200話 エピローグ
やがて。
パラケルススとホリィの子、五女は。
成人するとすぐに夫を迎えた。
五女は四人を産んだが、うち三人の男子は戦争で死んだ。
王国は、メテルらの世代より更に七代続いた。
だが。
やがて、帝国との間に戦争が起きた。
人間族は、大戦を百年繰り広げた。
それは同族間の消耗戦と成り果て。
大陸は千地に乱れ、そして亜人がやって来た。
精霊大陸と、暗黒島より来たりし亜人。
彼らは、疲弊した大陸を速やかに再統一した。
かつて亜人を大陸より追放した人間は。
今や。
絶滅危惧種として、全土で保護されている。
大精霊は、暫しパラケルススの血筋を見守った。
だが、氏族は四代を過ぎると精霊が見えなくなり。
六代を過ぎると、精霊信仰を忘れた。
森人の古老は当時を知れども、黙して語らず。
故に。
今や、精霊のまじないとして童歌に僅かに痕跡を残す。
地神殿は。
王国滅亡の際に信徒は自ら火を放ち、神殿は焼けた。
それらは、多くの稀覯本と共に灰となった。
信仰は散逸し、祭祀は忘れ去られた。
豊穣の女神は、急速に信徒を増し。
今や大陸全土を覆う、主神と成っている。
暗黒神は。
暗黒島を海中に沈め。
世界の終わりを、静かに海中で待っていると言われる。
そして。
地霊、水霊、火霊、風霊は。
今。
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「あー、暇だなあ」
「めーねぇが暇になると、碌な事がない。しーねぇ?」
「たよたよたよっ、頼れる次女にお任せあれ!」
「ボク知ってる、シルフィ姉、朝から何か作ってた!」
場所も定かでない、旅路の道。
今日も楽しく、仲良く一緒に。
世界の何処かを、巡っている。
──完──
これにて完結、です。
長らくのお付き合い、ありがとでしたーっ。
四姉妹の旅路はまだまだ続きますが、このお話はとりあえずの完結としておきます。




