最初が肝心
私の名前は、橋塁能智はしるい のち39歳会社員で独身だ。
①ランニング開始時 身長165㎝ 体重75㎏ ウエスト96㎝ 中肉中背
我が家は坂道の途中にある。
右側に進むと登りがある。
そして、左はくだりだ。
しかし、右側は少し上った後に長いくだりがやってくる。
一方、左側は長めの下りの後にやってくるのは、少し長めの上り坂だ。
始めがきつくて、それからが楽と考える右側スタートにするか。
それとも、始めに少しきつくても、あとが楽な左側スタートにするか。
迷うところだ。
私の経験上始めに楽をすると後がきついというのが相場だ。
そうすると、ここははじめに上り坂が来る右側に進むのが正解といえるか。
いや、ちょっと待てよ。
ランニングは39年間生きてきて初めて行うトレーニングだ。
もちろん、学生時代に授業でランニングや運動はしてきた。
しかし、自主的に行うランニングは1度も経験がない。
そんな自分が、自分の経験を持ち出して正解を導きだせるのか。
いささか疑問だ。
では、これまでの経験を否定して逆の選択をするのか。
しかし、これまでの人生で初めての事をして正解を導き出せたことはどうだったか!?
あれはそう初めて読書をしてみようと思い立った小学校3年生の時だ。
本屋に行き、書籍のコーナーにたたずんだ。
これまで、本屋にいっても立つのは漫画のコーナーか週刊誌のコーナーだけだった。
しかし、どうしても読書をしないといけない事になり、母親にもらったお金を握りしめて買いに行った。
初めて立った場所にあったのは、文字だけで、絵がない場所。
なんだ、ここは異世界なのか?
そう思わせるような摩訶不思議な場所。
まるで、資格のないものはすぐに立ち去れぇ~。
とでも、言っているかのような場所。
しかし、そこには聖剣である5百円玉を握りしめた俺がした。
迫りくる、文字という圧力を切っては捨て、切っては捨てを繰り返し。
ようやくたどり着いたそこにいた最終ボス。
それは、「吾輩はにゃんこである」だった。
そこにいたのは魔王のような最終ボスではなく。
文字であるのに、猫といった絵が見えて来たのだ。
そこにいたのは日曜日の午後のアニメで出てくる三毛猫がいた。
俺は聖剣である5百円を突き刺し討伐に成功した。
自宅に帰り最終ボスを攻略した報酬を確認した。
しかし、そこにいたのはさすがの最終ボスであった。
ページをめくると魔王のような圧力で攻めてくる文字の連続だった。
そして、その魔王の圧力をかわすための聖剣である5百円だはもうない。
そして、俺はその圧力に負け、2ページ目をめくることはなく。
本棚の隅の漫画本の陰に隠れてひっそりとしている。
魔王はいまだに本棚の影に隠れて復讐の機会を狙っているようだ。
次にやってきたのは、社会人1年目だ。
俺も大人になり少しは本を読むようにもなってきた。
中学、高校で定期テストを乗り切ってきた。
それなりに勉学にいそしんできたのだ。
ゲームや漫画本やアニメは比較にならない膨大な量を経験してきたが・・・。
そして、ここでも社会人になったことで、今までの人生ではなかった初めての経験を選択した。
資格の取得である。
それは、やはり会社の先輩により進められたのだ。
今となっては何の資格を取得しようとしたのかは忘れてしまった。
それでも本屋で手を伸ばした。
やはりここでも本屋だった。
魔王の手先がはびこる悪の巣窟。
一方、本屋の漫画のエリアには神に天使に聖母が手招きをしてくれていた。
俺は、精一杯甘い誘惑からのがれるように力を込めて、資格本のコーナーで立ち上がった。
吹き荒れる嵐の中、次々にやってくる資格の刺客。
しかし、ここでは、先輩にもらった呪文の書(おすすめの資格一覧)で次々と刺客を討伐する。
そして、ついに刺客魔王を討伐してその奥にある秘められた財宝である一つの資格本を手にする。
自宅に持ち帰り、まずは本を1冊開いた。
それは、同時に購入した漫画本だ。
新刊が出ていたので、迷わずに購入した。
最後のページをめくり、次巻に続く絶望の瞬間を乗り越えて、次に控えている財宝をテーブルの上に乗せた。
よし、今度こそは失敗しないぞ。
心に決めて表紙をめくる。
最初に来るのは資格取得の方法だ。
その時は残業に次ぐ、残業の為、肉体的にも精神的にもまいっていた。
それゆえ、資格取得の方法を理解したのちページを閉じた。
実際に勉強を始めるのは明日にしよう。
そして、その資格本は魔王の横にならんで、影を潜めているのだ。
そうだ。
初めて行うことに成功した経験は・・あえて言おう。
ない。
であれば、俺がいま行うべきは、これまでの経験通りに事を進めることだ。
ここまでは、初めて行うことにこだわりをもって準備をしてきた。
しかし、いざ本番となると、自分の弱い心が顔を出してします。
しかし、継続を成功させるためには、経験に踏まえて考える必要がある。
つまり、最初に楽をもってきて、そのまま、何とか乗り切るのだ。
経験上からすると、最初に苦しいことが来ると、それを乗り切れる自信がない。
つまり、最初は下ってから・・・・後はその時考えればいいや。
選択すべきは左だ。
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