フィオナ
お、
「朝だね。」
朝日が眩しい。
昨日の少女は......寝てるね。
精神的にも疲れているだろうし、寝かしておこう。
残った肉で朝食を作っておこうかな?
これから街まで移動するし、昼は過ぎるだろうからね。
そして焚き火で昨日と同じようにガムルの肉を焼く。
良い匂いが周囲に満ちた頃、少女は目を覚ました。
「おはよう、たっぷり寝れた?」
「うん......寝れた。」
「そっか。」
はい、朝御飯とガムル肉の串焼きを差し出せば、おずおずと受け取って食べ始める少女。
僕もそれに倣って一本食べる。
「ところで、名前を聞いてもいいかな? 僕はヒデ。ヒデって呼んで。君は?」
いつまでも君だと呼びにくいしね。
「......フィオナ。ママとパパにはフィーって呼ばれてた。」
「そっか。じゃあフィー? 残念だけど、フィーの家族や村の人達は皆死んじゃったんだけど、これからどうしたい?」
こういう現実はとっとと受け入れてもらう。
その方が早めに受け入れられるし、受け入れられなくて拒絶されると後々トラブルとかの種になって面倒だしね。
「ママ......パパ......えぐっ。」
まあこの年齢ではそれも一苦労だと思うけどね。
その相手をする僕も一苦労だけど。
せっかく救ったんだ。
早々に生きるのを放棄されては僕の立つ瀬がない。
でも、
「今は思う存分泣けば良い。」
心理的ストレスは解消するに限るし。
「今は僕が守ってあげるから。」
未熟な子供が保護者を求めるのは、生き残るための重要なファクターだから。
だから悲しみにくれた子供にはこれが一番心強く聞こえる。
「......ほんと?」
「うん、守ってあげるよ。」
......なんか幼子に刷り込みをしているような感じがして後ろめたいのは気のせいに違いない。
その予感は当たっていた。
が、敢えて無視を決め込むヒデであった。
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