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81話 ママと呼ばれる筋合いはない

「ママぁ!」


 は?

 いや、全力で抱きつかれても。

 ウンディより、少し小さいくらいの幼女。

 オレの股くらいまでしかない。


 いや、アタマを股間にぐりぐりはやめて?

 普通に痛いです。


「え、ママはママだよ?」

「いやオレ的にはむしろ、パパと呼ばれたく」


 意識的には、男性だからなオレ!

 ときどき、自分でも忘れそうになるけど!!


「おっぱいあるから、ママだよ!」

「おっぱいあったら誰でもママかい!」

「ううん? ママは、ママだから!」


 謎問答が続きすぎる。

 御母君と違って、ほんとに見た目通りの幼女なんだな。


 年齢は、うーん? 六歳くらいかねえ?

 褐色の肌に、長い耳。

 肩までくらいの、白髪。

 真っ赤なお目々に、真っ赤な唇。

 ものの見事に、ダークエルフですね。


 君、もう少し育ったら?

 そこら中の男共を虜にすると思うよ?

 美幼女すぎる。

 将来、楽しみだね。


「ママ、おはようのキス!」

「もう昼過ぎなんだけどな。ちゅっ」


 周囲からきゃぁぁぁぁ! なんて女性の悲鳴が。

 え、幼女相手だぞ? ノーカンだろ。

 とりあえず、抱っこして。


 こら。

 胸を揉むな胸を。

 ナチュラルに、おませさんだな君は。


「め、メテル様……、いつ産んだ子ですか」

「産んでねえよ!? ママに似てるの、オレ?」

「ママは、ママだから!」


 誤解を加速させないで下さい。

 ほら、コチョウとカゲツ殿下が、内緒話してるし。

 あれ?

 ウチの妹はどうした?


「うーん? むしろ、ウンディの子……、ううん、眷属か」

「ん? 言われてみれば」


 ぶつぶつ思案してる、シルフィのつぶやき。

 言われて、精霊力を測ったら。

 ──ほんとに微妙なレベルだけど?

 確かに、水の精霊力を持ってる。


「ダークエルフって、水精霊の眷属だっけ?」

「うんうん、そう。この大陸には居ない、はずなんだけど」


 ふむ?

 シルフィの説明では。

 ドワーフ=地。

 ダークエルフ=水。

 オーガ=火。

 エルフ=風。

 っていう、精霊の眷属種族が居るらしい、この星。


 ダークエルフの子だから、水の精霊力を操る、って。

 なるほど?

 無数に存在するちび精霊たちに、命令できるのかな?


「ううん? アタシたちと違って、お願いだけね」

「へぇ? オレらは強制で命令出来るからな。随分違うな」


 同じ精霊魔法でも?

 オレらの使い方と、人間や亜人種の使い方って。

 かなり、異なるみたいだ。

 発見だったなあ。


 確かに。

 オレは、僧侶のラスティみたいに?

 精霊力で、治癒は出来ないからな。


 オレ自身が、治癒が必要ない身体なのもあるけど。

 ──必要がないと、能力って育たないんですもんっ。


「で、めーちゃん? その子、名前は?」

「あ、そうだった。お嬢ちゃん、名前、年齢、言える?」

「んー、エルデガルド、四つ!」


 随分豪華なお名前でした。

 エルデガルド。

 じゃあ、エルか。


 で。

 エルは、どこから来たのかな?


「わかんない! 気がついたら、浜に居たの!!」


 ……んんん。

 これは、難航しそうだな、住所探し。


「めーちゃんめーちゃん。ウンディを、呼んでみたら?」

「あいつ、気づいてんじゃないのか? 水鏡あるし」

「うーん、どっかの海で別作業してるんじゃないかなあ?」


 あ。

 そういう可能性も、あるか。

 っていうか。

 呼ぶって、どうやって?


「久しぶりに、合体しよ合体!」


 なんで頬を赤らめながら言うんだよ。

 合体ぃ?

 アレ、オレばっか疲れてきついんだけど?


「だいだいだいじょぶ、ほら、女の子しか居ないから!」

「むぁ。うーん、そういうことなら。仕方なくだぞ?」


 ノリノリで抱きついて来やがって。

 両手に花、だけど。

 エルは、ちょっとリズに抱っこして貰ってな?


「わぁ。ママの倍もある」

「何がだよ。そこに興味持つのは十年早い」


 全く、おませさんめ。

 で。

 やって来ました、砦の屋上。

 ……強度、大丈夫かなこの砦?


「あ、あの。メテル様? 合体、とは」

「あー。離れてた方がいいぞ、コチョウ」

「見学していて、良いのでしょうか?」

「大丈夫っす、カゲツ殿下。あ、でも、近寄らない方が」


 言ってる間に、既に。

 シルフィが、全力で周囲の空気を集めている。

 風の大精霊は、伊達じゃないっ。

 そんな、勢いで集められた、空気を。

 オレが、両手で掴むように、手の中に。


「まだまだ行くよーっ、全力全開っ!!」

「ほどほどにしとけよ? 砦、石造りなんだから」

「分かってるもんもんもんっ!」


 本気でノリノリだな。

 まあ、久しぶりの合体『魔法』だし?

 オレの方は、抑え込むだけで楽だからな。

 ……後が、大変なんだけどなあ。


 ──精霊力の、合体魔法。

 地と風の、集合。

 オレの手の中には、周囲の空気が大量に送り込まれて。


 でも。

 オレの両手は、その空気を一ミリも逃さない。

 すると、どうなるか?

 断熱圧縮、って奴だ。


 どこにも逃げ場のない空気が、超絶高圧で加圧されて。

 ……超々高熱の、プラズマになる。

 つまり、この魔法は。


「プラズマキャノンー、発射ぁ!」

「オレが撃つんだけどな」

「きぶきぶ気分ー!!」


 次女が楽しそうだから。

 いいか。


 オレの全身の、衣服類。

 超々高熱高圧の、大気熱で?

 燃えて焼けて。

 オレ、マッパになってんですけどね。


 周囲、女性陣だけつっても。

 屋上でまっ裸で魔法撃つって、露出狂かオレは。


 発射の手順は、簡単。

 オレの、凶悪に赤熱した両手の片方に。

 隙間を、作るだけ。


 そこから。

 海の彼方に向かって──。

 プラズマが、音速の数倍の速度で放出される。


 ──きゅびぃぃぃんんんん……、ずどばああぁぁぁん!


「これは……、王国は、絶対に敵に回せませんね」

「オレらが人間の戦争に加担するかどうかは未定だけどね」


 カゲツ殿下もコチョウも、びっくり仰天されておられる。

 プラズマキャノンの、威力。

 浜から遠く、水平線付近に。

 数千メートルに達する、水柱が形成された。


 いくらウンディが遠くに居ても。

 こんだけの衝撃を海に与えれば、気づくだろ。

 あとは。

 ウンディの連絡を、待つとするか。


「ママぁ、エルデガルド、甘いものが食べたい!」

「いい加減、ママ呼びはやめなさい」

「──メテルお姉様、お相手は誰なんですかぁ?」


 産んでねえって言ってんだろ、リズも乗るなよ!

 だいたい、男とそういうことするとか?

 考えたことも、ねえよ!!


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