表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/200

11話 冒険者さんたち、お世話になります

100ポイント達成ーっ。

どんどんぱふぱふー。

ありありありあり、ありがたやっ。

今後とも、よろしくお願いしまーっす。

「ほーら、高いたかーい!」

「「わああぁぁぁぁ!! もっと、もっとー!」」


 ……正直、超絶に意外だ。


 ごっつい筋肉なおっさん冒険者。

 全身傷だらけの鎧に、背中には大きな両刃の斧。

 見るからに、歴戦の勇士、そしてベテラン冒険者。


 そんな猛者が、上手く妹たちを構っている。

 ……ていうか。

 オレよりあやすの上手いんじゃなかろうか。

 なんか、負けた気がしてならない。


「ああ、レイドさんは上の子が同じくらいだからねー」


 子持ちの冒険者も、いるんだ?

 なんか意外。

 結婚して所帯持ったら引退するイメージだった。


「えとえと、えーと。じゃ、しばらく、お願いしまーす!」

「シルフィちゃんの頼みじゃ仕方ねえな!」


 野太い声の、豪快な笑い声がセットの返答。

 男性冒険者──レイドさんまでシルフィの知り合いかよ。

 ……オレ、知り合い、少なすぎない?

 お向かいの鍛冶屋のおっさんと朝、目礼する程度だぞ。


 ていうか、たった半年で交友広げてるシルフィが、凄い。

 そのコミュちから、オレにも分けろ。


 と。

 受付嬢さんが手招きして、オレもシルフィの後に続く。

 通されたのは、受付の二階。


 裏の酒場兼宿屋は、二階が宿になってるのは知ってる。

 けど、冒険者ギルドの二階は事務室になってた。

 壁が薄いのか、隣の宿屋の喧騒が壁越しに聞こえる。


 無人でもなく、何人かの事務員さんが書類整理してる。

 その書類が積まれた机の横を抜けて、奥の部屋へ。


 奥の部屋は、どうやら少し狭い倉庫みたいな場所だった。

 天井は少し高いが、両サイドの壁は棚でいっぱい。

 棚には書類と道具がごちゃごちゃに詰め込まれている。

 ていうか、床にもなにかの道具が散乱しまくり。

 明かり取りの窓があるにはあるが、とても暗い。


「ええっと、どこにしまったかしら……。ごめんね狭くて」

「あ、いや、別に構わない、です」

「敬語要らないわよー? これから一緒に頑張る仲間だし」

「あ、そうか。専属、みたいな?」

「専属ってわけでもないけど……、あった!」


 どうやら目的の物を見つけた受付嬢さんが、振り返った。


「ギルド受付嬢、セラよ。今後とも、どうぞよろしくね」

「「よろしくお願いしまーっす!」」

「うん、いい返事。冒険者は元気がいちばん」


 狭い倉庫部屋を奥に進むと少し広がっていて。

 一人用のテーブルみたいなものがあった。


 天窓がこの真上にあるから、ここだけが明るい。

 そのテーブルの上の書類束や本を押しのけたセラさん。

 セラさんは、何かの準備を始めているようだった。


 テーブルの上に乗せられたのは、水晶玉。

 といっても、そう大きなものではない。

 せいぜい、片手で掴んで持ち上げられる程度。


「ごめんなさいね、新人が入るって珍しくて」

「いや、入れてくれるだけで有り難いし」

「他の街なら登録専用の部屋があるんだけど」

「あ、それで倉庫で」

「ほんっとに、ごめんね?」


 いや、その程度で怒るわけもない。

 屋根も仕切りもない屋外で、数万年過ごしたオレたちだ。

 この程度、謝られるようなことじゃない。


「いや、全然構わないです。それ、何ですか?」

「魔力を……、計る魔道具? かな、かなかな?」

「あらシルフィちゃん賢い。正解よー」


 なんか妙に静かだと思ったら、コレをガン見してたのか。

 シルフィのやつ、魔法関係のアイテムに目がないからな。

 そういえば、身体がない頃でも魔法具作ったりしてた。


「んじゃ、こっちの冒険者登録用紙に記入してくれる?」

「あ、はい。ええと……」

「名前と年齢だけでもいいわよ。文字は、書けるわよね?」

「はい、書けますよ。オレら一応、魔法屋の娘ですし」

「だよねー。そっか、こんな大きな娘さんたちがねえ」


 何か、感慨深げな目で見られた。


 そういえば。

 親父殿とこの街の住人って、どんな関係なんだろ?

 オレらが来る前から、街に何十年も住んでるんだよな?

 初めて会ったとき、世界を放浪してる、って言ってた。


 こんな身体にされて、無理やり押しかけちまったけど。

 もし親父殿が結婚してたら、大騒ぎだったよな。

 ていうか、親父殿ってそういう相手、居たのかな?


 そろそろ頭頂部の毛がヤバそうな親父殿が脳裏に浮かぶ。

 いや、ないな。

 うん、ない。

 あったら、生涯のネタになると思う。


 オレたちの生涯って、たぶん不滅だけど。

 不滅の鉄板ネタ。

 なんだそれ。


 自分で自分のネタにややウケして、くすりと笑う。

 と。

 途端に、セラさんが赤面して、オレから目を逸らした。

 シルフィも、なんで口元覆って俯くんだよ。


「うわあ。なるほど、シルフィちゃんが自慢するの、解る」

「でしょでしょでしょ? ねぇねぇ、解りるれでしょ!?」


 がしっ。

 女性二人で手を繋いで、解り合わないで欲しい。

 なんか、とてつもない疎外感を感じるんだが?


 ほんとみんな、何なんだよ。

 オレの顔、そんな変なの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

──少しでも面白いと思ったらっ。評価ボタンを押して頂けますと、感謝感激でございますっ。──


小説家になろう 勝手にランキング

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ