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88話 親父殿が旧交を温めていた

1,400ポイント超えでしたぁ!

まいどまいどっ。

誠に、ありがたぅございますぅ!

「ほう。私の娘たちを、ただ働きさせたと」


 くいっ、と仮面のズレを直しながら、親父殿。

 詰め寄る相手は、帝国皇帝陛下。

 わぁ。

 親父殿、かっこいいー。


 南方の港町に停泊中の、黒船。

 が、目的地だったんだけど。

 その前に寄るところがあるから、って、帝都へ。


 皇城は、王都王城に勝るとも劣らず、ってとこかな?

 大きさや面積は、王国の王城の方が、大きいし、広い。


 でも。

 古都っていうか?

 歴史的には、帝国の方が圧倒的に古いらしい。

 なんでも、二千年くらいの歴史ある都なんだって。


 道理で?

 平屋建ての多い、高さが低い町並みながら。

 碁盤の目みたいに、縦横に綺麗に整地された、防壁都市。

 規模の大きさと整地に掛かった労力を、考えると。

 もしかしたら、王都よりも維持費が掛かってるのかも。


 あと。

 街中に、たくさんお食事処が、あったっぽい!

 親父殿、早く用事、終わらせて?

 一緒に、食べ歩きしようよ!


「ああ、もうすぐ終わるので、先に食べてて下さい」


 はーい。

 ……なんか?

 槍や剣持った帝国騎士さんたちが、殺到してるけど。

 皇帝と親父殿って?

 冒険者時代からの古い知り合い、って。

 叔父上が、教えてくれたっけ。


 旧友同士、親交を温める。

 男同士の友情。

 いいなぁー。


「出会え者共! 仮面の賢者を、討ち取れ!」

「待たんか宰相! 此奴、正体は……!」

「我が家の姫たちをこき使った報い、受けて頂きましょう」


 なんか、城中、ものすごい大騒ぎだ。

 親父殿、人気者だなぁー。

 さて。

 オレは、旧友同士の語らいを、邪魔しないように。

 下町でっ、和食を堪能するんだー!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「あれ、早かったね親父殿」

「ええ、あの程度、腹ごなしですよ」


 街のお団子屋で、十個目の団子を食べてたら。

 親父殿、優雅に隣に腰掛けた。


 にこにこ。

 うん。

 親父殿は、柔和に笑ってる方が好きだな。


 ──さっきまで、なんか妙に鬼気迫ってたからなあ。

 そんなに、皇帝陛下に話す内容、重要だったのかな。


 なんか、精霊について説明するとか言ってたっけ。

 帝国は精霊信仰がないので、精霊殿もなくて。

 皇帝を現人神って崇めてるんだっけ?


「あんなのでも、一応は元勇者ですからねえ」

「あ、それそれ! 勇者パーティの話、聞きたい!」


 叔父上から、多少聞いてるけど!

 仮面の賢者、黒の大魔道士って、カッコ良すぎる!


「……そうですね、長い話ですから。地元に戻ってから」

「うんっ、楽しみにしてるね」


 ふへへ。

 いや、ほんとに楽しみだなあ。

 叔父上の話だと。

 竜を単騎で仕留めたり?

 魔物の大軍勢を、単身で止めたり。

 空から隕石墜としたり。

 大魔道士、の名前に相応しい?

 史上最強の賢者だったらしいから。

 冒険譚っ、超、楽しみにしてますよ親父殿!


「国王陛下……。寿命の前に、逝去しそうですね」

「なんか言った、親父殿?」

「いえ、何でも。今後の予定について考えていました」


 今後の予定。

 えーと。帝都まで来ちゃってるので。

 いっぺん使節団の、滞在城に顔出して?

 予定と人員を調整して?

 南部に向かって。

 あいつら、待ってるかな?

 待ってたら、黒船に同乗して、新大陸へGo!

 みたいな。


「私はこの帝国領に居る間は、仮面の賢者ですよ」

「うん。バレたらマズいんだっけ。今更な気もするけど」


 答えながら。

 ふと、皇城の方に、首を巡らす。


 ぽっかりと真球状に切り取られて、中身見えてるお城。

 切り取られた大質量が、どこに消えたのかは謎すぎる。


 爆発も爆風もなく、瞬時、瞬間の消失奇跡。

 あれ、明らかに親父殿の重力魔法だと思うんだけど。

 あんなこと出来るの、親父殿だけなのでは?


「私は王都周辺で調査中ですよ」

「ああ、うん。そういうことにしとくのね」


 さて、腹拵えも、済んだし。

 いっちょ、気合い入れて、もうひとっ走り。


「メテルさん? あれは揺れすぎますので」

「うん、だいじょぶ、たぶん!」

「何も大丈夫ではないのですが……」


 有無を言わさず。

 抱え上げて走り出し、数時間後。

 親父殿、【浮遊】の魔法を開発してしまった。


 どんなにオレが揺れても?

 親父殿が入った力場の中では、水平を保つって。

 あ、それ、お船の中で、オレに使って?

 船酔い、しなさそうなので!


「これをメテルさんに掛けると、眠ってしまうのでは?」


 あ、そうか。

 大地の権能と、切り離されちゃうからな。

 でも。

 親父殿なら、道中任せて、大丈夫だよきっと!


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