表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/200

190話 何かがおかしい?

《マスター? お休みになられないのですか?》


 不思議そうに尋ねるティーマの顔を、指先でうりうり。

 きゃー、なんて声上げて、嬉しそうに指に抱きつく。

 ふふふ、愛い奴め。


 ──深夜の、鳥人族の集落。

 フクロウの鳥人さんなのかな?

 ときどき、鳴き声が聞こえるけど。


 殆どの鳥人が夜間は飛べない、ってライナスさんが。

 その話通り。

 集落は、静まり返っている。

 メルちゃんも、貸して貰ってる大樹の虚で、お休みちゅ。


 けども。

 オレ。

 ひとり、大樹の根本で思案ちぅ。


 ……うーん?

 なんか、状況が。

 ちぐはぐ、というか。


 ライナスさんと、メルちゃんのおかげで。

 鳥人族の、協力を得られたわけだけど。


 ──この集落、割と最後の方まで回らない予定で。

 北東に向かったのも?

 いちばん遠い集落だから、って程度で。


 ロックさんとウンディが持ち帰った、色んな情報。

 あんまし上手く、活用されてないというか。


 ティーマが調べてた、麻薬関係の資料と。

 ロックさんたちが迷宮で捕まえた、麻薬製造の獣人。

 そこら辺も、全然調査進んでない気がしてる。


 て、いうか。

 曲がりなりにも島を統治してる、女王な師匠。

 女王城最下層、アッシュ先輩の部屋に入り浸りで。


 研究のため、つって連れてったリルも。

 いつまでも、返してくんないし。


 あんまし?

 統治っていうか、状況を進めてなさそうな。


 師匠の眷属って。

 城の中で、殆どが眠ってるらしいけど。

 不死で、身体能力が獣人に勝る吸血鬼。


 全員起こしたら?

 オレらが代わりに島中を、動かなくても。

 さっくりと、セラさんを捕縛出来そうなもんだよな。


 つか。

 そもそも。

 ロックさんは、御母君に命令受けてるけど。

 実被害が拡大中なんだから?


 本来的に。

 オレらでなく、師匠たちが動くべき案件なのよなー。

 オレら。

 根本的に、よそ者ですからね?


《そこんとこどう思う、ティーマ?》

《マスターの指先、気持ちいいです……》


 そうじゃないんだけど。

 おい。

 うっとりオレの人差し指を、抱き締めるんじゃない。

 ていうか。

 いつの間に、手指の間にすっぽり収まったんだ。


 ……。

 うり。

 うりうり、うりうりうり。


《ひゃぁん……》


 ティーマがうっとりしてるから。

 まあ、いいか。


 しかし。

 鳥人族に、偵察を頼むとは言え。

 どうせなら?

『目』は、多い方が助かるよなー。


 こら、ティーマ。

 いつまでも、恍惚としてないで。

 ちょっと、連絡頼むっ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 翌朝。


「で、その……、メテル様? これは?」

「ふはははは。本邦初公開っ。これが、世界樹の木だっ!」


 ずでーん。

 鳥人族の集落の、すぐ近く。

 地面から、おっそろしい高さまで天を衝く木。


 お借りした大樹の太さなんざ、メじゃねえ。

 数倍の太さの、樹木が。

 森を侵食する勢いで?


 今も。

 メリメリと、音を立てながら。

 順調に、成長中でございます。


「ママの頼みだから、張り切っちゃった!」


 と。

 オレの腰に、がっしり抱きつくエル。


 そうなのだ。

 精霊大陸から、この島まで。

 世界樹の精霊、エルデガルドに頼んで。

 超速で、根っこを伸ばして貰ったのであるっ。


 途中の海?

 オレの権能補助で、地殻をぶっ貫きましたが何か。


「よしよし。んじゃエル? 鳥人族と協力してな!」

「任せて! 島中に、根を張り巡らせちゃうんだから!」


 つまり。

 世界樹を通して。

 エルの認識範囲を、島中に広げれば?

 精霊大陸と、同じく。

 エルが、全土詳細を把握出来るので。


 鳥人族の、上空偵察と併せて。

 どっかに隠れてるぽい、セラさんを。

 発見するのが、早まるって寸法でさあ!


「世界樹の精霊様……、話には聞いておりましたが」


 あ。

 しまった。

 メルちゃん以下?

 鳥人族の、皆さんが。

 めっちゃ、平伏していらっさる。


 オレら大精霊ほどじゃ、ないにせよ。

 エルって、かなり高位の精霊だもんな。

 精霊信仰してる、獣人たちからしたら?

 女神降臨、みたいなレベルの大事か。


 え、ええと。

 あの?

 とりあえず。

 畏まらなくて、いいので。

 調査、開始して頂けますか?


「「「「一命に代えましても!!」」」」


 ぉぉぅ。

 気合入ってんなあ。

 ……んじゃ、エル?

 ここは、任せるからな?


「うん、任されたわ! ……でもママは、どこに行くの?」

「オレ? オレはちょっと、用事が出来たんでな」


 ティーマを肩に乗せて。

 向かう先は。

 ──女王城。


 なんか、いろいろ変なので。

 師匠に会って?

 きっちり、そこんとこ聞いて来るわー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

──少しでも面白いと思ったらっ。評価ボタンを押して頂けますと、感謝感激でございますっ。──


小説家になろう 勝手にランキング

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ