56話 絶対領域って、なんだよ
1000ポイント、超えましたぁ!
わぁい、生まれて初めてのっ、四桁到達だぁ!!
今後ともっ、可愛い四姉妹を、よろしくですーっ!
※2020/02/11-サラムの前世をオーガに変更(書き間違い修正)。
「あのー、シルフィさん? これ、いつまでやるのかな」
「アタシが苦労してる間、飲んだくれてたんですってね?」
うっ。
そういう言い方をされると、弱い。
叔父上は叔父上で、御母君にこってり説教されたらしい。
後宮に入れる入れないで、後宮の奥方達も揉めたそうで。
いやオレ一応、叔父上の姪っ子ですから?
そういうのは、ないですよ。
──歴史的にはそういう関係もあったそうで。
乱れてんなあ、後宮事情。
それはともかく。
離宮の、大広間。
ずらりと目の前に並ぶ、姉妹たち。
オレ?
中央で、……メイドさんになっております。
絶賛、反省させられちぅー。
「というわけで! おねーちゃんは、しばらくタダ働き!」
「このメイド衣装、着る必要あったのかオレ?」
めーちゃんが嫌がる衣装着てるから、いいんじゃない!
なんて、強く言われたら。
反論出来ねえよ、ちくせぅ。
むぅ。
髪は、メイドさんたちが頭につけるアレで上げられ。
上から下まで、黒のゴスロリっぽい衣装で固められ。
前掛けのエプロンは、ふわっふわのひらっひら。
腰の後ろで蝶結びされてる。
見てる分には可愛らしい、けど。
自分が着けるとなると。
むむぅ。
フレアスカートだっけ? なんかふわっと広がってるの。
下着はガーターベルトなんだけども。
スカートが膝上15センチくらいで。
ガーターとスカートの間に?
太もも生足部分があってだな。
むむむ。
……絶対領域、って奴か、これ?
ていうか、ね?
これ、ちょっと屈んだら、尻、見えちゃうだろ?
侍女さんズがいつも?
しゃがんで作業してる理由が、分かった気がした。
あと。
階段上がるときとか。
後ろ手でスカート押さえたり?
荷物を後ろ手で持ったりしてるのも。
女の子って、こんな苦労してたんだなあ。
極めつけは、ヒール高15センチのガラスのピンヒール。
ほぼつま先立ちじゃねえか、これ。
オレは権能あるから、地属性なガラスは同化出来る。
ので、別に歩くも走るも全然平気で、何も問題ない。
けど。
侍女さんズの、標準衣装で標準装備なんだぞ、これ。
こんなん履いたままお仕事って、侍女さんズ、すっげー。
で。
股が、めっちゃすーすーするし?
生足太もも晒すの初めてなんで。
──ひたすらに、落ち着かねえ。
正直。
超、恥ずかしいんだよ!!
「っていうか、おねーちゃん?」
「皆まで言うな、分かっとるわ!」
人を指差して笑うんじゃありませんっ。
ていうかシルフィ、呼吸困難になってんじゃねーか。
サラムも。
ウンディの肩に顔隠してるけど。
全身、ぷるぷる震えてんぞ、お前。
ウンディ?
いつも通り、めっちゃ無表情だけど。
おねーちゃんには、解るぞ?
お前、意識を全然別のところに飛ばしてるだろ。
くっそー。
オレ、身長が174センチあるんだもん。
普通の女性と比較しても、かなりの高身長です。
なので。
我が家の下働き軍団、侍女さんズに混じると?
頭ひとつ分以上、抜きん出て高いんですよ。
……目立つわー、これ。
「ぜぇっ、ぜぇっ。久々に、ツボった……」
「何ならお前付きで働いてやろうか」
「ぜっぜっぜっ絶対に、遠慮するもんっ!!!」
箸が転がっても笑いそうな満面の笑顔で言うなよ。
いや、この世界で箸なんかまだ見たことないが。
箸以前に、コメも醤油も見てないな?
あるんだろうか?
芋焼酎を馬刺しできゅっと一杯イキたい。
いや、久しぶりっていうか、前世ぶりの飲酒だったから。
美味しかったぁー。
「アタシも飲み、解禁よねぇ?」
「むむ。んー、深酒はやめとけよ?」
オレ自身が呑んじゃったからなあ。
これは、許可せざるを得ない。
果実酒程度で酔うわけないでしょ、水同然よっ。
なんて、胸張ってるけど。
シルフィは前世、森人だったらしい。
果実酒は森で作って、水代わりに毎日呑んでたそうだ。
オレは前世が日本人だから、そういう感覚薄いけど。
真水をいつでも潤沢に飲める環境、って珍しくて。
普通はどこでも、真水の方が酒より高いらしいね。
まあ。
我が家では、水の大精霊様にお願いすれば?
真水の供給は、ほぼ無限なんだけども。
そういえば?
ウンディは闇水人で。
サラムが、鬼人だったんだっけ?
──サラム、酒、めっちゃくちゃ強そうなイメージ。
まあ、この世界、どうやら亜人種居ないぽいけどね。
「居ないわけじゃないわよ? この大陸には居ないけど」
「へぇ? 他所の大陸に居たり?」
「めーちゃん当たり。一番近いところにエルフが居るかな」
ほー。
そりゃまた、新情報だなあ。
交易とか、出来るんじゃねえの?
「あっはっは。無理無理むり、今の人間の航海術じゃね」
言われてみれば、そうか。
大陸の内部ですら、未だに未踏地域たくさんあるしな。
さて。
じゃ。
そろそろ。
「って、めーちゃん? そっち、アタシの部屋?」
「ん? 下働きメイドだぞ、オレ?」
「うん? お屋敷の掃除とか、しないの?」
「もちろん、するともさ。さあ、姉妹の私物チェーック!」
「わぁぁ!? ちょっ、片付けるまで入っちゃダメー!!」
はっはっは。
お前程度の力で、オレの歩みが止められるものか。
侍女さんズには、既に話をつけてある。
前々から、相談されてたんだよね?
ウンディやサラムの部屋は、綺麗に整頓されてるのに?
シルフィの部屋は、汚部屋になりつつある、って。
元々、いろいろ収集癖あるからな、コイツ。
光り物大好きって、カラスかお前は。
「あっ、そうそう、めーちゃんに朗報!」
「──こら、下着と宝石混ぜて宝石箱入れんな」
「わぁぁ、勝手に開けちゃダメ! 精霊核の材料っぽいの」
「へえ? 誰かが拾ったか集めたか? なんだこれゴミか」
「ゴミじゃないっ、アタシのお気に入りの金剛石ぃ!?」
「親父殿の錬金術でぼろぼろ作れるだろ」
「価値暴落起こすから、市場に出しちゃダメって」
そりゃそうか。
金も物品と交換しちゃダメだ、って強く言われてるっけ。
まあ?
オレ、未だに【錬金】出来ないんだけどさ。
それは、ともかく。
シルフィが昨晩、身体を武器に、入手した情報によると。
「触らせてないからね? めーちゃん心配しすぎー」
「お前は警戒しなさすぎだ。そのうち痛い目見るぞ」
「アタシがぁ? 相手がぁ?」
……まぁ、相手だよな。
人類の滅びの足音が、聞こえたり聞こえなかったり。
で。
情報は、ちょっと意外というか。
そういえば、そうか的な納得も。
「地霊殿に、ねぇ?」
「精霊力を強く宿す、大岩が祀られてるんだってさー」
「まあ。それは、……アレだよなあ」
「アレ、に違いないよねぇぇ」
ふむ。
一度、地霊殿に、行ってみるか。
ついでだし、冒険者ギルドその他にも。
他の精霊殿に行くのも、いいかもしれない。
それで。
アレ、が何か、って。
オレら精霊核本体以外で、精霊力を強く宿す、固体。
それ、たぶん、ひとつしかない。
──この身体に宿る前の、オレの本体。
精霊の、大岩だ。
……確か、大陸北方の山ん中に、放置しっぱなしだし。




