02-017.のんびりと、やってきました旧市街です!
雑学多めと謳っていたが
ちと調子に乗り過ぎた
反省?
単語の作りが、省みることを反するって記述だ
つまり、過去は気にするなということか!
2156年4月16日 金曜日
午前中は、鍛錬に充てること4日目。京姫は既に蝋燭の灯を使った鍛錬に母ルーンとの型稽古を含めた形に移行している。時たま「ほら、余分なことは考えない」とルーンの声が響くが、短い期間で京姫の精神が明確に安定し始めていることに目を見張る。元々積み上げて来た技、それを揮う身体能力と言う素地ありきだった訳だが、それに追い付きつつある心が、染み入る様に噛み合っていったと思われる。そのきっかけを与えたルーンの教導による賜物だろう。
そこから目を横に向ければ、花花とハルが遊びと言う名の鍛錬を行っている。飛んだり跳ねたり独楽の様にクルクルと回ったりと傍から見れば子供のお遊戯ではあるが、実のところ、纏絲を練るための基礎的な身体の動きを取り入れている。楽しみながら知らずと基礎を積む鍛錬法である。
などと、道場の風景を見守るかの様にぼーっと見つめるティナの目はお疲れモード全開である。
先ほどまで花花と格闘技の組手に付き合っていたのだが、二人の組手は大分慣れてきたこともあり、ひとつ上のレベルの技を使い始めた。そうしたところ、花花がより奥深い技を見せて来たのだ。技の範囲を広げたら相手の底が見えない程深かったのである。勁の発動禁止と言うハンデを貰っていたが、その上でまだ手加減して貰っていた様だ。
久々に全力を出して判ったことは、花花は効率よく身体を運用することで非常に燃費が良いのであった。まるで、花花の名が示す様に、花が大地から養分を吸っているのでは、と疑いたくなる気分だ。こちらは既に燃料切れでベンチに引っ込んでいるにも関わらず、花花はまだまだ元気が有り余っている様子で、弟のハルと一緒に走り回っているのを見るに、あながち間違ってはいないのかも知れない。
ティナは取り留めもなく湧く下らない方向に偏りつつある考えを過らせながら、スポーツドリンクをストローで吸い続ける。ズズズッと終了の音がなり、一気にドリンクを飲んでしまっていた。
「花花もハルも一息つくのはいかがですか? そろそろ水分を取った方がよいでしょう?」
「はーい! お茶するヨ! 喉乾いたヨ!」
「ハルものむー!」
花花は普洱茶を長めに蒸らし淹れたものを冷やして持ってきている。深い香りが辺りを支配する。持参した普洱茶は、ヴィンテージものだそうで、熟成香が強く出ている。ハルも一口飲ませてもらうが渋い顔をしてスポーツドリンクを再び飲んでは、あまーい、とニコニコしていた。子供の味覚ではお茶はまだ早い様だ。
「私達にもお茶を分けてくれないかしら?」
「あら、おかあさま。そちらも休憩ですか?」
「京姫、普洱茶のむヨ!」
「ん? ああ、いただこうか。随分と深みのある色合いだな。」
「かあさま、はいこれー。」
「あら、ありがとう。スポーツドリンクかしら? おいしそうねー、ハル。」
「あまいよー。」
「そうそう、ヒルドがプファンクーヘンを焼くって言ってたわ。エスツィマーへ行きましょうか。」
「あまいごはんだー!」
そろそろ10:00を過ぎる。ドイツ・エスターライヒでは間食の時間だ。休息を入れるのに丁度良い。ハルはご飯が甘くても問題ないらしい。むしろ、それこそ子供の味覚である。
間食を摂って一寛ぎ。レッドカラントジャムや生クリーム、ベリーなどの果物も盛られたカロリー高めの甘い食事であったが、主に女性と子供が多いため文句など出よう筈もない。更に言えば、一般人より遥かに運動量が多い彼女達からすれば、これでもカロリーが足りないくらいである。どの道、軽く食べただけなので、あっという間にエネルギーに変換されるだろう。
一寛ぎ後は小一時間程、鍛錬の続きを熟し、午前中の予定を一通り消化した。
昼過ぎ、三人娘は旧市街へ観光に向かうことになっていたが、「ハルもいきたい」と言い出し、即座に花花が「いいヨ、一緒にいこうカ」と許可を出してしまった。ハルは大喜びで花花と手に手を取ってピョンピョン跳ね回っている。
母としては、友人同士のお付き合いにお邪魔してはいけないと喉元まで出かけた。しかし、息子が彼女達に初対面から懐き、家族の様に接している様子を見て来たので、言い聞かせるのが果たして正しいのか疑問が残った結果、口を塞ぐこととした。
子供と一緒に観光する場合、子供に合わせて行動範囲を狭くしたり、面倒を見ながらとなるので通常より時間をかける必要が出る。彼女達は全く気にしていない様だが、親としてそれを強いるのは聊か高慢ではないかと思いながら。
ハルは、初日に花花と京姫をお出迎えした時、すぐさま二人に懐いた。元から人見知りをしない子だったが、家族にしか見せない懐き具合にティナは驚いていた。
母ルーンと娘ティナ、花花と京姫には共通点がある。それは、全員が騎士であったこと。尚且つ、特定のレベルに到達している、と付くのだが。彼女達は、武人そのものと言える鍛錬を積んできており、判るものから見れば明らかに一般人とは別物である。花花や京姫が醸し出す、その微細な雰囲気を幼いハルは敏感に感じ取り、母や姉と同じであると判断したのだ。同じであると言うことは、イコール家族である。だから新しいお姉ちゃんに甘えるのだ。
子供の時だけ誰しもが持っていた、言葉にできない独特の感覚。彼女達との邂逅にそれが働いたと思われる。その様な事情、大人は誰も気付くことはなかったが。
ティナは、全く気にせず昼食を予約していたレストランへ幼児1名追加の連絡を終えたところである。メニューにない一品を追加オーダーもしていた。
「ティナ、本当にいいの? ハルを連れてって。迷惑にならないかしら?」
「ええ。ハルにとってはちょっと距離を歩くことになりますが大丈夫でしょう。疲れたら抱っこかおんぶしますし。」
「平気ヨ、阿姨。子供と一緒慣れてるヨ。」
「それに、体力自慢が三人もいますから。ハルを背負うことくらいなんでもありません。」
「ハル、いいこにしてるよ?」
京姫の背からハルが自己主張をするが、おんぶされて甘やかされ捲っている最中なので説得力に下方修正が入る。
娘達がそう言うのであれば停める理由もなく、手早くハルを送り出す準備をする。
ハルは、お出かけ服に着替え、お気に入りのカバンを肩から掛けて意気揚々である。いってきます、と母やメイドに笑顔で手を振り元気いっぱいでお出かけだ。
先日、カプツィーナ山に登るまでの道順と同じく、邸宅前にあるシャルモサー・ハウプトシュトラーセからリンツァーガッセに入ると、バロック時代の建物が幾つか残るちょっとした商店街となっている。現代と過去が調和する様に整えられた景観は、ヨーロッパ圏外の住人からすれば物珍しく映るのだろう。花花も京姫も正に物見遊山である。
ティナと手を繋いだハルは、Bärenlandのショーウィンドウに鎮座しているテカテカと光るプラスチック製の大きなクマのオブジェを指差しながら、くまーくまー、と喜んでいる。この店の手前にあったパペット人形の店頭に飾られていた大きなリアル熊人形にも同じことをしていたが。
「ウン、不思議ヨ。落ち着いた賑わいヨ。」
「そうだな。下町の様な雑多な感じがない。統一感があるな。それにのんびりした雰囲気だ。」
「くまー♪ くまー♪」
二人に手を繋いでもらっているハルは、ご機嫌になって音程が外れた歌を披露中。
ティナはと言えば、観光客にファンがおり、求められてサインをしているところだ。愛想良く握手やツーショットなどのサービスもする平常運転である。
いつもと違うのは、花花と京姫もサインを頼まれたことだろう。
ある程度、名が知れてくるとファンからサインを頼まれることは多くなる。彼女達もそれなりに数を熟して来たので手慣れたものである。
「ふぁーふぁ、みゃーみゃ、おしごとおわったー?」
「お仕事? ああ、ファンサービスのことか。もう終わったよ。」
「この子、私がファンサービス中は仕事だと思っておとなしくしてるんですよ? いつの間にやらそう覚えたらしくって。」
「ハルは、お仕事をじゃましない良い子ヨ~。良い子はタクサン撫でるヨ~。」
花花に撫でられて嬉しいのか笑いながらクネクネするハル。
「ここがモーツァルトの家ですよ。」
リンツァーガッセの終点から右に寄り道して、肌色に近いピンクの外壁をもつ邸宅であるが、バロック様式の一般邸宅であるため外見に華美さはない。モーツァルトのファンでない限り、この場所のありがたみは理解し辛いのだろう。
ティナも有名どころとして案内しただけで、特に中へ入る予定もなく外観のみの閲覧だ。彼女達も、へーとか、ほーとかの感想しか出て来ない様で、特に興味はなさそうである。
ザルツァッハ川にかかるシュターツ橋の手前から、ザルツブルク大聖堂のドーム天井と、その向こうにホーエンザルツブルク要塞が目に映る。今日の観光コースに入れているが今は後回し。とりあえず橋を渡り、右折して直ぐにあるハーゲナウアーフラッツ通りを突きあたると、黄色の外壁が目立つ6階建てのヴォーノンが見える。
「あれがモーツァルトの生家です。確か3階に住んでいたとか。」
案内人であるティナがこの程度の見識なので、興味の有無はお察しだろう。更に、モーツァルトの生家は平日なれど観光客が大勢、写真などを撮っていたりと混雑している様子のため、遠巻きから眺めているだけである。二人も文句は何も言わない。歴史的人物が住んでいた建造物を見た!で需要が果たされているのである。彼女達は音楽を嗜めど音楽家ではなく、特定の音楽家に傾倒している訳でもないのだから。
ティナも名所のひとつとして案内はしたが、実のところ、レストランの予約時間までの調整の意味合いが強い。モーツァルトファンはティナへジト目を向けて良いレベルの理由だ。
目的のレストランは、ザルツブルク大聖堂を含むドームクォーターと呼ばれる宮殿や教会などが壁続きで建築されている四角状の区域に含まれている。普段ならこの辺りも観光客で賑わうのだが、オースタン明けの平日昼間である上、広さもかなりあるためか人出もまばらである。
モーツァルトの生家前のデトライドガッセを横切り、ジークムント=ハーフナーガッセから聖フランシスコ教会の右奥で合流するフランツィスカナーガッセを左折して直ぐ右折で辿り着く。ヨーロッパ圏の小路は、短い距離でも基本的に名称が付いている。それが長さ数十m程でもだ。これは郵便などの宛先が、道路名、あるいは広場名と番号で表記されるからである。
シュティフツケラー・ザンクト・ペーター(St. Peter Stiftskulinarium)は、西暦803年に歴史の記録に初めて登場した際には、ヨーロッパ最古のレストランと記述されている。ドイツ語圏では最も古い修道院である聖ペーター僧院教会に併設、と言うより連続した建築施設にあるレストランであり、バロック調の豪華な部屋や、最も古い部分は西側メンヒス丘陵の岩盤を刳り抜いて作られた岩窟が露になった部屋などと、イベントにも使用可能な部屋を幾つも持っている。
元々は、修道院施設から創業した店舗であるため、入り口は華美な装飾は施されておらず控えめである。
ティナがこの店をチョイスしたのは、折角のザルツブルク来訪にインパクトを与えて記憶に残る様にと計画した結果だ。確かに、世間一般で見かける様な店舗ではない。もちろん、外観ではなく、である。
「Grüß Gott、4名で予約をしていたブラウンシュヴァイク=カレンベルクです。」
ウェイトレスに通され、西側エリアの屋外ラウンジへ案内された。少し珍しいところが良かろうと、岩壁となっているエリアに4人席をリザーブして置いたのだ。
このエリア、屋外と言いつつ屋内とさして変わらない。バロック様式の建物の一部に組み込まれているが、屋外にも出入口を設けてある岩窟の中である。
平日だが、昼時であるため客足は多く、観光客以外にも地元民と思われる人々が昼のひと時を楽しんでいる。
予約主が有名どころの騎士であるため店側で気を使ってくれた様で、周りの客と接触が少ない部屋のコーナーにテーブルがリザーブされていた。木製の簡素な丸テーブルと椅子が、部屋の雰囲気と良く合う。追加されている子供用の椅子も同じデザインで浮くことはない。
壁際にはオブジェとして、古めかしく作られた篝火台に薪がくべられている。もちろん、火がつけられていないが。そして何カ所かに規則正しく薪が積み上げられている。各テーブルや要所要所に配置された燭台には、大きな蝋燭型照明の炎が揺れており、間接照明として柔らかな明かりを作り出している。少し昔までは、本物の蝋燭を使っていたそうだ。
「この部屋は岩山を掘って作られているんだな。冷たい岩肌が温かく感じるのはそのためかな。」
そう言いながら毛皮の敷物が敷いてある椅子に深く座り直して京姫は、ほう、と息を吐く。
「まるで隠れ家みたいでしょう? こっそり、と言うわけにはいきませんが。」
「秘密基地ヨ! 修行場みたいヨ!」
「修行場? 花花は似た様なところで修行してたのか?」
「昔の大師が岩に穴掘って部屋いっぱい作らせたヨ。ダレも知らないところヨ。」
「ひみつきちー。」
ハルはお気に入りのカバンから、ひっつきパンダ3体をいそいそとテーブルに並べ、更に卵型玩具を取り出し変形させると笹を持った大熊猫が現れた。礼儀正しく1列に並んだパンダファミリーが爆誕する。
「ハルったら、パンダさん連れて来てたのですね。お料理が来たらしまわなくてはダメですよ?」
「はーい!」
「へー、卵が変形するのか。笹までもって芸が細かいな。」
ちょうど、雲間から陽が出た様で、屋外ラウンジの外側へと通じる入り口から光が射しこむ。
ラウンジ内の間接照明と明度が全く違うのだが違和感がなく溶け込む。
明るくなった入り口に目を配り、花花が溜息交じりに零す。
「外繋がってるなのに暖房効いてるヨ。ウチとは大違いヨ…。ウラヤマシイヨ。」
口を尖らせ不満と羨望が見て取れる表情をする花花。同じ岩窟でも自分の知る場所とはまるで違うのだろう。無論、本心ではないのだが、文句のひとつも言いたくなるものである。
そして、ラウンジ内をクルリと見渡し、ふむふむと頷く。
「この岩壁、秘密基地チガたヨ。城壁の一部ヨ。ココで守られると城攻めのルートひとつ消えるヨ。」
たまに穿ったことを言う花花。先日カプツィーナ山から見た風景から土地の構造と城を中心とした防衛機能を推察していた。さすが、暗部の技を仕込まれているだけあって、城の外観や立地から攻め入る場所を見付ける訓練も受けている様だ。この様子だと、城の内部構造も凡そ見当を付けていることだろう。今の武術では見ることが少なくなった、戦場での斥候技術である。
メンヒス丘陵の地形を見ると、主に東側、建物と接する岩山の壁は全て垂直に切り立っており、岩盤を切り崩したものと思われる。それが城壁としての役目を持っている。そして、メンヒス丘陵の頂上にあるホーエンザルツブルク要塞の城壁へ繋がる。山の上へ攻撃するには高すぎ、教会設備を襲撃しようにも、いざとなれば岩壁を刳り抜いた岩窟に立て籠られる。
その様な防衛構造を持っているためか、ホーエンザルツブルク要塞は過去一度も占領されたことはなく、中世当時そのままの状態が保持されていた稀有な文化遺産なのである。
平日の13:00を回っているためブランチは修了しており、別途昼向けのコースメニューを相談済みだ。
温かい料理として、牛フィレ肉のグラーシュ、衣をつけたロール状の子牛肉を炒め煮したゲシュピックテ・カルプスフェーゲル、花花が大好きなウィーン風シュニッツェルのメイン3点を皆で分け合って食べる。
主食はパンではなく、北海道産のファゴッティーニ。使われているリコッタチーズも同じ産地だ。サラダにはザルツカンマーグートで水揚げされたトラウトを素揚げにし、素材に合わせて生と調理を施した季節野菜にクリームチーズが添えてあり、淡水魚独特の臭みがチーズと合う様にアクセント付けを施されている。
スープはミルクとバター、シナモンとクローブで香り付けし、少量のコアントローで香りを引き立たせたブラントヴァインスッペ。幼児にも飲めるようにアルコール分を飛ばす配慮がされている。
更にハル向けとしてソーセジとカルタッファル盛り合わせを追加オーダーしている。メニューにない一品だ。ここのソーセージは本物の羊腸を使っているため種類がウィンナーとなる。
彼はソーセージ好きだが、人口ケーシングで作られたものを食べると眉根をハの字に曲げてしまう。口にした触感でウィンナー、フランクフルト、ボローニャを判別できる本物志向である。ちなみに、順に羊腸、豚腸、牛腸で作られたソーセージの正式名称であり、ソーセージの太さによる名称ではない。
そして、デザート。一般の店舗では販売されておらず、レストランやカフェでしか食すことが出来ないザルツブルガーノッケルン。ザルツブルク3つの山を象ったスフレで、ご当地メニューである。今回はレッドベリーのソースで頂く。
全体的にザルツブルクの郷土料理をメインにした構成でメニューを組んでもらったのだ。
おいしいね!と満面の笑顔を向けるハルの口元は、粉砂糖で白いヒゲが出来ている。両脇に座った花花と京姫が甲斐甲斐しく世話を焼いてくれている。口の周りを拭いてもらったり、あーん、と食べさせてもらったりと構われて嬉しいのか終始ご機嫌である。
「うん、ヤッパリ炸肉排は最高ヨ!」
「感想がそこに集約されますか。花花はシュニッツェルが好き過ぎではないでしょうか。」
「私は北海道と言う名称に驚いた。まさかザルツブルクで日本産のパスタが食べられるとは思わなかった。同じパスタでもここまで上品な味になるんだな。」
「ウィンナーおいしかった! おやまがふかふかしてた!」
さすが、老舗のレストランであり、皆の満足度は高い様だ。
ザルツブルク大司教の統治時代に北のローマと言わしめた宮廷文化により発展した贅を凝らした食文化は当時の最先端を走っており、様々なところから弟子入りに来る料理人が絶えなかった歴史がある。
その文化を脈々と受け継ぎ、今の時代に合わせて洗練した品々はどれもレベルが高い。もっとも、食文化の違いで産まれ出でた国籍により好みが明確に分かれてしまうのは仕方がない。
腹がくちくなり、おしゃべりをしながらまったりと時間を過ごしている。
その間、ハルは彼女達の膝の上を行ったり来たりして抱きかかえられている。
休暇が終わればティナだけでなく、花花と京姫も帰ってしまうことを感じ取っているのだろう。
聞き分けのよい子ではあるが、幼い子供だ。ニコニコとしていても、やっぱり皆がいなくなると寂しいのだ。
だから、今日のお出かけは一緒に行きたいと、滅多にない我儘を言い出した。
そして、ハルは目一杯甘えている。二人の間に席を陣取ったのも、その表れであろう。
お姉ちゃん達は、そんな弟の気持ちを汲み取ってか、気の済むまで甘やかすのだった。
ルーチンあとがき
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しかし、ブックマーク増えねぇなぁ。




