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ハイテクイジメ

登場人物


・皆護 未来 みなもり みらい

・忌惰 渋嫌 いまだ じゅんや

・山本 拓海 やまもと たくみ

・隣内 将光 あわち まさみつ

・虱磯 凡隙 しらいそ ぼんすけ

・杉沢 朱暁 すぎさわ あける

・貨蕩 励歌 かとう れいか

20xx年××月××日


その日、皆護さんは花壇の垣根を修理していた。

垣根はさっき山本君が思いっきり蹴り飛ばした拍子に外れたものだ。



ーーーーーーーーーーーーーーー



すーぎーちゃーん!ちょっとぉー!


・・・


ねーねーねーすぎちゃーん

ちょっと用事あるんだけど屋上来ない?


・・・何?別にここで・・・


そう答える杉沢に階段の踊り場で話し掛けているのは同級生の虱磯だ。

答え終わる前にもう2人の同級生が下階から登って来て鉢合わせた。

忌惰と隣内だ。


なになに?すぎちゃん遊び?俺らも混ぜろって(笑)


3人にプロレス技を決められ羽交い締めにされた状態で屋上まで運ばれる杉沢。


やめっめろって!


一瞬、杉沢は階下でこちらを見つめながら立ち尽くし絶句している山本と目が合ってしまった。

が、すぐに山本に目を反らされてしまった。


屋上のドアを開けるとそこには貨蕩が居た。

杉沢は屋上の床に叩き付けられる。


ぐっ


杉沢は唸る様な悲鳴をあげた。


そんな杉沢に貨蕩は容赦無く腹に蹴りを入れた。


「オイッ杉沢!」


ッぐ


杉沢には貨蕩の蹴りはそんなに痛くは無かったが一瞬他の3人に蹴られたのかと鋭い恐怖を感じた。


あ・・・ありがとうございます。


杉沢は精一杯の皮肉を発した。

3人の高笑いが屋上に響く。



「ねーアンタ○○区に転校するんだって?本当?」


呆れた様な表情で貨蕩が質問した。


ああ・・・うん。そうだけど。


杉沢が答える。


「そっか・・・じゃ悪いんだけど中学2年間の記憶全部消してくんない?」


貨蕩が学生鞄から何やら黒いヘッドフォンの様な器具を取り出した。

杉沢は貨蕩の言葉の意味が暫く計りかねていたが何かに気付いた途端に体を起こして階段へと走り出そうとした。

すかさず隣内が足を掛ける。

虱磯の逞しい左脚が仰向けに転倒した杉沢の水月を踏み潰す。

声が出ない程の激痛が走り杉沢は体を丸く屈めた。


流石に知ってたねw


貨蕩が満面の笑みを浮かべケタケタと笑う。

貨蕩が手に持っているものはヘッドフォンでは無い。

それは13年前に某国の海賊版家電メーカーが生産した約千個に1個の割合で数分間視聴し続けると深刻な記憶障害を起こす欠陥不良品があるとして世界中で大騒動に発展した高周波式退行催眠導入VRゲーミングゴーグル、L-9(通称ルナイン)シリーズだった。


やめ!やめて・・・・お願いだ!そんな・・・それだけは許して下さい!


掠れる様な声で悲鳴の様な声を上げた。


あ?何指図してんの!

杉沢の癖に!

わかった、もう絶対に許さないから。


いや、その、ごめんなさい!

ナンデモ・・・何でもします!

だから許して下さい。

お願いします。

許して下さい!許して下さい!


だって杉沢きしょいじゃん?

どうせ女子の事とかいっつもエロい目で見てるんでしょ?

この前のニュース見た?


え?え?


ほら、自分の脳内記憶映像を読み取って学生時代ガン見してた女子生徒達のVR児童ポ○ノ製造して捕まったおっさん居たよね?


そんな・・・・た、確かそいつ軍用の記憶盗聴機を海外から密輸したって元官僚のボンボンの○○○○容疑者の事だろ?

俺がそんな事する訳が無いだろ!そんな金もコネも動機も一切ねぇよ!


ゴッツ


「んぐ・・・」


虱磯の蹴りが杉沢の腹に入った。


はぁ?杉沢の癖に何言ってんの?

お前なんかどう見ても○犯罪者予備軍に決まってんじゃん?

いっつも女子達の事エロい目で見てる癖に!


はぁ?いや、俺3次元の女なんて一切興味ねぇし!信じてくれよ!


ゴッ


忌惰の踵が杉沢の背中に振り下ろされた。


ぐぅ・・・ごあ・・・・


だからそれこそが犯罪者予備軍の動かぬ証拠だっつってんだろうが!(4人ハモリ)


アタシの人生アンタみたいなクソゴキブリのせいで台無しにしたく無いのよ?わかる?

アンタみたいな○犯罪者予備軍が生きてる事自体が間違いなんだから!



うわぁ嫌だ・・・嫌だ・・・・・

うわああああああああああ








皆護未来は花壇の垣根を修理している。

彼女の対生命蔑視毀損行動抑止及び防災プログラム(EKUNAIリミッター)は既に解除されている。

EKUNAIリミッター解除レベル2の彼女は何かあれば屋上まで一瞬で杉沢の所へ駆け上る事が出来る。

だが、そうはしない。

前もって貨蕩のL-9を破壊しておいたのだ。

起動しても電源LEDしか点滅しない。

勿論万が一の為にリミッターをレベル2まで解除しているのでいつでも駆け付ける事が可能である。

警察のデータベースへも既に通報済みだが現法規に従えば日本警察にイジメを摘発する権限は無い。

それは皆護の仕事である。


おい、どこかに居るんだろ?

たすけてくれえええええ!

1万校に1体は必ず居るんだろ?

今がそうだ!今だ!今しか無い!

助けてくれええええええ!



「へへへ何だコイツ?」


「ひひひ効果覿面w」


「いいねぇw頭おかしくなってきたんじゃねーの?」


たすけてくれえええええええええええええ!


「・・・は!コイツ、もしかして特定機密教材を呼ぼうとしてるんじゃ?」



え?ま、マジかか!?


チクリマシン?嘘だろ?このガッコにあんのか?


くそ、畜生!ふざけんな!ふざけんな!


黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!


隣内が杉沢の口内に爪先を突っ込んだ。



・・・・・誰も来ないみたいだけどハッタリ?


は~クソ!脅かしやがって!ビビったわw


1万校に1体だからなwまー運が無かったな?へへッw


そうそう都合良く奇跡なんて起こらねぇって事だな。



皆護「失神した様ですね。心拍数、呼吸共に異常無し。窒息の恐れ無し。杉沢君、あなたの無念、私が絶対に忘れません・・・」



RECモードにより皆護の瞳は地獄の業火の如く輝いている。

この赤色は人間には不可視光帯であり姉妹以外は認識出来ない仕様になっている。

皆護の操るミニドローンによってイジメの一部始終は屋上から録画されていた。


「嫌な仕事・・・本当は今すぐ助けに行きたい。でも、私は・・・これが私の仕事(やりかた)だから。私にしか出来ない事だから。」



きひひくくく・・・・ははは・・・・




「!?・・・アクシデント。シミュレートに無かった!失神からの覚醒が早い!まだ起きちゃ駄目!」



へへっとうとうおかしくなったぜ!


はっwいい気味ね?


よし、撤収するぞ!L-9(それ)ちゃんと捨てとけよ?


おkおk川に捨てとくわ!


屋上に取り残される杉沢。







・・・任務完了、リミッター再起動まであと10秒カウントダウン入ります・・・・9・・・





「ひひひ・・・やっぱ上級国民学校エリアにしか配置されてないって噂・・・マジだったんだなw」


違う・・・5・・・


「あれだよな?特異能優秀人材(ウーバーギフテッド)の自殺率が極端に高いって学説が出されてから危機感を覚えた政府が試験的に導入した制度だって噂だし・・・最初に導入運動起こしたのも富裕層だし・・・結局こんな納税率の低いエリアには・・・馬鹿学校には・・・・絶対に配置される事は無い!・・・・永久に無い!・・・・誰も俺に何の興味も無い・・・・」


・・・・待って・・・2・・・私は・・・リミッター再解除!間に合って!・・・・1


「クソ!クソ!舐めやがって!クソ!クソ!死んでやるよ!死ねばいいんだろ?わかったよ!

産まれて来て悪かったなぁあああああああああああああああああああああああ!

死んでやるよおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

死ねばいいんだろおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


屋上フェンスに向かって走り出す杉沢。


バターン!

(屋上のドアを開ける音)


まったあああああああああ!


しゅぅぅぅぅ(リミッターレベル2再解除して全力疾走しシューズから摩擦湯気が出ている描写w)





・・・・・え?

・・・・・・・・・え?

来てくれた?

でも何で、皆護が?

え?マジか・・・え?

でも皆護だぞ・・・・え?

いや、皆護ってそういや今にして思えば異様に空気読むの上手かったり・・・・え、でも天然だし・・・いや、え?いやでも・・・え?


あ、あ、あの・・・・いい天気だなぁ・・・って・・・こ、こんにちわ!す、杉沢君!


てか、やっぱり皆護が特定機密教材なの?


うわぁ(バレた・・・どうしよう・・・)







続く

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