮さん…?」
七宮さんは俺のTシャツを大事そうに抱え、床に座り込んでいる。
予想外の人物…知り合いだったということも驚いたが、それよりも学校で1番の有名人ともいえる七宮さんが犯人だということに俺は動揺する。
「ということはあの手紙も…」
「読んでくれたの!?」
瞬間移動のような速さで俺との距離をつめ、放課後の状況のように胸を押しつけられる。
体重すべてを俺の身体に預けてくる。
しかし、前回とは違い七宮さんの表情は赤くなってはいるものの恥ずかしがっている様子はなく、ただただ嬉しそうに息が荒く興奮していた。
「う、うん読んだよ」
七宮さんの言動に俺は戸惑いながらも答えた。
すると急に目をキラキラさせながら語り始める。
「そっか~そうだよね。あんな内容の手紙と自分のパンツが届いたら気になって夜も眠れないよね。あれはね、ちゃんとした感想を桜田くんに伝えたくて勇気を振り絞って書いたんだ」
七宮さんの興奮はとどまることをしらず「はあはあ」と呼吸をしており、俺に身体を預けるだけでなく段々と力強く押しつけてきている。
温かくやわらかい感触が全身に感じるだけでなく服装が服装だった。
「えっ!?七宮さん何て格好してるの!?」
さっきまで暗くて良く見えていなかったが、下は着ておらずYシャツオンリーだった。
「大丈夫!下着は履いているから!」
俺から少し離れてYシャツの上から2つのボタンを外し始めてチラッと俺にピンク色のレースのブラジャーを見せつけてくる。
そしてYシャツの下の方を指でつまんでまくり上げると、上のとお揃いのピンクのパンティーが姿を現す。
「ほら履いているでしょ?」
普段は見えないようなおなかや足などの肌が露出されており、抱きしめたくなるような程よく柔らかそうな肉つきをしている。改めて七宮さんのスタイルの良さが際立っている。
「ち、違うっ、そういう問題じゃなくて…!」
俺は慌てて目を瞑り、手で七宮さんを視界から隠す。その様子を面白がるようにニヤニヤとしており、獲物を狙う肉食獣のように七宮さんは近づいてくる。
「桜田くん…もっとわたしを見てください。わたしの恥ずかしい姿を…」
耳もとでそう囁いてきながら獲物を捕まえる蛇のように俺の身体にまとわりついてくる。
腕で俺の体を抱きしめ、片足を俺の股の間に無理矢理に入れてくる。
「わかった、わかったからとりあえずボタン閉めて!!」
「……仕方ないな、ほんと桜田くんは恥ずかしがり屋なんだから」
七宮さんは少し残念そうにしながら俺から離れてYシャツのボタンを閉めてくれた。やっと七宮さんのことをちゃんと見ることができる。
「よかった…ん……あれ…?」
七宮さんが着ているYシャツに見覚えがある。胸ポケットに刺繡されている学校の校章。そしてI・Sというイニシャルの刺繍。
「な、七宮さんそのYシャツって俺のじゃ…?」
「脱衣所にあったから着ちゃった☆」
七宮さんは自分でこつんと頭をたたきながら、舌を出し「てへぺろ」と言った。
「着ちゃった☆」じゃないよ!しかも今日学校に来て行ったやつじゃないか。あれ…待てよ…そういえばさっき俺のパンツとTシャツ持ってたよな…。しかし、どこにも見当たらない。
「七宮さんさっき持っていた俺の服は?」
「あっパンツとTシャツ?」
せっかく『服』と言って濁したのに普通に『パンツ』とTシャツって言ったよ!もはや今までの七宮さんのように恥らいなんてないのか…!?
すると七宮さんは後ろに振り向いたかと思うとアタッシュケースを手に握っていた。
何コレ?こんなのドラマで札束が入っているところしか見たことないよ。てかいつの間にその中に入れたんだよ。
アタッシュケースを開くと綺麗に畳まれた俺のパンツとTシャツが入っていた。Tシャツはきっとさっきタンスから取ったのだろう。
しかしそのパンツは……!!
「そのパンツ俺がさっきまで履いてたやつじゃん!!!」
お風呂に入るときに脱いだやつだ…間違いない。
すると「えへへっ」と自分の頬をかきながら
「新鮮なパンツがあったから〜つい」
「新鮮なパンツって何!?」
とうとう我慢出来ず、今まで心の中だけでツッコンでいたものが口から出てしまった。
脱ぎたてホヤホヤという意味ですか?食べ物とは訳が違うぞ!
七宮さんは俺のパンツを子どもの頭をなでるように触っており、大事そうに抱えている。
「その…返してくれる?」
俺は手を差し出す。
「絶対に嫌です!この子…この子たちはわたしの宝なんです!わたしの宝を取ろうとしないで!!」
膝から崩れ落ち、うるうると泣きそうな目で俺を見つめてくる。
ここだけ見たら俺が悪いみたいに聞こえるな…。この子って…七宮さん…君が大事そうに抱いているのは俺のパンツだ。
「じゃあ…そうだあの手紙!あの『おいしかったです』ってどういう意味?」
パンツを取り返してくれそうにないので、とりあえず他に気になっていたことに話題を変える。
俺が問いただすと顔をさっきまでよりさらに赤くし、もぞもぞしながら恥ずかしがっている。
「それは…その…桜田くんの匂いを堪能しながら…1人で…」
「わかった。それ以上は言わなくていい」
俺は嫌な予感がして、話しを中断させる。
これ以上はR18タグをつけないといけなくなる。
「そしたらその時に汚してしまって…そのまま返すのは申し訳なくて洗って返しました…」
「えっ…?」
つ…つまり俺のパンツは発電時に漏れた液体によって汚されたってこと…?
きゃーーーーーーーーー!!!!