105話 エルフ女性を、撃墜してしまった
1600ポイント、超えましたっ。
いつもありがとーございますぅ。
シルフィの子供っていうか、ちび風精霊の五つ子。
スライムに変わってはいるけども。
精霊力が満ちれば、また子供の姿になる、ということで。
エルに任せて、世界樹の中で安眠。
子供は寝て育つものだし?
心配ないなら、詳しいエルにお任せしよう。
じゃ、任せたぜ、エル。
「うん、ママも楽しんでね!」
「あいよ」
ちゅっ。
……サラム、なんで殺意籠もった目で見てるんだ。
お前も、するか?
「うぇっ?! あ、ぼ、ボクはべ、別に」
遠慮すんな、姉妹じゃないか。
ほれ。
むっちゅぅぅぅ。
──失神するほどのことか?
ぴくぴく痙攣してたサラムが正気に戻った頃に。
下から、音速ソニックブーム撒き散らしながら。
うちの次女が、かっ飛んで来たなど。
「あ、案内ね、やるやるやる、すぐやるー!」
「オイ。カイルくん、どうなった?」
頑なに答えないシルフィ。
顔に滝汗が見えるので。
たぶん?
他人にはお聞かせ出来ないことになってるんだろう。
……成仏してね、カイルくん。
「死んでないから!?」
親父殿のやることだから。
生かさず殺さずの調整が、きっと絶妙なんだろうなあ。
カイルくん、結婚したらここで一緒に住むの?
「けっ、結婚とか、まだ早いし……、き、決めてないっ」
ほんとにウブだよな。
やることやって、とっととくっつけと思わなくも。
「そういうおねーちゃんは、どうどうどうなのよぅ!?」
オレ?
いやオレ、男とそういうことする気、ないし。
……なんだよ?
そもそも。
尊敬する男性って、体をくれた親父殿くらいで。
特別な男性、みたいな人間、居ないんだぞオレ。
……中身がごく普通のおっさんだって、忘れてるだろ?
そんなことより。
案内だよ案内。
何気にエルフの里、初体験なんだからオレら。
「えとえと。み、右手に見えますのが、世界樹の幹で……」
「右手っていうか、視界全部世界樹なんだけどな」
「左手に見えますのが、世界樹の枝で……」
「左手っていうか、前後左右全部枝だらけだけどな」
案内になりませんでした。
妹が軽くキレてるのが可愛いので、しばらくほっとこう。
「って。そろそろお母様が着くんだから、歓迎準備!」
「ほぇ? なんで御母君が来ちゃうんだ?」
「めーちゃんの精霊核材料探しの一環でしょ!」
……。
あっ。
すまん。
完全に、忘却していた。
ウンディが水で作った自前の体、スライムになって。
オレの五体、精霊核に戻ったもんだからさ。
「人に抜けてるとか言える義理じゃ、ないじゃんじゃん!」
「やかましい。姉に逆らう妹は」
「ひぃっ、指わきわきっ!? さ、さーちゃん身代わり!」
「やぁん、アレ変な気持ちになるからダメぇ!?」
……妹らを全力で堪能しておいた。
周囲のエルフ女性たちから?
めっちゃ、熱い視線が刺さるのは何故だろう。
──。
にやり。
目隠しを軽くずらして。
ニヒルに、流し目。
あ、やっぱり。
ぱたぱたと、倒れていく女性陣。
た、楽しい。
この力を、『眼力』と名付けよう。
前世でどこかの国のエージェントに居たな。
あれは美少年限定だったっけ。
オレのは、女性限定みたいだけど。
「めーちゃん!? エルフを撃墜しないで!?!?」
あ。
女性陣が、ぽろぽろ枝から落ちていく。
捕まえねば。
オレとシルフィ、サラムで、捕獲捕獲。
大漁だなあ。
てか、ほんっとに女性、多かったんだな。
……。
あの、メラニアさん?
意識、ありますよね?
抱き抱えておいて、なんですけど。
この、がっちりオレの首に巻き付いた腕は、一体?
「メテル様、どうか閨をお命じに」
「間に合ってますので」
女性は、好きだけど。
そういう行為には、興味ないんですよー。
「あれだけアタシたちを蹂躙しておいて……」
「メテル姉、ボクが先なんだからね!」
だから、サラムよ。
お前はオレと何をどうしたいんだと。
そんな感じで、軽くエルフの里を混沌に陥れてたら。
ダークエルフの里の先。
入り江に、黒船が入港するのが見えた。
長らくの航海、お疲れ様だ。
ウンディと、御母君が到着したんだな。
じゃ。
お迎えに、行くとしようか。
「先に後始末、つけてよね!?」
「はっはっは。シルフィ、後は任せたっ」
三十六計、逃げるに如かず。




