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ランニング  作者: たぬき
7/7

坂道(上)

私の名前は、橋塁能智はしるい のち39歳会社員で独身だ。


①ランニング開始時 身長165㎝ 体重75㎏ ウエスト96㎝ 中肉中背

 恐るおそる1歩を踏み出す。

 ちょんっ ちょんっ

 つま先で、ちょっとだけ確かめてみる。


 って、そこは地雷かぁぁーーー

 そんなもんあるかぁぁーーー


 いけない

 いけない

 思わず妄想の世界で第1歩に何か異変が起きたらいけないと思っていた。


 まあ、現実世界でそんなことが起こることはなんだが・・・。


 まあ、気を取り直して、普通に1歩を踏み出す。


 75kgの全体重がその左足にかかる。

 つま先は大丈夫だった。

 足首は・・・大丈夫。

 ふぅ

 かかとは・・・大丈夫。

 ふぅ

 ひざは・・・大丈夫。

 ふぅ


 なんだ、意外に75kgは大したことないじゃないか。


 これなら、普通に走ることは可能じゃん。


 まあ、いきなり走り出すのもなんだし・・・。


 まずは軽い歩行から。


 てくてく てくてく


 うん、いい感じ。


 足首も、膝も、問題なし。

 まあ、あるとすれば・・・・お腹が少し揺れる位か!


 てくてく てくてく

 うん、坂道で正解だったな。

 これが、上り坂だとすると、いやぁ、考えただけでも恐ろしい・・・かも。


 自分の家の前は交通量が少なく、車はめったに来ない。

 だから、車の心配もせずにランニング!?散歩!?が可能だ。


 いまは朝なので、特に車はいない。

 うん、快適

 快適、歩行だ。


 家の前の坂道は50m位で右へカーブしている。

 だから、最初の下りは50mだ。

 足やひざや腰の状態があるから、無理は禁物。

 膝腰の間は軟骨っと。

 関係ないか。


 それにしても、朝の風は冷たい。

 まだ、朝日もさしてなくて、周囲は真っ暗だ。


 まあ、街灯があるから道の状況は何とかわかる。


 しかし、安心してはいけない。

 なぜなら、道は突然くぼみになっている所やでっぱっているところがある。


 75kgが走る為には、つまづくことには気をつけなければならない。


 もしも転倒して、まあ、筋を痛める位なら許そう。

 しかしだ、膝の骨を折ったとしたらそれはもう・・・痛いに決まってる。

 ・・・・いや、その時は救急車か!?


 だから、ランニング・・・いや、間違えた。歩行は注意がいるのだ。

 あれ!?予定はランニング!?

 まあ、この際どうでもいいか!


 それにしても・・・・。

 てくてく てくてく


 いい感じだ。


 なんと言っても、気持ちがいい。


 若干腹は揺れるが・・・。


 うん、なぜ、これほど気持ちがいいというかというと。

 やはり、冷たい風だ。


 世間の冷たい風ではないぞ。


 普通の冷たい風だ。


 頬を通り抜ける冷たい風が、なんだか、気持ちを持ち上げてくれる。


 気持ちを持ち上げてくれるから、体が軽い気がする。


 ・・・・・5kgくらい。


 てくてく、てくてく


 こうして、朝のランニングが始まった。


 先ほどまでの、細かいジンクスはどこ吹く風だ。


 あれは、あれは、きっと走ることを拒否する心の表れだったのかもしれない。


 そう考えると、いいぞ・・・・・いいぞ。

 足がどんどん進む。


 てってっ てってっ

 おっ、なんだかスピードが上がってきている。


 75kgがこの体を押してくれる。


 うん、坂道は正解だった。


 いま、世界は俺の方を向いている。

 この世界で走っている・・・まちがえた。

 歩いているのは俺だけだ。


 気持ちがいい。


 本当に気持ちがいい。


 走る、いや、歩くということはこれほどに気持ちがいいのか。


 これは、部長に感謝しなくては・・・。


 感謝、感激、雨、あられだ。


 おっ、こうしているうちに早くも坂道が終わってしまう。


 まあ、この気持ちで次の上り坂も余裕だろう。


 この坂道の終わりは曲がり角になっている。

 車は来ないのはわかっているから、安心だ。


 歩きながら普通にまがれば、それでいい


 キキィィィィーーーーーーーーーー。


 うわぁぁぁ。


 どすぅんっ。


 痛ってぇぇぇぇ。


 おい、ちょっ、ちょっと、まて、自転車、自転車ぁぁぁーーー。


 なんだ、あいつ、突然降りてきやがって、いきなり曲がったら危ないだろう。

 それに、あいつ、謝りもせずに行きやがった。


 なんだ、あいつ学生服か?


 気おつけろってんだい。


 あーー痛てててっ。


 尻打っちゃったよ。


 まあ、特にけがはないからな。

 これから気をつけないと、また今度もあるかもしれないからな。


 あーーあ。

 なんだか、気分がぶち壊しになっちゃたよ。


 そして、曲がった後に続くまっすぐな上り坂を見上げた。


 あれ、この坂道ってこんなに急だったっけ!?

新しい展開です。

どうでしょうか?

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