92話 世界樹の精霊、エルデガルド
「ママ! 会いたかったぁ!!」
ごふっ。
頼むから、腹にヘディングはやめてくれエルや。
何ともまあ、いつも元気だね君は。
とりあえず。
脇に両手を入れ、抱っこ抱っこ。
あれ、ちょっと重くなったかな?
背丈も、少し伸びてるような。
「レディに重いなんて、言っちゃダメなんだからね!」
それは失礼。
でも、育ってるよね?
「『本体』に戻って来たから、伸びたの!」
本体?
ていうか。
そもそも、ダークエルフじゃなくなってない?
耳が長いのは、相変わらずだけども。
肌、すっごい白いんですけど。
はあ。
つ、つまり?
「エルデガルドさんは、世界樹の精霊さんですね」
親父殿、説明をありがたう!
なるほど?
体色も、可変っていうか作り物だから、自在みたいな?
っって。
そういうことは、最初に言えよ、エル!?
「聞かれなかったよ?」
いや、確かに誰も聞いてないけどさ!
想像つくわけねえだろ!?
こんな小さくて可愛い子が、世界樹の精霊とか!?
──って。
あれ?
エル、君、精霊力、かなり出力低いよね?
「この体は分身なのよ、ママ! だから!!」
ああ。
そうか、エルは地脈で分身と巨木が、繋がってんだな。
本体の巨木は、確かに出力すげえもんな。
オレや他の姉妹ほどじゃないけど。
全力で放出したら?
オレら四姉妹の誰かの四分の一、くらいはありそう。
「ママがいちばん強くて、おねーちゃんたちの下くらい」
ん?
いや、オレは出力はでかいけど、総量はそうでもないよ。
いちばん精霊力多いのは、シルフィだから。
ていうか。
あいつの権能、大気圏内全域に及ぶからね。
惑星上の気体を支配してるから。
オレは地殻を支配してるけども。
実質的に動かせるのは、マグマの上に乗ってる地面のみ。
ちなみに、溶岩自体は地と火の複合精霊力。
だから、オレとサラムの合わせ技で動かせる。
って。
その、他の姉妹たちは、どこかな?
「シルフィお姉が上層で、ウンディお姉が下層だよー」
「サラムさんは中間の、地表付近ですね」
ほむほむ。
ものの見事に?
三人で、世界樹の上中下に分かれてるわけか。
じゃ。
とりあえず、いちばん近いっぽいサラムに逢うべか。
「順番が逆でしょう、メテルさん」
「ほぇ?」
「相変わらず、自分を卑下する子ですね」
むぅ。
目覚めたオレを、歓迎の宴で。
他の姉妹がオレのところに来るのが、筋、みたいな。
そ、そういうものかなあ?
とりあえず?
食事の準備をしてくれてるらしい、ので。
そちらに行こうかと、エルを抱っこしたまま。
長大な螺旋階段を、降ろうと、数段下がったら。
ぽんっ、なでなで。
むむむ。
親父殿が、さり気なく後ろから。
オレの頭を、かいぐりかいぐり。
撫で回しー、の図。
あ、あの。
嬉しいのは、超嬉しいんですけどね。
き、気恥ずかしいんですけど。
「わぁ、ママ、真っ赤っか! お爺、優しいー!」
「……結婚もしていないのに孫が出来てしまいました」
いや、親父殿は辺境に戻ったら、挙式した方が。
王国最大軍事力とか、オレらより脅威ではないでせう。
って。
エルの意識的には。
世界樹の精霊で、大地のオレと水のウンディの、子?
だから。
つまり、オレの親父殿は、祖父な認識らしい。
うーん?
時系列的に??
君のお祖父ちゃん、君より数万歳は年下になるんだが。
「細かいこと気にしたら負けって、ママ言ってた!」
「確かにオレが言いそうなことだけど。いつ言ったっけ」
地脈で惑星を介して、オレと深く繋がってるエル。
オレのことは、地脈でずっと見てたらしい。
ふーん。
──何万年もほったらかしにしてて、ごめんよ!?
完全に忘れてたとか、今更言えない雰囲気。
と、とにかくっ。
早いとこ、飯にしよう、飯っっ!!




