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Episode1-4

 「Rain、お前はここで歌ってやれ、この子のために」


 「クラウド……そもそも、どうしてここに?」


 「あー、俺とスノウはこの病院勤務なんだよ。たまたまだけどな?」


 「そうだったんだね……でもなんで俺がRainだってわかったの?」


 「いや、Rainの声は特徴的だからな。それにそもそも俺も雪菜も漣の名前知ってるしな」


 「あ、そっか。でも俺が今歌ったったってもう凛華には……」


 「何諦めてんだ?なんのために俺と雪菜がここにいると思ってんだ?この子を助けるために来たんだよ」


 「クラウド……スノウ……」


 「あ、というかここではその名前じゃなくて普通の名前で呼んでくれ」


 「あ、ごめん。ありがとう青空、雪菜」


 「いいってことよ。困った時はお互い様だろ?相棒」


 「そうだよRainくん!それに音源だってちゃんと用意してあるんだからね!だから歌ってあげて?」


 「雪菜……わかったよ」


 僕はそう2人に告げると集中力を高めた。そして、僕、いや()と凛華の好きな曲を歌い始めた。


 「この曲をリン、君に捧げよう。『115万キロのフィルム』」



 一方その頃医局内では、日本の外科治療界の名医と呼ばれる2人、葉山青空と樋口雪菜が両方とも消えたことで慌ただしさを見せていた。しかしそれもその2人よりも権威ある人間の登場に落ち着きを見せることとなる。


「葉山くんと樋口さんの受け持ちのオペは私が引き継がせてもらおう」


 「あ、あなたは……甲斐田教授!?」


 「そんなに驚くことかな?私が出張ってきてることは」


 「い、いえ……そんなことはないのですが甲斐田教授がこういう際にオペを代わるのを見るのが初めてでしたので」


 「まあ、本当なら私が出る幕じゃ無いんだろうし葉山くんと樋口さんの責任問題を問う声も出てくるかもしれないが、今回は私に免じて不問としてやってくれ。あの2人は今、親友のために動いているからな」


 「甲斐田教授が出られるのでしたらそれ以上のことは無いですし、あなたにそうまで言われて責任問題を問うほど私達は馬鹿ではありませんよ」


 「そうか……では早速手術に取りかかろう」


 そう言って、この病院のトップである甲斐田 陽香(かいだ はるか)は手術室へと向かった。


 「……私ができるのはここまでだ。後はクラウド、スノウ、そしてRain……君達にかかっている」



 「よし、俺達も準備を始めるぞ雪菜」


 「うん!」


 青空と雪菜がそう言いながら病室を出ていくと、また俺と凛華の2人きりになった。俺の歌声にも反応はしてくれなかったけど、不思議と仲間がいることでさっきよりも不安は少なかった。そして凛華を眺めていること数分、2人が戻ってきて凛華は手術室へと運ばれていった。


 「諦めるのはまだ早いとは言ったが、これは成功率があまり高くない手術だ。この場でこんなことは言いたくないけど覚悟だけはしておいてくれ」


 「うん、大丈夫。俺は覚悟できてる」


 「じゃあな、相棒」


 「凛華を頼んだ、クラウド」


 こうして手術室の扉は閉じられたのだった。

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