プロローグ 混乱する世界
初投稿ですわ!
ハーメルンで連載している強化日本国召喚の設定を流用しています。
作者はアホなので誤字脱字、ガバガバ設定、ツッコミ所満載だと思うけど、耐えろ(無慈悲)
2021年12月31日、所謂大晦日。1年最後の日。
日本各地は、お祝いムードが支配していた。
ある家族は、自分の家で皆と過ごし、
あるカップルは、こたつで蜜柑を齧りながらテレビで年末特例の歌番組を見ていた。
その頃、日付変更線が世界最初の2022年を迎えた時、それは起こった。
初めに気がついたのは国立天文台であった。
空が霞んで、霞が取れた後に星の位置がまるっきしり変わっていたのだ。
また、インターネットの異常、国際電話が繋がらない、GPSの使用不能などが全国で一斉に起こる。
日本各地は混乱に包まれた。
◇◆◇
2021/12/31 午後10:00
《日本国 東京都 千代田区永田町 総理大臣官邸》
「難しいことは良い、つまり海外の何処とも連絡がつかないんだな?」
廊下を多数の人々が進む。苛立った声を発したのは内閣総理大臣。
普段は外見は真面目で優しいとネットなどでは評判だが、知る人ぞ知る内面はただのオタクである。
普段はふざけるのだが、この状況に顔から読み取れるように怒りを覚えていた。
「はい。詳しく言うと北海道・沖縄などの多数の島々です。九州・四国は例外で通信が取れます。青函トンネルが途切れているとの情報もありますが未確認です。確認を急いでいます」
「ですが、北海道の空自千歳基地、沖縄も空自那覇基地と通信が取れることから両島とも無くなった事では無いようです。群島はいかんせん数が多いので空自・海自で協力して通信を取っています」
総理の問に答えるのは内閣官房長官。内閣の女房役とも言われている役で、普段は弾ける総理の暴走ストッパーでもある。
「他にも全衛星が通信が不可能です。海底ケーブルも同様です。近海で全ケーブルが途切れているのが確認されています」
「…日本以外の国がなくなったって言うのは…」
「可能性はありますが情報が少ないので何とも…」
二人と黒服の護衛は官邸地下の危機管理センターに入る。
「総理及び官房長官入られます」
「立たなくて良い、今の状況を教えてくれ」
「はっ」
二人が入ると中にいた人員が起立しようとするが手で抑える。
中央のテーブルに座ると内閣危機管理監が二人に報告する。
「防衛省によると、現在電波の確認が出ている国は台湾・フィリピン。それと可笑しいですがオーストラリアとイギリスの電波も確認できたのことです」
「オーストラリアとイギリス?オーストラリアなら可能性はあるかもしれんがイギリス?」
「はっ、本来なら当たり前でイギリスの通信など確認できない筈ですが、受信できています。ですが各国とも方位・距離がおかしいとのことです」
「訳がわからんな」
官房長官の言葉に危機管理監と総理は頷く。
「総理、デフコンはどうしますか?」
「3が妥当だな、これよりデフコン3を発令する。あと、国家安全保障会議を3時間後に開催する。準備をしてくれ」
「分かりました」
「管理監、在日米軍は?」
「こちらと同じく混乱状態であるとのこと。ですが米本土との通信は出来ませんがグアム・ハワイとは繋がるようです。情報本部は混乱していましたよ」
「中国の新兵器か?」
総理はウケると思ったが、状況が状況で危機管理センターの職員は『もしかして…』と思っている。
つまり滑った。
「因みにその中国ですが、ロシア・韓国・北朝鮮と共に通信が取れません」
「韓国以外は嬉しいが韓国がその3カ国と一緒にどっか行ってたらかわいそうだな…」
「私としては仮想敵国が無くなった事が嬉しいです」
中国とは1941年からの日中戦争、2014年の日台中戦争があったことから仲が悪い。
「自衛隊の展開状況は?」
「はっ、陸上自衛隊は全方面隊が警戒体制であります。命令が有ればいつでも行けます」
「東北方面隊の第2騎兵師団・東北即応機動師団が北海道への派遣要請があれば派遣できます」
「第1・2空挺軍全軍もいつでも降下できるということです」
「一方、世界各地に展開させていた方面軍は連絡が取れておらず、戦力は大幅に減っています」
「うむ、海上自衛隊はどうなっている?」
「第1・2艦隊の哨戒隊・フリゲート隊が各諸島へ連絡を取っています」
「同じく第1・2艦隊の全護衛隊群は出撃準備を整えています」
「ですが、第5・6・7・8艦隊と連絡が取れなくなっており、戦力の弱体化が尋常ではありません」
「空母を分散していたのがキツイな…」
海上自衛隊はアメリカ海軍の様に空母を本土に集中させておらず、今の全稼働空母は空母8隻と軽空母3隻である。
「最後に航空自衛隊ですが、これも各方面航空軍が全滅しています」
「哨戒機と早期警戒管制機などが周辺を散策していますが、陸地の発見はない様です」
「そうか…戦力が大幅に弱体化しているな」
「仕方ありません」
総理と官房長官がこれからのことを考えていると、会議室に声が響いた。
「三沢基地から空自のE-767早期警戒管制機1機とF-35Aが2機離陸しました。防衛省から映像来ます」
「え…状況分からんのに戦闘機出して良いの?撃墜されない?」
「領空入ってもF-35のステルス能力なら大丈夫ですよ。早期警戒管制機はバレますけど、状況が分からないので出しましたと言えばOKです。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」
「「えぇ…」」
某クトゥルフ神話萌化アニメのような言葉を言う危機管理監に二人はドン引きする。
一応同盟国ならIFFが反応するから良い。中露朝だったら知らん。
「F-35のカメラからならリアルタイムで見れるから大丈夫ですよ」
「それもそうか…」
「あっでも撃墜されたら総理がやれって言ったって言うんでそこの所は宜しくお願いします」
「何が宜しくお願いしますだ、押し付けだろ」
「編隊が札幌上空に入ります」
撃墜されたらされたで腹の納め時だ、と思い、総理はメインモニターに表示されたF-35Aから送られてきた映像を注視した。
◇◆◇
2021/12/31 午後9:00
《イギリス ロンドン ダウニング街10番地》
イギリス国内では『No.10』と呼ばれる首相官邸。200年以上の歴史を持つこの官邸は創設以来の混乱の最中にいた。日本と同じくインターネットの異常、国際電話が繋がらない、GPSの使用不能など様々な事が起きていた。
「インターネットやGPSも酷いが…これが一番可笑しいな」
「突然夜になるなんて人類史上初じゃないですか?」
首相が窓を見ると、本来真昼間である空は暗くなっていた。
今から1時間前にいきなり雲が空を覆ったら、瞬く間に夜になったのだ。
このせいでイギリス国民は不安を隠しきれず、1900年にものロンドンの歴史の中でもこの街は不気味な雰囲気であった。
「しかし…なんで日本とオーストラリアの通信があるんだ?」
「さあ?今までの悪行で神様が天罰でも与えたんですかね?HAHAHAHA」
紅茶を飲みながら国務大臣が答える。と言うのも数分前に軍から上がってきた報告、『日本とオーストラリアの電波が確認できた』と言うものだ。
2カ国とも当然イギリスとは真反対に位置する国々であり、本来なら電波など届かない。
偶然にも日本と同じ問題に頭を抱えていた。
「…日本かアメリカのなんかの実験の影響ですかね?」
「あいつらまだあの事とかあれとか根に持ってんの?」
「黒歴史掘り出すのやめてくれへん?」
『ボストン茶会事件』はいつもの。『橄欖』と『栴檀』は第一次世界大戦の時に、日本にH級駆逐艦『ネメシス』と『ミンストレル』を貸し出したのだが、その2艦の艦内に大量のみんなのトラウマが大量繁殖してたという。ちなみにまだ当時乗艦していた船員の日記は見つかっていない。
「ドーバートンネルも無くなったし欧州とは連絡取れないしどうすんだこれ?」
「う~ん…日本と連絡を取るしかないな。何かあったら助けて貰お」
「絶対自分でできるやろって言われるのがオチだろ。俺知ってる」
「まあ、日本がいればなんとかなるってしょ」
世界2位の軍事力の国と世界7位の軍事力の国が組めば敵はいない──
そう思って首相は日本の総理大臣とのホットラインを掛けた。
◇◆◇
2021/12/31
《アメリカ合衆国 ワシントンD.C. ペンシルベニア大通り ホワイトハウス》
1800年に竣工したホワイトハウス。アメリカ合衆国大統領が住む官邸。
そのウエストウイングオーバルオフィスには、怒声が響き渡っていた。
「一体何が起きているんだ!北アメリカ以外のアメリカ軍基地や日本やイギリスなどの同盟国がウォッカ野郎や共産主義野郎、デブの核でやられたって言うのか!」
怒鳴っているのはアメリカ合衆国大統領。その表情は数ヶ月前に日本の総理大臣と性癖の違いで第3次世界大戦を起こそうとした張本人だとは思わないだろう。
「イギリスや日本が簡単に核の炎にやられるとは思えません。米軍基地も同様です」
CIA長官や国防長官が怯む中、国務長官が某M16で狙撃するマンのような顔で報告する。
「あと、アラスカからE-3が上がりましたが、ロシアの電波がないと言うことです」
「ですが、何かわからない電波が出ているとの事です」
「何かわからない電波?」
国防長官の報告に大統領は落ち着きを取り戻し、国防長官に訪ねる。
「はい、これまでの全てのデータに当てはまらない電波です」
「これまで全ての…」
「はい、ですがデータから長距離索敵用の二次元レーダーだと推測されます」
「ロシアが今度は宇宙人にでも革命されたか?U-2で偵察したらどうだ?」
「今ではU-2で索敵するのは難しいですよ…あの事件みたいな事になります」
U-2は迎撃できる機体やミサイルが無かった時代では活躍したが、最近ではあまり技術の進歩によって活躍できなくなっている。
「SR-71を復活させるか?」
「現役の日本なら兎も角、時間が足りないです」
「無人機もGPSが無いと使えませんし、踏んだり蹴ったりです」
「そうか…デフコン3を発令する。各員万全の対策を取ってくれ。もし何かあれば2に引き上げる」
「「「はっ」」」
誰もいなくなった室内で大統領は考える。
「…まさか…異世界転移…?」
親友兼性癖のライバルに教えてもらったラノベを思い出して、一人彼はつぶやいた。
◇◆◇
2022/12/31
《フランス共和国 パリ8区フォーブール・サントノレ通り55番地 エリゼ宮殿》
1873年から使用されている宮殿のミュラ・サロン。そこにはフランスの全閣僚が集まっていた。
「まず初めに、イギリスとの連絡が取れません。ドーバートンネルも途切れているとの事です」
「「「「「やったぜ」」」」」
イギリスとフランスは隣国の貞として、仲が悪い。
ちなみにイギリスもフランスと別れられたので歓喜しているのでどっちもどっちだ。
「どうしますか?海外県の全部が連絡がつきません」
「むぅ…だがドイツとスペインは連絡がつくのだろう」
「はい。ヨーロッパは連絡がつきますが、アメリカ・イギリス・日本・オーストラリアなどは連絡がつきません」
「…まさかユーラシア大陸ごとどっかに飛ばされたなど言うつもりか?」
部屋の主が軍事大臣に問いかける。
「わかりません。その可能性は多いにあると思います」
「…そうか」
「失礼します」
その時、外務省の職員がサロンに入ってきた。外務大臣に報告しようとする。
「そのまま報告してくれ、この状況では情報が必要だ」
職員は首相に言われ、外務大臣を見るが、彼女が頷いたのでそのまま報告する。
「報告します。ドイツ大使館より『この様な状況下では2カ国が手を組むことが大切だ。我が国は貴国との関係を見直す用意がある』とのことです」
「…ドイツは対ロシアに舵を切ったか」
大統領が声を出し、各大臣も小声で話す。
「今の大統領は反露派らしいですからね」
「今回のやつもロシアの仕業か?」
「分からん」
大臣達の談笑を大統領は手を叩いて自分に注目させる。
「まあ良い、ドイツには検討すると伝えてくれ。あとは情報収集は手段を選ばず万全の体制を取ってくれ」
「「「「「はっ」」」」」
◇◆◇
2022/12/31
《イタリア ローマ キージ宮殿》
歴史都市ローマ。その中央部には閣僚評議会議長官邸があった。
「で?ドイツはなんだって?」
パルマ産生ハムを食べながら首相が外相に訪ねる。
外相は『なんで国の一大事に呑気に食ってるんだ!?』と思っているがテーブルの中央にワインが置いてある時点でダメである。イタリアだからね、仕方ないね。
「はっ、『この様な状況下では2カ国が手を組むことが大切だ。我が国は貴国との関係を見直す用意がある』とのことです」
「同盟を望んでいるのか」
「そう考えられます。今のドイツ大統領は反露派だと知られています」
「生命線握られてんのによくできるな」
「我が国としてはどうしますか?」
国防相が大統領に訪ねる。大統領はイタリア料理を食す大臣達を見渡して回答する。
「我が国としては…先ずは中立だ。我が国の軍事力ではロシアに勝てん」
大統領の言葉に数人の大臣は頷く。イタリアは先ずは中立を確定した。
イタリアは陣営を裏切ると裏切った陣営が負けるのでドイツとしてによかったかもしれない。
「そういえば日本軍はどうしてる?」
「はっ、本国とは連絡が取れない様です」
「いっそのこと日本軍を巻き込むか?」
イタリアには、陸上自衛隊の一個旅団、海上自衛隊の第6艦隊、航空自衛隊の1個航空隊が駐留している。
首相はそれをロシアが万が一攻撃していた時に巻き込めないかと考えた。
「……日本の基地が攻撃されれれば反撃するかもしれませんが、ロシアもその辺は考えているでしょう」
「いっその事工作するか?」
「バレればやばい事になりますよ?死にたいですか?」
「ダメか…」
首相は日本とコンタクトが取れたらホットラインで調整するとした。
◇◆◇
2021/12/31
《ドイツ ベルリン シュプレー川沿い 連邦首相府》
結構最近の2001年に完成した連邦首相府。その執務室にはわずか10日で最長任期に届かなかった連邦首相の後任の首相と閣僚が集まっていた。首相は組閣してから1ヶ月も経っていない内閣を見渡す。
「ロシアの動向は?」
「はっ、相変わらずウクライナ国境に軍を貼り付けていますが、攻撃の予兆はないです」
外務大臣が連絡し、反露派と知られる首相は頷く。
「うむ、この動乱の最中に攻撃すると思ったが、違う様だな。連邦軍はどうだ?」
「はい」
国防大臣が立ち上がり、話し始める。
「連邦陸軍は全部隊が厳戒態勢です。連邦空軍も同様。連邦海軍は第1・2航空部隊が出港準備を整えています」
「ですが、ポーランド陸軍が我が軍の行動と同じくして厳戒態勢です」
「そうか」
過去の事柄からロシアもドイツも信用できないポーランドは日本の支援で軍事力を増強させてきた。まあ、ドイツも日本から軽空母を買ったりしているが。
「在日本・アメリカ陸軍は?」
「同じく厳戒態勢ですが、今のところコンタクトを取った限り本国とは連絡が取れない様です」
「食料を種に核を奪うか?」
ドイツはアメリカ・日本も加盟するNATOのニュークリア・シェアリング参加国であり、在独アメリカ陸軍・陸上自衛隊は核爆弾をドイツ国内に持ち込んでいる。
「アメリカ・日本の手助けが無いと対ロシアはキツイですから無理ですね」
「まあ、妥当だな」
イタリアと同じ理由でドイツは自衛隊を巻き込むことを断念した。
◇◆◇
2021/12/31
《ロシア モスクワ クレムリン宮殿 ロシア大統領官邸》
モスクワは厳しく寒さではなく、厳しい暑さに見舞われていた。
モスクワ市内では厚着ではなく、薄着の人々が汗をかきながら歩いている。
そのモスクワのクレムリン宮殿ロシア大統領官邸の廊下、そこを一人の男が歩いていた。
彼は厚着であり、この暑さに対する文句を言いながら部屋に入る。
「失礼します」
部屋に入るとある男と目が合う。『人を便所の隅で殺す人』『熊も懐く人』『何年やるんだ大統領』『六○』などと呼ばれる大統領である。
「報告を」
「はい」
冷酷な視線と声に当てられ、彼は無意識に言葉を出す。何年聞いても慣れない声だ。
「モクスワ市内の気温は28℃、シベリアは30℃です」
「異常気象か?」
「馬鹿言え、そんなわけないだろう」
部屋がザワザワとうるさくなる。だが、大統領が手を挙げると、ざわめきは静寂に変わる。
「モクスワの環境への影響は?」
「はっ、各地で雪が溶け出し、このままでは永久凍土も溶けるでしょう。物流・インフラへのダメージは計りし得ないです」
「そうか」
「大統領」
ここでCBPの長官が手を挙げる。
「どうした」
「実は、最近ドイツが不安な動きをしているとのことです」
「なに?」
「イタリア・フランスと対我が国用の同盟を考えていると…」
「ふむ…今は保留だ」
「了解しました」
「他の情報を持っている奴は?」
他の職員が手を挙げる。
「なんだ?」
「先ず、このコンパスを見ていただきたい」
「……どうした?」
「方角がおかしいと思いませんか?」
よく見ると東と西が逆になっていた。これにまたもや室内がざわつく。
「うむ、東西が逆になっているのか」
「それと北南も少し変化してきます」
「これは軍で使用されているもので、全部を確認しても同じ方角を示していました」
「うむ、分かった。今日は解散だ。緊急の用事があったら収集するがな」
大統領が立てのを見て、室内にいた人員はすぐにウオッカを取り出し、蓋を開ける。
「ふう、緊張した」
「熱くなったからウオッカが美味いな」
「大統領にバレたらシベリアで木を数える仕事だが、今日からは暑いからもっと地獄だな」
ウオッカと共にロシアは進む。
◇◆◇
2021/12/31
《中華人民共和国 北京 西城区 中南海》
「日本とアメリカがなくなったそうだ」
「「「「「最高だな」」」」
「わかる」
10億人にも及ぶ人民を命令だけでなんでもできる権力者達が話す。
「できれば奪われた土地も置いてってほしかったんだが」
「そううまくはいかんね」
「だが、ロシアとインドに気をつければなんでもしていいって事だ」
「人民はなんか嘘でもでっち上げたら戦意が勝手に高まるから良いものだな」
「「「「それな~」」」」
中国はいつも通りだ。