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【連載版】学校1の美少女が夜中に俺の部屋に侵入していた  作者: Rai
1章第2部 ツンデレな幼馴染は…
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第13話 七宮さんは自重しない

 午前の授業は終了し、昼休みを迎える。クラスメイトは弁当を食べることや友達と会話をしており気が抜けているが、俺は気を抜いてなんていられない。決戦の(じかん)である。

 視線だけを横に向ける。七宮さんは机の上に出された教科書などを整理整頓している。相変わらず綺麗に授業の内容がまとめられたノートに関心する。頭が良い人はノートを見るだけでわかるのかもしれない。


「桜田くん待たせてごめんね、今から弁当とってくるから」

「全然大丈夫だよ」

「ありがとう、やっぱり桜田くんは優しいね」


 そう言って七宮さんはロッカーに弁当を取りに行った。

 俺のほうも芽衣との弁当交換があるため、七宮さんを待たせることになるだろう。いつも学校で会う用事があると大抵芽衣のほうから俺のところに来る。すれ違いが起きないように大人しく教室で待っておこう。

 七宮さんが弁当をもってこっちに戻ってきている。


「咲ちゃん早く弁当食べよ。私おなかペコペコだよ~」

「咲、弁当忘れてしまったの?」


 いつも七宮さんが一緒に弁当を食べている二人がこっちにやってきた。一人目が内田涼花(うちだすずか)さん。二人目が岩井真央(いわいまお)さんだ。


「ごめん二人とも、今日はちょっと…」

「えー誰?私のかわいいかわいい咲ちゃんを横取りするのは…はっ!」


 内田さんの顔がぎゅんと俺のほうへとむけられた。七宮さんと二人の様子を見ていたため、目と目が合ってしまった。後に続くように岩井さんも俺のほうへと視線を向ける。

 やばい。見ていたことに気づかれて気持ち悪がられていないだろうか。さすがに二人とも優しい印象を持っているため、何もしてこないとは思うけど…

 しかし、内田さんと岩井さんの表情が同時に不敵な笑みへと変化した。

 前言撤回。何かされる気しかしない。


「とうとう行動に移したね咲。早く言いなさいよ」

「そうだそうだ、後で甘酸っぱいトーク聞かしてよ!」

「ちょっとやめてよ二人とも…」


 七宮さんは二人に頬っぺたやおなかを指で小突かれている。恥ずかしがっているのか、ただ小突かれてこそばゆくなっているのか分からないが、七宮さんの顔は赤くなっており、二人への怒りをあらわにしている。

「怒っている七宮さんもかわいい」「罵られたいなー」と声が聞こえている。どうやらうちのクラスにはマゾさんがいるらしいな。

 あ、やばい。内田さんと岩井さんが俺のほうを見ながらこっちに向かってくる。複数同時に陽キャ女子に目を付けられるのが普通に怖い。


「ねえねえ桜田くーん」

「は、はい」


 内田さんは机の上に両手で頬杖をして俺の顔を見上げており、岩井さんは片手だけを机の上に置き座っている俺を見下ろしている。上下を囲まれた。


「桜田くん咲と仲良くしてね」

「うん、仲良くしてもらっているよ」

「咲は恥ずかしがり屋だから色々と察してやってくれ」

「ん?」


 今、七宮さんが恥ずかしがり屋といったか?恥ずかしがっているというか、喜んで下着姿はたまた裸体を見せられたぞ。恥ずかしがり屋はどちらかというと俺のほうだから、七宮さんが俺の心中を察してほしい。

 あとこの様子だと多分、この二人も七宮さんの正体を知らないようだ。万が一知っていたら二人に相談しようかと思っていたのに。いやでもこの二人の不敵な笑みを見ているとむしろ七宮さんの背中を押していたような気がするから敵が増えなくてよかったのかもしれない。


「桜田くんは咲ちゃんのこと分かってないね~」

「実はね桜田くん、咲は桜田くんのことが―――――」

「何言おうとしてるの!?」


 七宮さんがあわあわとしながら、急いで二人の口を塞ごうとするが見事に避けられる。二人は七宮さんの表情が赤くなっているのを見て声に出して笑っている。


「見ての通り咲はこんな感じなんだ」

「だから咲ちゃんのことお願いね!」


 そう言うと二人は去っていった。七宮さんは「もー!」と怒っていたが、あの二人は終始ニヤニヤとしていたため効果はなさそうだ。

 嵐のような人たちだったな。


「もう二人とも余計なことを…」

「はは、本当に仲がいいんだね」

「桜田くんにあんなに近づくなんて」

「んー?」


 赤くなった表情から一変、目にハイライトがなくなっていた。そして布巾で俺の机を拭き始めた。


「あのー七宮さん?どうして俺の机を拭いてるの?」

「梅雨の時期は雑菌が多いからね。特にこことかは入念に拭いておかないと」


 内田さんと岩井さんが机に触れていた部分を入念にゴシゴシと拭いていた。あんなに普段から仲良くしている二人もこんな顔があることを知らないだろう。本当に女子というか七宮さんは怖いな。


「綺麗になったし食べよ!」


 何回も何回も吹いて満足したのか、普段のかわいい笑顔になった。


「あ、うん。でも実は芽衣と弁当を交換する約束をしているからちょっと待ってくれない」

「それなら大丈夫、桜田くんの弁当は私が用意しているから」

「え?」


 七宮さんの机の上にはピンクの弁当包みの物とは別に、青の弁当包みの物が新しく置かれた。


「実は私、桜田くんの弁当も作ってきたんだ」

「「「「え!?」」」」


 俺だけではなく七宮さんと内田さんと岩井さんを除いた、この教室にいる全員が驚きの声を発した。まだ隣の席だからという理由で、一緒に七宮さんと弁当を食べることは、クラスメイトからは「桜田くんが七宮さんとの昼食を誘って、優しい七宮さんは一緒に食べてあげることにした」という風に勘違いしてくれていたが、こうなるとわけが違う。


「七宮さん、開けてもいい?」

「うん、いいよ」

 

 俺は喉をごくりと鳴らしながら、少しずつ丁寧に弁当包みをほどいていく。クラス中の人たちがこの弁当に注目しているのを感じる。

 俺は弁当箱の蓋に手を当て、一気に開けた。

 そしてまず目に入り込んだものは―――――


「「「は、ハートマーク!!??」」」


 一斉にクラスメイトからの声が上がった。女子たちはキャーキャー言っている。綺麗なハートマークの形になったカイワレ大根の葉っぱが無数に白米の上に添えられていた。俺は頭を抱えた。早くも先手打たれた。

 七宮さんはもう()()()()()







 




 


 



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