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95話 末妹が厨二娘になっていく

 サラムは炎の大精霊、オーガの守護精霊になったそうな。

 てか、他の姉妹もみんなそうなんだって。


 つまり?

 シルフィはエルフの守護。

 ウンディはダークエルフの守護。


 それぞれの権能を、無制限に与えてるわけじゃないけど。

 それなりの対価に応じて、願い事を叶えるパターン。


 ほうほう?

 権能で他人の願い事を叶えるのは、初めてなのでは?

 ただ、ひとつ言いたいというか、忠告したいのは。


 ……生贄だけは、やめとけよ?


「やだよボクもそんなの!」


 いつの間にか背後に控えてた、ごっついオーガさんたち。

 皆一様に、うんうん頷いてるし。

 そうだね、人命第一で行きまっしょぃー。


 そういうサラムは、少し違ってて。

 炎の権能を与える代わりに?

 武技を、奉納して貰ってるって。


 ……ああ、なるほど。

 サラム、一度見た技は忘れないもんな。


 ということは?

 サラムが剣舞で見せた、数々の妙技。

 あれは、オーガ一族の剣技集大成なわけか。


 お前、ほんとに武人への道を邁進ちぅなわけね?


狼牙(ろうが)真牙(しんが)、愛用してるよありがとっ!」


 なんだそれ、唐突に。

 って。

 オレが誕生日プレゼントであげた、野太刀、脇差らしい。


 名前つけるまで可愛がって貰ってるのは、いいけど。

 妹がどんどん厨二臭くなってってる気がしてならない。

 オーガってそういう一族なの?


 てか。

 ひらひら衣装、可愛いけど。

 なんか、露出凄すぎない?


 肩出し足出し、首元Vネック、腰スリット。

 それでお前、あの動きやったら。

 ぱんつも乳も、見えまくりじゃないか。


「ちゃ、ちゃんとこれは見えてもいい布なんだもん」

「見えていい布と、見えちゃいけない布の違いって」

「んっと、見せパンと生パンみたいな」

「見た目も材質も、ほぼ一緒だよな?」


 ちーがーうーのっ。

 力いっぱい顔真っ赤で言い張る様子は。

 以前と変わらず、子供のままだなサラム。


 いや、今時点で13歳?

 まだまだ、子供だよなあ。


 乳は。

 たぶん、シルフィやウンディを超えたけど。


「それでね、おねーちゃんたちから伝言!」


 んー。

 サラムが言うには。

 今日は、シルフィとウンディは来られないらしい。

 ざんねんっ。


 まあ?

 オレが唐突に起きたのが、予定外なんだから。

 逢いたかったけど、仕方ねえやな。


 ただ。

「何が理由で」来られないのか、を尋ねると。

 少し、意外な結果で。


「あはは。えとね、ディーは帝国に戻ってて」

「なんでだ?」

「滞在城にピューイを置き去りにして来ちゃったんだって」

「……?」

「帰りはピューイの移動速度に合わせるから遅くなるって」


 ピューイ……。

 なんだそれ……。

 いや、何か聞き覚えのある……?


 あっ。

 我が家のペットだ!

 そういえば。

 セバスさんに預けたまま、放置しっぱなしのような。


 ていうか。

 帝国にリズやセバスさんも置き去りにしちゃったな?

 戻ったら、いろいろと怒られそう。


「シルフィ姉は……、えっと、その」


 もじもじしながら、顔の前で両手指先つんつん。

 なにそれ可愛い、誘ってるんですね、そうですね?

 おけおけ、さあ、全身どれくらい育ったか確認だ!

 ……そうじゃなく?


「シルフィさんには、毛虫がついていますね」


 見かけるたびに潰そうとしてるけど?

 なかなか、しぶとい、みたいなことを延々。


 ああ。

 カイルくんとセットで居る、シルフィ。

 カイルくんを潰されそうになるから、来られないのかな?


 ていうか。

 あのぉ、親父殿?


 カイルくんを毛虫扱いするのは。

 真剣に、やめて差し上げて下さい。

 アレでも、一応人間なので。

 つか、詩吟以外では結構な好青年なので。


 ──吟遊詩人が詩吟以外で優れている、って。

 あからさまに、ダメ詩人なのでは。


 シルフィ、お前アレか?

 ダメ人間に引っかかっちゃう奴か?

 それか、ダメ人間を製造する奴か?


 ……あいつ自身が結構な万能娘なので。

 両方どっちも、って感じはあるな。


 ところで、親父殿?

 隠れ武闘派っぽいなー、とは思ってたけど。

 果物を握り潰さないで下さい。


 ていうか、いつ身体強化覚えたんですか。

 最初から知ってた?

 若い頃はバリバリに使ってたって。


 ああ。

 やっぱり?

 旧大陸最強、グレードSSSの冒険者だもんね?


 それなら。

 若い頃の武勇伝、聞かせて欲しいんですけど。

 なんだよケチぃ。

 娘の願い事くらい、叶えてもいいだろぅー。


 ──恥ずかしいからダメらしい。

 親父殿のほんのり赤面テレ顔、頂きました。


 あ、やべえ。

 この人、可愛い。

 五十すぎのおじさんだから。

 そんなこと思うの、オレだけだろうけどなっ。

 御母君?

 あれは愛が溢れてるから、ノーカンで。





 で。

 宴もお開き。

 四大種族子々孫々繁栄を誓って、解散。


 皆さん、後はおうちに帰って、心地よく寝るだけー。

 の、予定だと思うんだけど。


「大地様! 是非、是非に、我らドワーフに、加護を!!」


 む?

 サラムと、顔を見合わせる。


 なんと。

 四大精霊族で、地のドワーフだけ?

 まだ精霊の加護が、ないそうな。


 ……。

 あ、どうも初めまして、大地の大精霊です。

 今の今まで、ぐっすり寝こけてました。


 ご、ごめんっ!


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