185話 のんびりお風呂も、浸かれやしない
「というわけで、ご同行させて頂きます」
「あ、はい」
……。
兎人族の現族長。
メルランディア・ラビットフットちゃん。
略して、メルちゃん。
島内の、獣人の集落を巡ることに、なりまして。
地理をよく知る現地の方で。
女王陛下、師匠と縁が深い人に、お願いを。
──。
「何卒、他の兎人の咎はご容赦を……」
「いや、咎とか全然ないので。それよりも」
めっちゃ恐縮してるとこ、申し訳ないというか。
……あのですね?
ざばぁ。
ちゃぷちゃぷ。
ぴちゃーん。
いやぁ。
湯気と湿気が、程よく気持ちいい。
ロックさんとウンディは、師匠に報告と相談へ。
オレは現場を押さえたところ、見てないので?
のんびり一人湯してたところに、メルちゃん来て。
二人で、この広さを専有。
昼からお風呂。
贅沢ですねー。
というか。
お風呂場で、お互い全裸なんですけど。
そこで土下座されると。
オレ、お風呂から出られないですやーん。
「メテル様は女性好きだとか。私、経験はないですけど」
一所懸命、ご奉仕します。
って、うぉい!!
誰だそんな噂流してんの!?
オレのは普通にスキンシップ!
いいですか?
邪な気持ちなんて、毛ほどもないんですよっ。
……ほんとだからね?
「へくちっ! あ、ごめんなさい……」
「てか、身体冷えるでしょ。入って入って」
「あ、では、失礼して……」
おお。
兎人族の村で会ったときから、思ってたけど。
オレの隣に、しずしずと足先から入って来るメルちゃん。
──でかい。
何がとは、言わんが。
オレの、1.5倍くらいはありそう。
そして、引き締まった筋肉。
腹筋、割れてまではいないけど。
うっすらと、縦筋が見えます。
ええと。
お歳、いくつでしたっけ?
「今年、15歳になりました。もう、大人です……」
初めてですが、よろしくお願いします。
って。
あの。
腕を取って。
ぴったり、寄り添われますと。
……。
オレのと、メルちゃんのが。
むにゅるるるぅん。
などと。
お互いに、当たってるんですけども。
お湯の、浮力で。
ぷかぷか。
合計よっつの、柔らかいの。
──(σ・∀・)σつんつん。
「きゃんっ!? あ、いえ、驚いただけです……」
「あ、ごめんよ。柔らかそうだったので、つい」
てか。
誰か、助けろ?
いつもなら、浴場内に控えてる、師匠の侍女さんたち。
エレナさん、フィーナさん、グレタさんのうち、誰か。
気配はあれども、姿は見えず。
「……姿消して、観察してんでしょー!?」
「あらぁー。よくお分かりでぇー」
くすくす。
軽い笑い声と共に。
フィーナさん、登場っ。
必要ない、って言ってんだけど。
三人のうち、いつも誰かが傍に控えてくれるんだよね。
マークさんたちの方にも、行ってるらしいし。
あ。
マークさんはともかく。
一緒に居る。
具合悪かった、ユリちゃん。
様子を伺おうと思ってたんだった。
「その前にぃー、御髪を洗いましょうねぇー」
「え、いいよめんどくさい」
「ほっておくとカラスの行水、と伺っておりますからぁー」
えええ。
お風呂はのんびり浸かるのが、好きなんであって。
隅々まで洗うとか。
め、めんどくさいんですけど?
そもそも、オレ。
新陳代謝、してないから。
軽く流すだけで、十分なんですよぅ?
「ふふふ。女の子ですもの、綺麗綺麗しましょうねぇー?」
「あの。常人なら肩が砕ける勢いですよね?」
「逃しませんよぉー? ささ、メルランディアさんもぉー」
「あっ、はい! お手伝い、させて頂きます!!」
ひいぃ。
あの、メルちゃんっ。
背中に、柔らかいものがっ。
……ほんとに15歳なの?
発育、良すぎねぇ?
ウンディが一緒に居たら、目から怪光線出しそう。
まあ。
そんなこんなで。
オレ。
全身を、執拗にごしごしと洗われてしまいました。
なんか。
股間とか首筋とか、めっちゃヒリヒリするんですけど。
「毎日ちゃんと洗うんですよぉー?」
「ま、毎日は遠慮したいです」
「メテル様! 私、ちゃんと覚えますから!」
何を覚えるんだ、何を。
言っておきますけどっ。
オレ、そういうことする女性、求めてませんからね!
「はぅっ、よ、夜伽も頑張り……」
「いらねぇからマジで!」
さぁさぁ。
お風呂上がったら。
マークさんとユリちゃんのー。
愛の巣に、突撃だっ。




