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67話 サラムを可愛がるのは、使命ですし

 どん、どんどんっ。

 肩や胸を叩かれて、オレ、揺らいでます。

 ちびっこと思ってたけど、力ついたよなあ。

 ただいま、サラムが超絶、悔しがり中。

 オレの、胸の中で。


「いや、危なかった。技を修練すれば、いずれは」


 疲労困憊、でも、爽やかスマイルなカイオンさん。

 でも。

 その横で、彼女さんが怒髪天になってますけど?


「本当に無茶ばかり! 全身の毛細血管切れてるわよ!?」

「サラム姫のあの動きについて行った結果だ」


 うん。

 甲斐甲斐しく、カイオンさんの手当をしてるハクラさん。

 超、お似合いですよっ?


「いえ?! これは王宮薬室長として、当然の義務で」

「私は義務で治療されていたのか?」

「そうではない! ええい、分かれ!」

「分かれって、何をだ?」


 うわー。

 カイオンさんが、朴念仁すぎて。

 ハクラさんが、可哀想というか、面白すぎというか。

 顔色が、青くなったり赤くなったり。


 なるほど、これは楽しい。

 御母君やシルフィが、全力でお膳立てするわけだ。


 ……で。


「なるほど、覚えました! サラム様、次は私と!」

「え? メイヴィスさんとはやらないよ?」

「な!? 何故に!?」

「だって、メイヴィスさん、遅いし……」

「遅!? いえ、これでも護衛騎士を努め、研鑽し」


 いや。

 素人のオレの見立てでも、メイヴィスさん?

 たぶん、オレより弱いぞ?


 どうしてあんなに、無条件に強くなった気になれるのか。

 な、謎すぎる。

 でも、まあ?

 サラムの気が紛れたみたいだし。

 あれはあれで、いいのかなあ。

 ただ。


「火霊の騎士を騙る不届き者が居ると通報を受けて!!」


 本物の火霊殿の騎士さんたちが、わらわら。

 後ろも見ずに全力で逃げ出すその逃げっぷり、見事。

 ──メイヴィスさん、オレらが王都に居る間に?

 もう一度、合流できるのかしら?


 まあ。

 オレには深く関係しないし?

 放っておこうかな。


「あ、メテル姉?」

「ん? どした、サラム?」

「あのね……、ディーには、内緒にしてね?」


 くーっ。

 目ん玉うるうる、上目遣いは反則だろう。

 双子の片割れに、秘密にしたいのね負けっぷりを。

 いいとも、おねーちゃんは秘密にしてあげましょうとも!


「ねねね、ウンディ、水鏡で把握してるんじゃないの?」

「……!?」


 シルフィに指摘されて、サラムが凍ってしまった。

 どれどれ、無防備な娘を抱っこしてあげよう。

 マジフリーズか、ほんとに想定外だったんだな?


 そういえば。

 オレほどではないけど。

 ウンディも、水鏡でかなり広範囲を常時把握してるんだ。

 バレてるかもなあ?


「細かい攻防とか、魔道士系のディーは判らないもん!」

「そうだなー、そうだといいなー」

「メテル姉、ほんとのほんとに内緒だからね!?」


 答えずに、軽くほっぺにキス。

 いや、だってなあ?

 オレが教えなくたって?


 ウンディなら。

 泣き腫らしたサラムのまぶたに、必ず気づくだろうし。

 ……自覚ないって、可愛すぎるなあ。

 もっぺん、キスしとこう。


「やん、メテル姉、耳たぶはダメぇっ」

「かぷり。ふうぅぅ」

「はぅんっ、息もぉ」

「めーちゃんめーちゃん、人目、人目」


 はっ。

 衆目環視だった。

 はっはっは、何、妹可愛がりの一環ですよ?


 なんで、女性陣皆さんドン引きしてるんですかね?


「あの美貌で女性キラーなんて、怖すぎる……」

「ハクラ、気をしっかり持つのよ! あっちの道はダメ!」


 どっちの道ですか、御母君。

 ──さて。

 火霊殿も外れみたいだし?

 望みは薄いが。

 最後は、ウンディと親父殿が向かった、水霊殿か。


 ……魔法バカ的に、最悪のコンビだし。

 なんか、やらかしてないといいんだけど。


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