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シュヴァルリ ―姫騎士物語―  作者: けろぬら
閑章 世に従はむ人は、まづ機嫌を知るべし

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103/156

【閑話】ヘリヤ、インドの山奥で修行した達人と逢う。 ~ヘリヤその1~

閑話続きます

忙しいので更新は遅いです

2156年8月1日 日曜日

 自分が看板番組を持つことになったヘリヤは、栄えある第一回の番組収録のため世界でも有名なインドに住む達人の元へ訪問する旅路に繰り出したところだ。ヘリヤを含め、番組スタッフや諸処の世話役などで総勢9名の旅である。

 番組のタイトルはシンプルに「ヘリヤ、世界を行く」となった。全編英語で作成され世界同時配信の番組となる。そのため、洒落たタイトルを付けても国による風習や文化の違いからタブーとなる場合を考慮して当たり障りのないタイトルになったのだ。


 番組内容はヘリヤが世界中の武術家を訪問し、その武術を体験すると言う趣旨だ。そして、可能ならば手合わせをさせて貰う。相手がChevalerie(シュヴァルリ)競技のシステムに対応出来ない武術もあるため、「可能ならば」なのだ。


 番組の企画が打診された時、ヘリヤは渡りに船の勢いで飛びついた。なにしろ彼女は、騎士(シュヴァリエ)が織り成した美しい武術の数々に魅了され、それを特等席で見たいがために騎士(シュヴァリエ)になったのだ。目の前で繰り広げられる武術を見て、体験するためだけに彼女は鍛錬を続けていた。自分が強くなれば、より強い相手と戦える様になる。()すれば、その分だけ高みに登った素晴らしい武術を目の前で見ることが出来る。その思いだけで、たとえ騎士(シュヴァリエ)に向いていなかろうが極地にまで至ったのだ。


 決して折れることなく諦めを知らず最果てを目指す尋常ではない精神力。それがヘリヤの強さを形創るものである。



 インド共和国マハーラーシュトラ州の州都ムンバイ。その州都中央付近に位置するチャトラパティ・シヴァージー国際空港に到着した途端、激しいスコールに見舞われる。8月のムンバイは雨期であるため、場合によっては洪水が起こる程であるが、ここは単に国内便に乗り換えるため立ち寄ったので空港の外に出る必要はない。

 しかし、気になる程の大雨を前にして空港ロビーで外を眺めるヘリヤ。額に手をかざし遠くを見やりながら、時々つま先立ちで背伸びなどを繰り返している様子は、無邪気な子供の様である。


「ひえー、すごい雨だ。飛行中だったら降りれなかったんじゃないか、これ。」

「最近の航空機はこの位でしたら問題なく着陸出来ますよ、ヘリヤさん。」

「へー、そうなんだ。でも次のフライトには影響でないのかな。」


 ヘリヤに語り掛けたのは、スポンサーである「safetyplant industry」、通称SPIが用意した護衛である。名をイルメントラウト・ドレスラー、通称イルムと呼ばれる女性で、多対一の近接集団戦を得意とするWald()menschen(の民)だ。

 SPIが懇意にしているカレンベルク財閥の警備会社部門から要人警護専任の人材を雇ってきたのだ。海外では行く先々が必ずしも安全であるとは限らない。そのため、現世界最強の騎士(シュヴァリエ)の安全を確保するため、その道のエキスパートである護衛を二人程、気前よく用意した。ヘリヤの旅路には二人の護衛が常に就くことになっている。


「それまでには雨は上がると思われます。この雨の勢いからすると一時的なものでしょう。」


 ヘリヤの言葉に応えたのは、もう一人の護衛で、ユーディット・カミラ・ハームビュッヒェン、通称ユディと言う女性。彼女は180cmに近い身長を持ち、要人警護と銃火器のエキスパートだ。


「あっ、ほんとだ! 雨が弱くなってきた! 凄いなユディさん。預言者みたいだ。」

「いえ、その評価は過分かと思います。事前に調べた知識に(なぞら)えただけですので。」


 固い受け答えに苦笑いをするヘリヤ。彼女、ユディの言葉使いについて、ヘリヤはもっと砕けても良いと言ったのだが、(にべ)も無く返ってきたのが「これが素ですので」と。その言葉に、出発の見送りに来ていたティナが補足していたのを思い起こす。


「へリヤ、二人は私の知古ですので遠慮は無用です。しかし、ユディは今の様に生真面目が服を着てると思っておいてください。でも、優秀さは補償しますよ?」


 付き合い辛い訳ではないんだけどなぁ、と頭の後ろを掻くヘリヤと、表情も変わらずじっと佇み寡黙なユディ。それでも敬称ではなく、「ヘリヤさん」とは呼んでいるのである程度の譲歩はしている模様。

 二人の様子を見てクスクスと笑うイルム。ユディは普段からスタンスが崩れないので、ヘリヤの様な形に囚われないクライアントに呼ばれると同様な遣り取りが多々見られ、ちょっとしたコントになるのだ。


「ヘリヤさん、そろそろ搭乗ロビーに向かいませんか? あと30分程で搭乗ゲートが開きますから。」

「はーい、了解。って、イルムさん、どっち行けばいいんです?」


 まるでワクワクを堪え切れずに走り出そうとする子供の様に足を一歩踏み出したヘリヤだったが、その姿のまま静止しアレレ?という顔で聞いてきた。

 ヘリヤの気が(はや)るのも仕方ないだろう。次の国内便でほんの一時間フライトすれば目的地まで目と鼻の先だからだ。




 蒼穹の下、ナーグプル県にあるDr.ババサヘブ・アンベカー国際空港へ北欧の戦乙女が降り立った。


「いやー、天気が良いけど暑いなぁ。湿気が纏わりつくみたいな感じだ。」

「ヘリヤさん。今は雨期ですから湿度が高くなる時期となります。暑さに慣れない内は水分補充することを心がけてください。」

「観光なら11月から2月ころが一番良いようですよ? 乾季なので蒸し暑さは殆どないらしいですし。」


 同行しているスタッフ達も暑さに参っている様で、手で仰いだり、シャツの裾を持ってパタパタと空気を身体に送り込んでいる。護衛の二人はパンツスーツ姿であるが涼しい顔をしているのは、彼女達の衣服は軍用の熱交換素材であるためだ。一般の熱交換素材を使った衣類とは異なり、軍事行動を妨げない様、最適な温度に常時調整される機能を持っている。


 ムンバイから離陸した中距離ターボジェット機の窓から覗いた街並みはスコールによって街並みもシットリと濡れ、などの騒ぎではなく一部濁流まで出来ていたのだが、ここナーグプルでは雨が降った形跡もない。それもその筈、ムンバイからは1000km以上も離れており、雨期と言えども遠く離れた地の突発的なスコールが影響することはない。が、この地でも日中の大半が曇り空であり、いつ雨が降ってもおかしくない陽気が続くのだが、今は運良く数少ない青天が広がっている。

 ナーグプルはインドのほぼ中央に存在し、デカン高原の北側寄りであるため亜熱帯気候となり雨期はとかく蒸し暑い。この街も近代的な建物は元より、バラックのような建物にも熱交換素材が活用されている。最新技術が導入された典型的な街の例と同様、民家が密集している街中の方が自然の中より温度が若干低くなると言う逆転現象が起こっている。それでも蒸し暑いことは変わらないのだが。


 空港から南に位置するアジ鉄道駅に縦列するチャンドラプル=ナーグプル通り沿いに訪問先の道場があり、そこから徒歩5分程の所に滞在中のホテルをリザーブしてある。訪問日は翌日であるため、ホテルでスタッフと当日のスケジュールを打ち合わせて1日が終わるのだが、事ある毎に「ちょっと覗いてみよう」だとか「挨拶にいかないか」などと言いながらソワソワ仕出して、ヘリヤは待ちきれない子供の様に落ち着きがないのだった。




2156年8月2日 月曜日

 朝10:00過ぎ。雲の多い空と高い湿度により蒸し暑く、いつ雨が降ってもおかしくないと誰でも予想出来る空模様。

 一行は訪問先である「ナイドゥアシュラム(道場)」へ足を向ける。とは言え、滞在先のホテルから5分も歩けば道場に到着する。約束の時間は10:00であるが、これでもまだ早い訪問なのだ。インドでは待ち合わせ時間はアバウトで平気で1、2時間遅れたりする。交通機関や映画などの上映時間すら遅れるのである。例えば結婚式などで時間通りに到着すると、まだ式自体の準備が終わってないことも多々あるのだ。


 道場は立派な石造りの門を構え、入り口から広い中庭が見える。その奥に20世紀初頭頃までに流行ったインド・サラセン様式で造られた白い3階建ての建物が見える。建物の中央には円形状のモスク(礼拝堂)ドームが見え、その両脇にミナレット(光塔)が付随するイスラームの流れが取り込まれた建築である。白い石肌に繊細な装飾が彫られている美しい様式だが、モスク(礼拝堂)は建築デザインの一環であるため、本来の機能は持たせている訳ではない。この建物も周囲の風景に合わせて採用したデザインなだけで、まだ築40年程である。


 複数の人間が鍛錬しているであろう跡が残る中庭を通り、建物の正面にある入り口へ向かう。アーチで支えられた軒先中央から覗くと幅の広い両開きの扉が(しつら)えてあり、これが玄関であろうと伺える。この軒先の床に敷き詰められている白を基調とした大理石風の熱交換素材タイルに届いた光が淡く反射している。


「たのもーう!」


 玄関扉前で声を大に呼びかけるヘリヤ。元気よく、と言う単語が似合う陽気な掛け声であった。

 ヘリヤの呼びかけから少しして、玄関の扉が開かれ、サリーを纏った一人の若い女性が出迎えに現れる。


「ナマステ。ヘリヤ様ご一行でございますね。ようこそいらっしゃいました。(あるじ)が奥でお待ちしております。」


 ヘリヤ達は建物内部を弧を描く様に案内される。中心部は道場だろうか、扉の隙間から木を打つような音や人の掛け声などが聞こえて来る。その音が届かなくなった頃に通された部屋は、応接室と思われるがヨーロッパとは明らかに違う雰囲気を持ち、木製のベンチが壁に沿って配置されている。その中でも一際派手な装飾がなされたベンチに一人の老人が座って待っていた。

 白いヒゲを蓄えた細身の老人は、年を感じさせない滑らかな動きで立ち上がり、両の手を胸で合わせて穏やかに言葉を紡ぐ。


「ナマステ。よくきなさった、戦乙女殿。そして皆さん。わしがこの道場の主、アヤン・クシャトリヤ・ナイドゥと言うしがない老人ですよ。」

「ナマスカール。グル(導師)・アヤン。二つ名【壊滅の戦乙女】、ヘリヤ・ロズブロークです。今日はよろしくお願いします。」

「ほっほっほ。母者殿とよう似ておりますな。さすが母娘と言ったところですかの。」

「えっ!? 初めて言われた…。あたしは母さんと似てないってよく言われるのに。」

「いんや。顔かたちではなく、気配が良く似ていなさる。その王者の如く気配は、まっこと瓜二つ。」

「へー、そうなんですか。あたしが母さんと似てるのか…。なんか、ちょっとウレシイな。」


 20数年前、【永世女王】アスラウグとグル(導師)・アヤンは、TV番組の特集で対談する機会があった。その時のアスラウグが放つ覇気をグル(導師)・アヤンは未だに忘れることがない程、強烈な印象を受けている。だからこそ直ぐに判ったのだ。ヘリヤから溢れ出る気配は、アスラウグのそれ(・・)と同質だと。


「ふふふ。皆さん、どうぞお座り下され。長話は腰を落ち着けてするもんじゃろうて。」


 ヘリヤ達は各々(おのおの)ベンチに腰掛け、撮影の進行をスケジュール確認する。大まかに道場にて武術の紹介、ヘリヤとグル(導師)・アヤンで対談、そして、その二人で模擬戦を行うと言う段取りだ。


 グル(導師)・アヤンは、ワダッカン(北派)のカラリパヤット、パンジャーブ地方の剣術であるガッカ、ここマハーラーシュトラのマラーター民族に伝わる武器術であるマルダニ・ケルを修めており、その武術と紐づくヨーガを道場で教導している。現在では一門の総帥として座しており、教導はもっぱら息子や一門の高弟などの師範代に引き継いだ。自身は門弟全体の鍛錬具合を確認したり、門弟達に混じって己の鍛錬をしたりと自由に過ごしている。

 そんな彼の弟子に、マルダニ・ケルを修め、盾とパタ(ガントレットに剣が生えた形状)を使うヴリティカ・クマールと言う少女がマクシミリアン国際騎士育成学園の騎士科5年生にいるため、その繋がりから番組の取材一番手になった経緯がある。

 ヴリティカには、なんで雨期の最中に行くのか、と呆れられていたのだが。


 グル(導師)・アヤンは御年84歳を迎えており、スタッフからは年齢的に模擬戦はきつくないだろうかと心配する声も上がったが、現役だから全く問題ない、と返答を貰い驚きの表情をしていた。

 ヘリヤと護衛達は、()の御仁の放つ気配から、未だに戦場に立てる相手であると認識している。その証拠にヘリヤが終始ニコニコと笑顔を絶やさず、まだかまだかと待ちきれない表情が全てを物語っている。

 そのヘリヤの様子を見て、グル(導師)・アヤンは穏やかに微笑むのだ。未来を拓く(いと)し子を慈しむかの様に。


「おお! 凄い人数だ!」


 グル(導師)・アヤン自らに案内されて、建物中央に位置する道場の扉を(くぐ)ると60人前後の門弟達が鍛錬に勤しんでいる。大きく3つのグループに分かれて別々の技を鍛錬しているが、今は平日昼間のため夏休みの学生や主婦などで占められている。カラリパヤットなどは女性の門弟も多い。今もゲットゥカリ()で型稽古をしているグループの半分が女性である。ゲットゥカリ()が打ち合うチャキチャキと短い音がリズム良く響く。

 他に目をやれば、異様な身体の柔らかさでストレッチをしていたり、脅威的な身体運用で体術の組手をしている様子が見える。また別のグループを見れば、剣で打ち合う型稽古をしている。

 いずれの技も高速に繰り出されており、騎士(シュヴァリエ)が使う西洋剣術とは趣が全く異なる。しかし、ヘリヤは初めて見る技の筈なのに既視感がある。自在に上下動する身体運用、高速な剣技など自身が体験した覚えが確かにある。そこには陽気な中華娘の姿があった。


「ああ、そうか。透花(トゥファ)か。中国拳法に雰囲気が似てるんだ。」

「ほっほっほ。その昔、ボーディ(菩提)ダルマ(達磨)が中国の少林寺で伝えた技が少林拳法の礎になったと言う話がありますからのう。」

「ほうほう。だから似てるのかぁ。円を意識した動きが根幹にあるのかな。」


 武術には必ず円の動きが含まれる。例えば剣を振り下ろす直線的な動作であっても、関節の動きは全て円を描いている。そこを意識して組み立てた武術は総じて回転を含んだ円の動きが滑らかである。

 インド武術と中国武術には類似した技術がところどころに見出せる。特に円を纏わる端々の技は起源を同じくしていると言われれば納得してしまう程だ。


「少し面白い武器の技を見て貰いましょうかの。おーい、イシャンにヴィハーン。ちょっとウルミの試技をやってくれんか?」


 ヘリヤよりも年下と思われる、イシャン、ヴィハーンと呼ばれた二人の少年は、手に30cm程の円盾と、柄からは金属の板が生えているのだが、それが鞭の様に丸まっている武器を持ってきた。おそらく柔らかい金属板で出来ているのだろう。

 観客となるヘリヤへ軽くお辞儀をして向かい合う少年達。そして、武器の柄を振り下ろした勢いで輪になっていた金属板が伸び、2m程のペラペラした鞭となった。

 肩、腕、手首を回してウルミと呼ばれる武器を縦回転で回し始めた。身体の右側、左側で交互に回しながら勢いを付ける。ウルミの回転がヒュンヒュンと空を斬る音と金属が擦れるシャリシャリとした音を生み出す。

 ウルミは柔らかく鋭利な金属を使った長剣のカテゴリーに含まれる武器である。鞭の様にテールと呼ばれる尖端に力を乗せて攻撃をする訳ではなく、刀身全てが鋭利な刃物なのだ。そのため、運用方法も鞭とは全く異なる。しかし、通常の剣ともまた異なるため、独自の運用方法を持つのだ。その答えが回転である。

 回転の勢いが規定の速度になったのだろう。少年達が打ち合いの型を始めた。右に一回左に一回ウルミを回し、その次で相手に斬り付け円盾で受けられる。その動作を交互に繰り返す。四度繰り返して身体をクルリと一回転する。ウルミの刀身が横回転で円を描く。


 見た目は鞭だが長剣である武器をどの様に使うのかヘリヤも興味津々であったが、想像の上を行った様で驚きの表情をしている。

 回転が止まらないのだ。円盾を打った剣はそのまま回転を続け、次の斬撃を生む。絶えず回転させ続ける運用は、殺傷圏を物理的に構築することで、相手の攻撃を防ぐ役目も持っていた。斬撃を掻い潜って懐に踏み込んだとしても、すぐに次の斬撃が襲ってくるのだ。なるほど、この武器は騎士(シュヴァリエ)に馴染みがない。どの様に攻略すべきか頭を悩ませる相手となるだろう。


 少年達の試技が終わり、ヘリヤは惜しみない拍手をした。初めて見た武術にご満悦である。彼女は、自分の目で知らない武術を見たいため、ネットなどで動画を探したりしないのである。


「いやー、これは凄いな。回転を止めないことで攻撃と防御にもなるなんて面白いなぁ。」

「喜んでもらえたようで何よりですかの。戦乙女殿ならどう対処しますかな?」

「あたしですか? あたしなら剣を斬り飛ばす、かな。あのくらいペラペラなら振り下ろした直後にバッサリと行けるかな?」

「ふむ、なるほど。戦乙女殿ならば可能でしょうな。」


 グル(導師)・アヤンもヘリヤが訪問することになり、彼女の試合動画を見て実力を再度確認した。特にヘリヤが本気を出すこととなったマクシミリアンの春季学内大会は、現世界最強と言われる彼女がどれ程の力を秘めていたのか良く判る試合が多い。

 相手の武術を楽しそうに受けるヘリヤの姿が本質であろうとグル(導師)・アヤンは判断していた。そして、ウルミの試技を見たヘリヤの様子で確信した。この戦乙女は見ることが全てで戦いは二の次であると。莫大な気配を内に持つが全く殺気がない理由はそのためだろう。

 どうすればその若さで極地にまで至ることが出来たのか非常に興味深い対象であり、また、どこまで登り詰めるのか楽しみでもある。グル(導師)・アヤンから見たヘリヤは、まだ成長の糊代が残っているからだ。


「棒の技と言い、今の武器と言い、基本は回転にあるんだなぁ。ヴリティカの剣技も回転で組まれてたし。」


 ヴリティカと言う騎士(シュヴァリエ)が使用する特殊な片手剣であるパタは、手首まで固定されたガントレットに剣を生やした形状であるため、肩と肘を回転させる剣技となる。西洋剣術の様に構えから技を出すものではなく、回転の中に技を埋め込むのだ。


「ヴリティカとも戦いましたか。如何でしたかな? あの娘の技は。」

「すごく戦い辛かったし楽しかったですよ。世界選手権でまた戦えるかも知れないんで楽しみです。」

「それは良かった。ならば、わしとも手合わせいたしましょうかな。対談する前にお互いを知っておいた方が話も盛り上がるでしょうて。」

「おお! 先に戦ってくれるんですか! 是非やりましょう!」


 グル(導師)・アヤンの提案でスケジュールを変更し、対談の前に模擬戦をすることになった。


 そのことに誰よりもヘリヤが大喜びしていたのは言うまでもない。



きみたち

したの☆とかを★でぬりつぶすのだ。

よいことがあるのだ。

オレが。

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