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86話 漆黒の巨艦、造成

「毎度のことながら。我、そっちの気はない」

「オレもねぇよ。ってか、何で毎回コレなんだよ」

「めーねぇが精霊力の受け渡し不得手故、こうなる」

「あー、はいはい。全部オレのせいだよちくせぅ」


 あー言えば、こー言う。

 こー言えば、あー言う。

 あー、もぅっ。

 さっさと、やること済ませてしまうぞっ。


 では。

 改めて。


 むちゅぅぅぅ。


「んっ……、ふっ、ふぅっ……」

「めーちゃんめーちゃん、舌入れちゃダメ」

「わぁぁ……、メテル姉、本気だ……」

「んむぅ……!? うっ、うむっ、うううっ!?!?」


 ……。

 あ、いかん。

 ウンディが呼吸困難に。

 いやいや。

 ダークエルフ姿のウンディって、新鮮なもんだから。

 ガチで、味わってしまった。


「わ、我、穢された。お嫁に行けない」

「人をばい菌みたいに言うなコラ」


 で。

 姉妹四人揃って、何をやっているかというと。


「balan gûl, dúath dath daw síla ris……」


 瞑目、トランス状態に入るウンディ。

 全身から、さざ波のように精霊力が迸る。


 実際、ウンディ、水の大精霊だからして。

 オレの地の力を受けて。

 今、体の中で、精霊力を合成しているところ。


 オレが【錬成】を使えたら早かったんだけども。

 出来ないので、合体魔法と相成りました。

 何をするために、って。

 そりゃ。


「ウンディの……、おっ……きぃぃ」

「うわうわうわ、黒光りしてる」

「妙なことを口走るな妹ども」


 なんか変なもんに聞こえるから、やめなさいっ。

 と。

 何を見てるかっていうと。

 ウンディの前面から紡ぎ出される、真っ黒な大木。

 大木というか、既に枝を落とした材木状だけども。


 全長は、百メートル程度。

 真っ黒なのは、既に表面を漆で覆ってるから。

 オレの地の力と、ウンディの水の力の合成で。

 こういう、大木を創造することが出来るんだ。


 実際?

 惑星のどっかに。

 屋久杉も真っ青の、バカでかい木を植えたことがある。

 全高五千メートル超、惑星で最も高い生物だ。


 ……いや。

 どこまで高く出来るかな、って話になって。

 幹も枝も山脈並み、大陸全土に根を張った樹木が。


 あの木……、世界樹を作った後。

 ウンディがちまちま世話してたらしいが。

 あの後、オレ、完全に放置してたな。

 今、どうなってるんだろう。


「あれがダークエルフとエルフの神樹」

「じゅじゅ樹木がエルフ領域で、根がダークエルフなのぉ」


 ほー?

 余所の大陸だから細かく把握してなかったけど。

 有効活用されてるのなら、いっぺん見に行きてえな。


「だからぁ、そこに行くお船、作ってるんじゃんじゃん?」

「ぇ。オレ、作るのは手伝うけど、乗るのはパスで」


 怒られた。

 ぇー、だって。

 ガチで船酔いするんだもんよ、オレ。

 適当に、海底歩いて行くからさ?

 先に、行っててくれよぅ。


「ママ、一緒に行ってくれないのぉ? エル、寂しい」


 これ見よがしにエルを連れて来んな、シルフィめ。

 エルも、妙なしな作って誘惑しないの。

 そういう悪い子はいたずらしてしまうぞ。


「きゃー、ママ、えっちぃ!」


 誰がえっちだ。

 幼女は可愛がる主義であるからして、オレっ。


「めーちゃんめーちゃん、教育に悪いから」

「人を性犯罪者みたいに扱うんじゃねぇっ!?」


 って、いうか。

 使節団から、オレら四人抜けて、大丈夫なのかね?

 親交目的だったと思ったけど。


「あっあっあっ。考えて、なかった!」

「我は往く。エルデガルドも連れ行く」


 まあ、ウンディはそうだよな。

 元々、使節団の員数外だし。

 じゃ、オレは残るのでー?


「めーちゃんめーちゃん、移動中、寝てれば?」

「寝てても酔うもんは酔うっつの」

「えー、じゃあアタシが風魔法で、ばびゅーんと!」

「オレの重さを甘く見んなっつか、前回それで失敗したろ」

「えーえーえー。めーちゃん、ワガママさーん」


 お前にだけは言われたくねえよ!

 てか。

 前回、オレがあまりにも重いからって。

 ICBMばりに、成層圏まで打ち上げただろお前。

 あの後。

 地面にバカでかいクレーター出来て、大変だったんだぞ。


「済んだことは、振り返らない!」

「多少は振り返って次に活かせよ!?」


 と。

 そうこうしてるうちに。

 船が、形を成して行く。

 妹らが、ウォーターカッターと爆炎で形状を整えてる。


 要所要所を、オレが鋼鉄で補強してるけども。

 あまり凝った形状の船ではないっていうか。

 オーソドックスに、三角帆の帆船だ。


 いやまあ?

 この世界にはまだ、存在しない船型から?

 この世界レベルでは、オーソドックス、ではないかも。


 四本マストで、メインマストの高さは五十メートル近い。

 てか、モデルがあるんだ、この船型。

 前世の大阪港で見たことがある、真っ白な帆船。

 練習艦だったかな? すんげえ綺麗な船だった。

 オレの記憶から、シルフィとウンディが気に入ったんだ。


 まさか?

 今回、大陸を渡る用途で作られるとは思わなかったが。

 それに。

 記憶の中じゃ、純白の船体が美しかったのに。

 漆黒の船体で、あちこち黒光りしてるんだもんな。


 まあ。

 海軍力最強を誇る、帝国。

 の、どの軍艦よりもでかくなったのは、ご愛嬌。


「これほどの巨艦で帝国を攻めたりは、しませんわよね?」

「しませんー。っていうか、武装ないしこれ!」

「四大精霊が乗艦する時点で、どの国家も勝てませんわね」


 カゲツ姫、めっちゃびびっておられます。

 オレらの働きで、帝国の軍港めっちゃ整備されたので。

『遊びで』こういう船作るくらい、見逃して下さいよ。


「四大精霊の遊びは、壮大ですわね……」


 乾いた笑いを向けられた。

 なんでだ。


 と、まあ。

 そういうわけで。

 まず、第一陣として?

 ウンディとエルに、シルフィが移動。


 で。

 一旦、オレとサラムが王国に戻って。

 なんとかして、親父殿か御母君と一緒に移動することに。


 なんでかって。

 せっかく余所の大陸に探検するんだから。

 親父殿か御母君の、知識と知恵と能力に。

 オレがっ、頼りまくりたいっ。


「別に、そんなに問題は起こさないよぉよぉ?」

「お前のその手の発言は、全く信用出来ねえんだよ!」


 前回、迷宮で大泣きしたの、もう忘れてやがる。

 妹たちの前で、バラしちまうぞ?


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