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111話 御母君から雑に扱われるなど

1,700ポイント突破ぁ。

……わぁい!

 緊迫した雰囲気の中。

 ……にゅるりん!

 と、オレが取り出しましたるは。


「単分子ワイヤー!」


 気分は西新宿の煎餅屋。

 いや、魔界医師にセクハラされるのはごめんだけど。


 金属全般に権能が効く、オレ。

 権能が効く、ってことは。

 自在に形状を操れてしまうのだ。

 つまり。

 新しい遠距離武器、であるっ。


「ちょぉっ!? メテルちゃんまっすぐ飛ばせよ!?」

「……なまじ見えづらいから、タチが悪い……」


 怒られた。

 しくしく。


 マークさんとサラムの肩越しに?

 びゅいんっ、と先端飛ばして樹人を刺し貫いた。

 ……までは良かったんだけどな。


 地の精霊力が、薄いもんだから。

 本来なら、貫いた部位に通した地の精霊力を、爆散っ。

 ……する、技だったんだけども。

 樹人さんが、お暴れになられますので。

 貫いた部位で、金属糸が絡みまくりまして。


 樹人さんの移動で、当然ながら金属糸が空間横断の結果。

 中間の障害物を、片っ端から斬ってしまっております。


 ……。

 気分は。


「薙ぎ払え!」


 どうした、それでも世界を滅ぼした云々的な。

 ツッコミ不在って、寂しい。


「だから、そういうことなら俺らの後ろからやるな!?」


 危ないですよね。

 あるぇ?

 オレ、華麗に中衛で遠距離攻撃、の予定だったのにな。

 ううむ。

 まあ。

 ワイヤーが、ダメってわけでないので。

 使い方を、変えませう。


 ……ぴゅいんっ、ぴゅぴゅぴゅぅん!

 一メートル程度の長さに調整した、金属ワイヤー。

 それを、樹人に適当に投げつける。

 確かに、普通の樹人よりも相当に、動きが速いけども。


 逆に、動きが速いからこそ。

 オレの強烈な強度持ってるワイヤーを受けたら?

 面白いくらいに、体に絡む絡む。


 そのまま、自分で自分の腕や足、斬れたり転倒したり。

 うむ。

 危機的状況は、脱したと見ますけども、御母君?


「ちょっと待って。なんだか、妙に空気が薄くない?」

「ああ、確かにそんな気はしていましたね」


 御母君と全身汗びっしょりの、マークさん。

 言われてみれば。

 たかが一回の戦闘で、妙に疲れてますよねマークさん。

 一応、歴戦の冒険者なのに。


「一応は余計だっ!?」


 あ、失礼。

 いやでも、マークさんの戦闘、初めて見たけど。

 威力は軽いけど、動きがかなり速いですよね。

 人間でないサラムと比較しちゃ、いかんのだろうけど。

 ここぞの一発のときは、サラム並みかも?


「どうせ力ねえよ俺は。だけど、手数で押すからな」


 なるほど。

 片手剣に革鎧な軽装なのも、攻撃回数稼ぐためか。

 ああ、だから。

 いつものパーティだと?

 レイドさんっていう、盾専門と組んでたんだなあ。


「ぐ。確かに、盾役こなすには柔らかいけどなあ」

「どれどれ」

「ひゃぅ!? そこが柔らかいのは当然だろ?!」


 もみもみ。

 うん。

 手のひらから溢れる脂肪。

 とてつもない柔らかさでした。

 いや。

 革鎧の隙間から、手を入れてみただけですけども。

 筋肉では、ありませんでしたね?


「ちゃ、ちゃんと筋肉で下支えしてんだからな!?」

「ほほう? では今度、じっくりねっとり」

「……メテルちゃん? 言動が、おっさんくさいぞ」


 ええ、まあ。

 中身、そのまんまおっさんですし。

 むしろそれ、褒め言葉ですよ。


「馬鹿やってないのよ。うーん、この先は人間だと……」


 御母君、パーティリーダーですもんね。

 調査続行かどうか、迷い中のご様子。


 マッパーなラティーナちゃんによれば。

 通路の、この先も登ってるのなら?

 地表を超えて、世界樹の幹の中に侵入してくのでは、と。


 ──。

 つまり。

 精霊力が妙に薄まってくのも。

 空気が高山みたいに薄く、苦しくなってくのも。

 世界樹の根が、周囲の力を取り込んでるせい、的な?


「そういうことかもね。じゃ、帰りましょうか」

「え? 御母君、帰っちゃうんです?」

「調査探索ですもの。危険性が見えれば、十分よ」


 危険を犯すなら、娘たちを連れて来ないわよ、って。

 えー?

 そうかなあ?

 どちらかというと。


「ママ? ボクらなら、平気だと思うの」

「サラムちゃん? え、ああ。そういうこと?」


 うむり。

 オレら、四姉妹。

 ぶっちゃけると、そもそも『呼吸してない』し。


 外見上、人に見せかけてるだけで。

 体内に保持してる精霊力で、動いてんだよねオレら。


 なので。


「うーん。メテルちゃん、暴れないって約束できる?」

「そこは娘の心配するところじゃないんですか御母君」


 四肢欠損しても死なない不死身の娘だから?

 そういう考えには、至らなかったそうです。

 ……。

 御母君、だんだんオレの扱い、適当になってません?


 ま、まあ、とにかく。


「じゃ、ここで待ってるから。あまり待たせないでね?」

「うん、ボク、頑張って来る!」


 サラムが妙にやる気、見せてるから。

 姉妹で、進んでみるか。


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