表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/200

146話 オレ、どろどろヌルヌルになる

「ふえぇ。ぱんつの中まで、びちょびちょ」

「具体的に言うなよ」


 ぷええん。

 だって。


 廃墟の地下、入り口。

 苔と地下水で、床がぬるぬるで。


 オレ、一歩足を、踏み入れるなり。

 ──元の下水道まで、一直線。

 全身ぬるぬるの、泥まみれでございます。


 そして。


「……? なんで盗賊の皆さん、前屈み?」

「自分の姿考えろよ……、全く、お嬢様って奴は」


 そういう首領のおじさんも、若干歩きづらそうに。

 あ。

 おじさん、お名前は?


「俺か? 俺はロック。こいつがラグで、こっちがセリ」

「ふんふん? オレはメテル、こっちは妹のサラム」

「令嬢姉妹で冒険者なのかよ。道楽も極まったもんだ」


 苦笑するロックさんの顔が、カンテラに照らされて。

 ……。

 きゃー、こわいー。

 ロックさん、精悍な顔つき……。

 いや。

 凄惨な、顔つきー。


「誰が顔面崩壊だゴルァ!」

「(≧▽≦)キャー」


 なんてお遊びをしながら、先を進む。


 早速人見知りさんを発動したサラム。

 女性の盗賊さんに構われてるみたいだ。

 先頭のオレと少し離れて、後方に居る。


 ……前衛なお前が最後方に居て、どうする的な気が。

 まあ、まだ魔物が出るような階層じゃないから?

 一応、問題はないのか。


 けども。

 とりあえず、落ち着ける場所を探さないと。

 でなきゃ、オレ?

 びちょびちょの服、乾かして貰えないからな。


 サラムの、火の権能。

 火力については、問題ないけど。

 焔なので、酸素を猛烈に消費する関係上。


 オレらは、平気だけど?

 開けた空間で、燃やさないと。

 半自動的に、盗賊の皆さんが窒息しまする。

 皆さん松明を使ってないの。

 たぶん、そういうのを警戒してかな、と。


 そして、オレ。

 大精霊だから、風邪を引くなんてのはないけど。

 ぱんつや乳バンドの中まで、苔や泥でぬるぬるなので。

 さすがに、感触が気持ち悪い。

 ウンディがいれば、清水でシャワれたんだけどな。


 で。


 簡単な紹介して貰った、他の盗賊さんたち。

 ラグさんは、長身で細身。10代後半? 得物は短剣ぽい。

 セリさんは、女性っぽい。20代前半? 得物は短弓。


 ロックさんは、30代越えかな? 背中に背負ってるけど。

 盗賊が長剣使いって、珍しいんじゃないのかな?

 ロックさん、見た目は超いかついけど。

 三人の中で、いちばん格上みたいだ。


 その三人はそれぞれ、班をまとめてるみたいで。

 数人の手下を連れて、周囲を探索している。

 見た目だけじゃ、よく分からないけど。

 それぞれの班で、役割分担があるみたい。


 盗賊ギルドって、行ったことなかったけど。

 確か、冒険者にも盗賊って、居るよね?

 斥候……、レンジャーっていうんだっけ?


「ありゃ同じ盗賊でも、役割が全然違うんだよ」

「へえ? どんな違いが?」

「斥候は戦闘系で屋外か地下の探索専門、俺らは裏仕事」

「裏仕事……。傘を作ったり封筒を折ったり」

「そりゃ内職だろ、全然違うわ!」


 ごとん、ごりごりっ。

 適当に話しながら、道を塞ぐ落盤した瓦礫をどけていく。

 ほら、オレを連れてきて良かったでしょ?


 ロックさんたち。

 目を見開いて、驚きまくってますね?


 いやっ。

 これでも、地の大精霊ですからっ。

 地下は、オレの領域ですよぅ。


 ──似たようなことを、どこかで言ったような。

 オレサマ、オマエラ、マルカジリ……。

 うっ、頭が。


「そんな細っこい体で、なんっつー怪力だよ……」

「へへーん、褒めて褒めてっ」

「ああ、偉い偉い。再崩落に注意しろよ嬢ちゃん」

「嬢ちゃんじゃないよ、メテルだよー」

「ああ、偉いぞメテル嬢ちゃん」


 むう。

 子供扱いは、止めてくれないらしい。

 そこ、セリさんたちっ。

 くすくす笑わないっ。


 セリさんの班は?

 なんか、オレと同じくらいの年少者が多いな。

 セリさんを、姉貴とか姉御、とか呼んでるけど。

 家族なのかな?

 ずいぶんと、姉弟多いっぽい。


 ──サラムも自然に姐さん呼ばわりしてるのが、また。

 お前、意外と子どもに溶け込むの、早いよな。


 そして。

 なんか、妙に殺気立った目線が。


 ラグさん?

 と、班の皆さん?

 後ろから投げナイフでも飛んできそうな、目つき。


 ラグさんの班は、男性のみというか。

 ラグさんが班の中で最年長なのは、セリさん班と同じ。


 だけども。

 こっちの班は、荒事に慣れた感じが凄く、する。

 ヤバイ系の匂いを、放ってるというか。


 ええと。

 オレ、何かしましたっけ?


「──ロックに構われて、いい気になるなよ貴族め」

「……え、そっち?」


 すれ違いざま、耳にぼそりと。

 ラグさん、ひたすら寡黙ですが。

 どうも?

 ロックさんに、強烈な忠誠心ある様子で。


 そのロックさんは、御母君に仕えている、というか。

 御母君に、使われてるんだよね?

 御母君からの仕事が嫌なら?

 断るか、別の土地に移るなりして逃げられそうなのに。


 なんだか。

 この、盗賊団?

 関係性が、不思議ふしぎー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

──少しでも面白いと思ったらっ。評価ボタンを押して頂けますと、感謝感激でございますっ。──


小説家になろう 勝手にランキング

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ