洗浄
さて、
「ここが僕の止まっている宿だよ。」
そう言ってフィーに中へ入るよう促す。
受付で部屋を二人部屋に変更してもらい、追加料金を払う。
一人部屋二つでも良かったんだけど、フィーが二人部屋を希望したんだよね。
別に下心とかはない。
「部屋はここだね。ベッドはどっち使う?」
「......あっち。」
そっか。
寝る場所は決まったし、取り敢えず......。
「ちょっと待っててね。」
そう言って受付でお湯の入ったたらいと手拭いを借り、部屋に戻る。
「取り敢えず全身の汚れを拭きなよ。汚れたままよりは気持ち良く寝れると思うよ。」
「うん。」
そう言ってその場で服を脱ぎ出すフィー。
勿論僕は後ろを向く。
そして魔力を意識し、
「『洗浄』」
と唱える。
すると、
「お、成功した。」
適当に魔力を集中させてそれっぽいことを言ったら成功した。
戦闘やらなんやらで着いた全身の汚れが消え去っている。
ついでに服の汚れもとれているし、魔法ってすごいね。
ちょうど良い。
「フィー?」
「なに?」
「今体拭いてる?」
「うん。」
「じゃあさ、ちょっと服をかしてくれない? 綺麗にしてあげる。」
「うん。」
そういって後ろに手をやれば、触れる布の感触。
広げるとでっかい穴が開いている。
まあパラサイターにやられた痕だろうね。
どうやら今まで乾燥した血で張り付いていたようだ。
こりゃ買い換えた方が良さそうだね。
「フィー、明日は君の服を買いに行こう。」
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