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197話 どうやら先輩、ガチ武術の達人ぽい

「こういうところは、ほんとに妻そのままですよ……」

「たぶんオレ、その奥さんと気が合いますよ?」

「でしょうね、今の君が私の妻と融合してるんですから」


 ……?

 やっぱり。

 難しい話は、解らないです。


 と、いうわけで。


 どごぉぉん!

 拳撃、一閃!

 片手で受け止められた、オレの渾身の一撃。


 うっは、たーのしー!

 生身で?

 オレの拳を受け止める存在なんて。

 先輩が、初めてです!


「ですが、このまま私も全力で返すと、星が割れますので」

「わぁ、魔王様悪い人だー」

「やりませんから! ですから、三つ、ハンデあげます」


 魔王陛下、意外と紳士です。


「ひとつめ。私は魔法を使いません」


 言いながら。

 急速に接近した先輩?

 オレの拳を掻い潜って、懐へ!


 慌てて距離を取ろうとするオレの、腕を鷲掴み。

 とん、と。

 軽い感触で、オレの腹へ、拳を。


「ふたつめ。私は人間並みの力しか使いません」


 ずどん!

 腹に、鬼のような衝撃!

 こ、この近距離から、その威力!?


 ワンインチパンチ、って奴でしょうか。

 重量級の、オレの体重なのに。

 オレ、一瞬で先輩の前から弾き出される。


 ……こ、これで人間並み?

 人間の可能性って、無限すぎる……。


「みっつめ。私は武器を用いません」


 ひゅひゅひゅっ、ずぅん!

 両腕をなんか中国拳法みたいに、鋭く動かした先輩。

 そのまま、片足で床を、勢い良く叩きつける。


 あ、それ、ゲームとかで見たことある。

 震脚、って奴ですよね?


 ……あの。

 先輩?

 もしかして。

 ガチの、八極拳士ですのこと?


「割とね? これで重力操ったら、君には勝ち筋ないです」

「む、むかっ。そ、それはどうかなー?」


 ふっ、と笑う先輩。

 なんだか、嘲笑われてる気配。

 むむむっ。


 オレだって?

 一応、冒険者資格持ってるんですよ?

 迷宮だって、何度も潜ってるし。


 そんな、初心者扱いされたら。

 む、むかつくー!


「リル! ティーマ! 全力!」

《戦う必要ってあるの、アンタ? やるけど!》

《下等精霊より私の方が、役立ちます!》


 ティーマの加速魔法と、リルの精霊双刀!

 先輩?

 悪いけどこれ、オレの必勝コースです!


 って。


「遅すぎます。本当に、能力鍛えてないですね……」

「な、なんでぇ!? 人間並みの知覚でしょぉ!?」


 ぶんぶんっ、ぶぶんっ!!

 両腕の精霊刀を、前後左右、めちゃくちゃに振り回す。

 のに。

 超至近距離の、先輩。

 体捌きで、軽々と躱すし。


 時にはオレの肘や腕を、弾いて。

 勝手に勢いつけられたオレ?

 おっとととっ、とよろけてしまう。


 その、大きく泳いだオレの身体に。

 冲捶、頂肘、打撃技のオンパレード!


 だ、だめだこれ。

 ガチの、達人様でいらっしゃる?!


「セラからの報告で分かってましたが。武術素人ですね?」

「わぁん、達人様がいじめるぅ!?」


 いや。

 オレも、以前からちょくちょく思ってたけども。


 オレ以下、大精霊の姉妹四人。

 全員、元々の権能で乗り切ってるとこあるから。


 例えば。

 セバスさんとか、カイオンさんとか。

 かなりガチ目の、その道の達人相手だと。

 敵わないとこ、あるんだよねえ。


 オレら、基本。

 知覚が速くて、怪力で精霊力の塊。

 なんだけど。


 鍛えに鍛えた、達人って。

 オレらは、目で見てから動くけど。

 彼らは、反射的に動けるように鍛えてるから。

 どうしても、そこの差は出て来る的な。


 素人レベルの戦いを、超速でやってるだけ。

 そう言われてしまうと、その通りなんだけども。


 ううむ。

 こ、この無様さ加減が。

 全国のお茶の間に、魔力中継されてますのこと?


「ええ、王国や帝国、精霊大陸にも配信中です」

「範囲広すぎませんのこと!?」


 やっべ。

 それ、絶対?

 この島に来てない?

 シルフィやサラムも見てるに、違いない。


 どおおおぉぉぉぉぉんん……。


 遠くから近づいて来る、遠雷に似た響き。

 来るよなあ。

 そりゃ、来てしまうよなあ。


 長女がこんなに、苦戦してたらなあ。


《なになになに、何やってんの、おねーちゃんっ!》


 ぱがぁぁぁぁん!!


 空を切り裂いて、ソニックブームが到達。

 オレと先輩の周囲に、暴風が吹き荒れる。


 音速の使徒。

 オレの最愛の妹。

 風の大精霊シルフィード、顕現。


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