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蘇生


 「ん......ここは......。」

 「あ、」

 起きた?


 どうやら順調に行ったようだね。

 初めての試みだったもんだから少し、自信がなかったんだよ。


 全身に散らばった僕自身がどんな作用をもたらすかは知らないけど、一応魔力回廊で共生するように言っといたし多少の変化はまあ、許容してもらうしかないけど。


 うまくいけば指の一二本はすぐ生えてきて、毒もあまり効かない体質になるだろう。

 免疫系等が異なるからパラサイターに寄生される懸念もないだろうし。

 僕は体内に入れたものをとことん食い尽くすからね。

 

 起きた女の子は少しずつ頭が回り始めて現実を再認識したようだ。

 徐々に両目が潤んできている。

 そりゃそうだね。

 生き残りはこの娘のみ。

 ご両親は食べられちゃったんだろう。

 

 見た目の年齢も十代前半。

 精神的に相当きついだろうね。

 

 まあ、

 「悲しくて泣くのは良いけど、とりあえずこれ食べることをお勧めするよ。その後思う存分寝るなり泣くなりすればいいからさ。」


 そう言って、ちょうど焼けたガムル肉を串に刺して焼いたやつを手渡す。

 全力疾走してクタクタの状態で心臓を治療したから余計エネルギー消耗しただろうしね。

 調味料とか持ってないし、ただ焼いただけだけど。

 お腹もすいているだろう。


 近くにガムルが居て本当に良かったよ。

 お陰で僕も食事できたし。


 「ぐすっ......あ、ありがと。」

 うんうん、良い子だね。


 「ゆっくり食べてね。そこに何本か刺してあるからまだお腹すいてたら食べていいよ。」

 

 僕は野営の準備をしなければ。

 村は壊滅状態でベッドも全滅だったし。

 焚火の近くに適当に枯葉を集めてその上に毛布を敷き、簡易的な寝床を作る。

 ポーチの中に毛布を二枚入れておいて良かった。

 僕はそういう痛みとは無縁だし、座って寝れば良い。


 幸い今日の夜は雨が降らないようだしね。


 そうこうしていると少女のお食事は終わったようだ。

 全部なくなっているし、よほどお腹がすいていたらしい。

 

 「今日はそこで思う存分寝て、明日いろいろ話そう。」

 この娘をどうするかも決めないと。

 まだこの世界に来て日が浅いからそこら辺よくわからないし。


 「ママぁ......パパぁ......まってぇ......。」

 あっという間に寝付いた少女の寝言が聞こえる。

 

 傷はなかなか深そうだ。

 


   

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