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シュヴァルリ ―姫騎士物語―  作者: けろぬら
第3章 Einen schönen Tag! 姫騎士の穏やかなれど怒涛の日々です

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03-018.都心での生活拠点は生活感を持たない建築物であるケース。 Zusammenfluss.

2156年8月10日 火曜日 午後17:30

 神田小川町。

 お茶の水、神田、淡路町、新御茶ノ水、小川町と最寄り駅が徒歩5分圏内にあり、利便性がなかなか良い。少し歩けば秋葉原や神保町などにもあっと言う間に到着する。

 その神田小川町1丁目の靖国通り沿いに面した北側は、高層ビルが立ち並ぶ。ビルの影は道路側へ落とす様に配置されており、その対岸へは極力日光を遮らない工夫がされている。


 そんなビルの中に、薄緑色の強化ガラスで表面を覆い周囲を圧迫しないデザインで施工された25階建てのビルがある。小路に囲まれた区画を全て使用しており、この近辺の高層ビルと比べても敷地面積がかなり広く取られていることが判る。

 靖国通り地下搬送道路から直接アクセスできる地下2階には、搬送用区画と居住者用駐車場、地下1階から地上4階までが銀行、クリニック、および各種商業施設が入居し、ちょっとしたショッピングモールを形成している。地上1、2階は吹き抜けのフロア構成で、2階から表へ出るとハイライン道路から分岐接続されるロータリーと近隣のビルとも繋がっている空中遊歩道の設備が現れる。

 ビルの4階から20階までがオフィス街、21階がスカイレストランとラウンジ設備、22階と23階は高級賃貸住宅、屋上には非公共用と緊急離着陸用ヘリポートが1箇所ずつ設置されている。


 このビル、名称は「Calenberg-Rechteck(カレンベルク・レヒトエック)」であり、名の通りカレンベルク家の資産である。レヒトエックは長方形の意味であり、言葉通りにビルの形状が長方形となっているからの名称だ。捻りがないのは人の記憶に残り易くなる様、簡単な単語を組み合わせているためである。

 10年程前に建設し、カレンベルク一族が日本での事業展開を行う時の中核であったが、今は別のビルにて事業展開している。そのため、ビルのスペースは殆どを賃貸施設に変更し、一族の業務に関わる法人は24階のみを使用する。一族で新たな事業を起こす際の仮事務所としたり、裏の仕事を行う者達を便宜上雇用するダミー会社を置いていたりと当初と比べ役どころが変わっている。


 そして、25階。一族の者や、護衛などが住まう居住区である。同フロアに、諜報や工作などの要員が拠点と出来る様、宿泊施設も完備している。兎角、セキュリティが厳重で、エレベーターのみならず非常階段まで専用の設備が整えられており、全て5重のセキュリティチェックをクリアしないと入場出来ず、一般人が誤って入る事故なども発生しない。天井裏や床下のダクトや配線などの設備スペースから侵入を防ぐため、マウスと呼ばれる小型の監視ロボットが絶えず巡回している力の入れ様はまるで要塞ではないかと思う程だ。


 その地下2階の駐車場にアクセスするカレンベルク家専用の入り口は、正に隔壁と呼ぶに相応しい金属の二重扉で塞がれている。その仰々しい様相は軍事施設、或いは厳重な研究施設ではないかと訝しむ程だ。

 バスを模した要人警護用転輪型装甲戦闘車が扉へ近づくと、ロックを外す金属音と共に上下と左右に開き、そのまま一般居住者とは物理的に隔離された専用駐車場への道が現れる。大型車の駐車スペースには、到着を待っていた護衛が5人待機している。このビルに滞在している護衛から、カレンベルク一族専属護衛の内2名と、万が一に備えてティナが入国する前に先行して渡日したWald()menschen(の民)10名の内、戦闘能力が高い者から3名が迎えに来たのだ。


「みなさん、お出迎えご苦労様です。滞在の間、よろしくおねがいします。」


 ティナからの挨拶に、現地滞在先の専属護衛が受け答えをする。これから滞在中は常に顔を合わせることになるからだ。


「ようこそいらっしゃいました、姫。(わたくし)、マルレーネ様付き護衛担当のホーデリーフェ・ファン・ホールネと申します。リーフェとお呼びください。」

「初めまして、殿下。同じくマルレーネ様付き護衛担当のエリカ・サンティジャンにございます。ご不便をおかけしますがよろしくお願いいたします。」


 リーフェがオランダのWald()menschen(の民)、エリカがスペインのカレンベルクから派遣されている護衛である。マルレーネ付きの護衛は他に2名の計4名が日回しで1日1人、マルレーネの居室に常駐している。

 ティナと現地護衛の顔合わせを行っている間、クラーラとソフィヤが荷物などを残りのWald()menschen(の民)3名に持ち運びの指示を出していたり、軽い引き継ぎを済ませていた。


 リーフェとエリカを先頭に、駐車場にある専用エレベーターに案内され25階まで一気に登る。エレベーターホールには、フロアのエントランスである格子にガラスをはめ込んだ横開きの扉が間隔を置いて2つ配置され、それぞれセキュリティチェックをクリアすると開く仕組みになっている。一見、ガラスに見えるがアモルファスなど分子構造が液体であるため透明な金属を用いており、襲撃に対しての防御を担う役割ももっている。


 ビルの北側に面した長い通路を横切り、東側へ折れてから少し進むと少し奥まって居住区へ至るエントランスがエレベーターホールと同じ構造で設置されている。ここまでの長い通路は、万が一侵入された場合に居住区まで辿り着く時間を稼ぐためと、この通路で迎撃を行える様に設計されているからだ。


 ガコン、と何かを解除した様な音が小さく響き、居住区の扉が開く。空気が生活を感じさせる匂い替わり、ここに人が住んでいることを雄弁に物語る。フロアの丁度中程であろうか、南側に面しているであろう居室のポーチが付いた玄関に辿り着く。通路側は金属製フェンスタイプの門扉が横にスライドする造りになっており、ポーチとなる空間を挟んで奥側に大小2枚の扉で作られた開き戸の玄関となっている。


「マルレーネ様、フロレンティーナ様をご案内いたしました。」


 簡易VRデバイスからインターフォン通話にてリーフェが来訪者の到着を告げる。「はいよー」と拍子抜けする声がスピーカーから聞こえてきた一拍の後、『来訪者の承認が完了しました』と電子アナウンスが鳴り、プシュッ、とエアーコック音を出して門扉がカラカラと横にスライドしていく。そのままリーフェが玄関扉の前に立つと、カコン、とロックが外れる音と共に玄関扉が自動で開く。


 只、訪問するだけで仰々しくも厳重なセキュリティを承認するプロセスが、海外拠点で一族の安全を高める必要性があることを伺わせる。実際、このビルの24階と25階は特に強固な造りとなっており、ビルの骨芯に使われている強化コンクリートをフロア全域に使用し、単なる窓ガラスも分子構造が液体の金属で、30mmガトリング砲の一掃射に耐えられる強度がある。至る所に隔壁があり、エレベーターシャフトからの侵入も許さない構造である。軍事施設となんら変わらないレベルの耐久性と高度なセキュリティを誇っている。

 人の生活は同じであるが、それを取り巻く様々なもので、一般とは世界が異なる様相を呈している。


 玄関から直角に配置された通路を抜けると、最初にリビングルームへ到着する。この住居は床が白い大理石製であり、基本、靴を履いて生活する海外スタイルを取っている。

 長辺が窓側に面した30畳を越える横に長いリビングの右側――方位的には西側だが――に机や本棚、クロークなどが所狭しと立ち並んだ雑多な一角。床に重ねられた本や雑誌、卓上のモニターやトレース台、乱雑に広げられた資料と思われる書類や本など、雰囲気が仕事場であると物語る。


「マリー姉さまー。お久しぶりでーす。」


 ティナがその奥に向かって声を掛けると、一人の女性がモソリと動く。赤毛に近いレッドブラウンの長髪を頭上で結い、更にヘアーバンドでおくれ毛などを止めている。整っているが化粧気のない顔には深い蒼の瞳が良く映える。インクや絵の具と言った汚れが至る所に付着したピンクのスウェット上下に健康サンダル姿は、年若い女性が表では決して見せない姿である。むしろ、自宅でありながら居室の豪華さとミスマッチした容貌は、寝起きのまんまでお金持ちの家に遊びに来た見すぼらしい庶民の図と言われても納得してしまう。


「ういーす。ティナおひさー。」


 生気のない草臥れた顔をしながら力なくもっさりとした動きで手を振る女性が、ティナの再従姉妹(はとこ)であるマルレーネ・ディートリント・カレンベルク(24歳)である。

 5年ほど前に日本の雑誌でデビューを果たし4年前に渡日した、男性向け成人指定のコミックライターである。最近は女性向け成人指定の腐臭漂うライトノベルも画業の合間に執筆しており、そちらも書籍化されている。


「…マリー姉さま。なんといいますか、すごい恰好です。」

「あー。仕事がラストスパート中だからねー。服装にかまっちゃらんねーのよ。」


 椅子の上で胡坐をかき、左手で耳の穴をほじり、スウェットの中に手を入れてボリボリと腹を掻くマリー。かまっちゃらんねーのは服装だけではない様だ。


「マリー姉さま…。その所作は女性としてはどうかと。」

「んあー? 自分ちだからOK、OK。気にしちゃ締め切り守れませんよってね。」


 伸びをしながら答えるマリーは、そこはかとなく残念感が漂う。ティナは思わずリビング東側の応接セットで打ち合わせをしている護衛達に顔を向けると、リーフェがこちらの意を汲んでくれた様で首を横に振る。

 つまり、仕事中だからと言う訳ではなく、いつもこんな感じであると。


 やれやれ、と溜息をつくティナであるが、個人が一応確立しているであろう生活スタイルに異議申し立て(つかまつ)るのは余計なお世話だろう、と押し黙る。

 だが、思い出して欲しい。休みの日には自分の部屋(寄宿舎)でTシャツにパンツ一丁のあられもない姿でゴロゴロしている姫騎士がいたことを。

 ズボラ道はカレンベルク家の血筋にひっそりと息衝いていた様だ。


「お茶にでもしませんか? お土産でクロイツカムのバウムクーヘンを買ってきたんですよ。」

「おお、本場物ウレシ~! コッチのは美味しーけどナンか違うんだよね。」

「今回はスペシャルレシピも焼いてもらったんですよ?」

「あっ! それ食べたことないヤツ! さっすがティナ! 気配り上手~。」


 などと会話を進めている間に、護衛達がお茶の支度をしてくれている。スーツ姿でキッチンに立つクラーラやリーフェが少しミスマッチではあるが、バーテンダーやソムリエなどと同じであると思えば気にならないレベルだ。

 護衛の彼女達は人数が増え、6名になっている。もともとマリーの護衛が4名であったので、残り2名が合流した様だ。護衛対象のスケジュールと行動範囲を刷り合わせるために打ち合わせに来たのだ。

 追加はドイツのカレンベルク家からリア・ベアクマイスター、イタリアに移住したWald()menschen(の民)であるレーナ・パトリチェッロ=バルディの二人。

 ティナと軽く挨拶を交わして後ろに控える。10畳あるダイニングスペースに移動したティナとマリーがお茶をするが、護衛達は、その位置が見える場所にある応接セットで引き続き刷り合わせを行っている。


「うまっ! うまっ! やっぱりクロイツカムはフンワリとして優しい味だね~。ブッフバルトのマジパン入りも良いけどさ~、やっぱコレだね~ってカンジになるよ。」

「今食べてるのが、王室献上品のレシピで作ったクーヘンですよ。」

「これがそっか。なるほどね~。フワフワ具合も多めで甘味も上品に押さえてるね。うん、普通のと違うわ。」

「マリー姉さま、ずいぶんと草臥れてますけど、お仕事忙しい時に伺ってしまいました?」

「んにゃ。もう最後の仕上げだから今日中に片付けようと思ってさ。後1、2時間くらいでアップかな。明日から祭りに向けての準備をがっつりヤリたいしね。」


 祭りの話が出たので、ティナが調整していない部分がどうなったかを確認する。


「ところで、私の販売ブースも用意してくれると聞いてますが、そちらはどうなりました?」

「今回、私もティナも出版社の企業ブースで場所確保してんのよ。一般向け雑誌とアダルト系雑誌、そこから生まれたイラスレーターの区画で大きく4つの面に分けてるからさ。」

「なんか、混沌としてますね…。で、私は?」

「アダルトの隣の面、イラストレーターの区画だよ。」

「未だに長机に商品を置いて販売の形態はお代わりなく?」

「あー、それは一般サークルの伝統だわね。企業ブースはちゃんとした造りだよ。」

「それでしたら結構です。配置に合わせてマクシミリアンのアバターショップ出張版として組み立て式のブースが展開出来ますから。」

「アバター売るんだ。アレだよね、ショップだとブロマイドに辞典用特典がついて、アバター元の本人から直接手渡しって伝統。」

「伝統と言う程ではないですが、手渡しで販売するのは変わりませんね。だから会計に一人お借りしたいんですが。」

「そっか、クラーラはコッチ手伝ってもらうから、リーフェをそっちによこすよ。」

「あ、それ、助かります。販売数が4000あるんで3日で売り切れるか心配ですが。」


 清算係は別にいないと販売アバターデータの本人による手渡しが現実的ではなくなるからだ。

 3日かけて売るつもりだとティナは言ったが、マリーは早くて2日、ブラック的に突入すれば1日で完売するな、と予想をしているので温かい目でティナを見守る。経験に勝るものはナシ!の気心だ。

 祭りの日程である8月12~15日の4日間の内、二日目以降の13~15日に参加予定である。

 そして、やはりスペシャルゲストとして姫騎士さんが来るので、合間を縫ってコスプレ撮影コーナーに出没したり、簡易サイン会兼握手会なども催される。そして自ら店頭に立つので意外と忙しいスケジュールだ。

 そう、「姫騎士さんが来るので」大々的に告知がされているのだ。のんびりと売り子になろうとしているティナの思惑や如何に、と言ったところである。


 祭りまでの日程も、色々顔つなぎで忙しい姫騎士さん。


「明日、11日は『Calenberg-Akustik .AG』の日本代理店をしていただいているアクシスに訪問いたします。」

「ほー。営業活動かぁ。この暑い中大変だねぇ。」

「外、歩きませんから。外、歩きませんから。」


 大事なことなので2回言った姫騎士さん。


「東京は異様に暑いからねー。これでも100年前よりは夏の平均温度は3度下がってるらしいよ?」

「これでも下がってるのですか。あの、ムワーと空気全体で包まれるのがナンとも。」


 ここでハッとする姫騎士さん。大規模な展示場では入場客が増えると場合によっては空調の性能限界を迎え、室温が鰻登りになることを経験から知っている。このお祭り、メディアのニュースなどで様子を見たときは、うわー人がいっぱいだー程度の感想だったのだが、実際に日本の夏を体験した今は人混みによる熱量に、蒸す様な夏の暑さが相乗されると予想される。

 騎士鎧は熱交換材などによる冷却・温暖効果は実装されていないのだ。更に今回纏うのは3両目としてお披露目したMithril(聖銀) Rüstung(装甲)。ガチの金属鎧である。危機感が這い寄って来た。


「…マリー姉さま。お祭りの会場の空調は?」

「これも昔と比べたら空調が上手く機能してるから結構涼しいよ。汗かかないくらいかな。昔は湿気で蒸し暑さが身体に纏わりついて室内でも熱中症になったんだってさ。」

「ふいー。とりあえず一安心です。…しかし、聞くに堪えない環境だったわけですね。」

「そそ、言うに堪えない環境だったわけっすよ。」


 江東区有明にある新国際展示場。複数のホールを別棟に持つ大型の展示場だ。老朽化の対応として、移転も考慮されたが結局は別棟の区画単位で建て直された。その際、過去の技術で作られた埋め立て地であったため、地盤を最新技術で強化することで重量級の高層建築物を施工することが可能となった。結果、規模は3倍に膨れ上がり、別棟間と最寄り駅からは空調の効いたプロムナードが増築され、アクセスの利便性が計られた。21世紀には入場列からあぶれた一般客は炎天下の敷地で入場待ちを行っていたが、今では屋内のエントランスエリアが大規模なため、汗まみれになることなく涼しく開場を待つことが出来る様になった。また、敷地内の高層ホテルが直結されており、宿泊客専用入場口から入場出来る優遇措置が取られている。お祭り期間はいつも満室である。


 お祭り。所謂、コミックマーケットである。年2回、8月と12月に新東京国際展示場を数日間貸し切り開催する最大手の同人誌即売会である。第1回開催の1975年から数えて今年で181年の歴史を誇り、1日の来場者は平均19万人強である。

 規模が大きくなるにつれ過去から様々な問題が発生していたが、30年程前にようやく安定した。

 お祭りでは未だに紙の媒体が多く、この時期の印刷所などは稼ぎ時なのだ。最近は印刷物だったものの殆どがデジタル化されており、チラシなども電子で配布や特定の場所などでARモニタに表示されるなどの方式が取られていることが多く、印刷業自体の仕事は100年前と比べて1/3以下にまで落ち込んでいる。


 ちなみにマリーは今時珍しいアナログ嗜好の作家で、殆どの作品は紙にペンとインクで描画している。カラーもアナログで絵の具、カラーインクなどで着色する。直接手で描かないと魂が宿らない、などと個人の拘りがあるようだ。

 しかし、ティナの父親であるヴィルフリートがアナログ再生に拘ったオーディオ機器の会社を興したことと言い、カレンベルクの血筋に職人気質なものがあるのではないか、と思われる。


「そうだ。マリー姉さま、現地で騎士装備を装着可能な更衣室はあるのでしょうか。」


 騎士(シュヴァリエ)達が装備を着用する場合、隣同士のロッカーでおしゃべりしながら着替えるなどの風景はない。鎧などは部分部分を着用しながら可動範囲に問題ないか位置調整を行うもので、身体を動かしたり出来るスペースが必要になる。一般の更衣室に混じって着替える訳にはいかないのだ。


「会場の二つ上の階にChevalerie(シュヴァルリ)競技が出来るフロアがあるから専用の更衣室が借りれるよ。ていうか既に予約済なのであ~る!」

Großartig(すばらしい)! さすがマリー姉さま!」

「いや~、それ程でもないっすよぅ。もっと褒めろ。」

「さすが貴腐人! やることがクールです! よっ日本一!」

「うん、褒められてんだか貶されてんだか。ていうか、日本一なんてネタどこで仕入れてくんのさ。今時言わないわな。」

「電子の海で地引網をしたら新鮮なネタが取れるんですよ? 一部、腐ってますが。」

「海底から(あさ)ったら大半が腐ってるよね、それ。」


 沈没船などをサルベージすると、大抵は経年による腐敗や付着物、堆積物に溢れているものである。

 電子の海でサルベージする場合も同じことが言える。


「腐ったネタでも使い方次第です。」


 姫騎士さん、あなた芸人にジョブチェンジでもするんですか。



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