説明
コンコン
「入れ。」
失礼しまーす。
僕はギルドマスターであるアンジュさんに事情を説明しに執務室まで来ていた。
勿論フィーも一緒だ。
冒険者ギルドは乱暴な人が多いからね。
そこに少女を一人だけ放置するほど僕は鬼じゃない。
「ヒデか......そっちは何という?」
「......フィオナ。」
それだけ言って口を噤むフィー。
そしてアンジュさんが僕に説明しろと視線をよこす。
「例の村で一人だけ助かった子でさ、親も助からなかったし、そっとしてあげてくれるとありがたいかな。」
「成る程。村が消えたのは領主の管轄じゃし、問題は......。」
そうだね。
「一応僕について行きたいって言っているんだけど、どうする?」
「ここは孤児院ではないしの......取り敢えず、」
「ヒデと一緒にいたい!」
何かを感じたのか自己主張を始めるフィー。
「......お主、この娘にだいぶ懐かれておるの。」
「助けたからじゃない?」
「お主はこの娘の面倒を見れるか?」
まあ、
「それなりにいい暮らしは出来ると思うよ? マンティコアを仕留めて持ってくればお金は手に入るし。」
宿の相場を考えても多分余裕。
この世界のシステムを考慮するに、孤児院と言っても気休め程度だろうし。
「......確かにお主だったらできるじゃろうな。解体所の連中が喜んでおる。」
そりゃ良かった。
「報告はこんな感じで良い?」
「うむ、お主は別に調査隊ではないしの。そこの娘も混乱しているじゃろうし。」
「じゃ、」
「うむ、ご苦労じゃった。報酬は既に村から預かっておる。後で受け取っておけ。」
そうなんだ。
「じゃ、行こっか。」
「うん。」
そう言って僕はフィーと手を繋ぎ、執務室を後にするのであった。
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