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魔法使いの猫  作者: 麗羅
4/5

本当に勘弁してほしい

と言うか、漫画家で思い出したけど、今月。いつもの連載に表紙、短篇依頼されてた気がする…………。全くネームの相談受けてないけど、大丈夫なのか?

「ねぇドロワ」

「なぁに、ノアくん。

……あ!!写真は消さないよ!?」

いや、それどうでもいいんだけど。なれたし。

「今月、短篇の依頼されてなかったっけ?KAMIKAWAから」

ドロワの顔が、一瞬にして固まる。ねえ、まさか忘れていたとか言わないよね?

今月に入ってもう上旬を過ぎようとしてるっていうのに。宮田さんから催促の電話やメールだって来ていない。

「わ、忘れてた…………。そういえば最近パソコンつけてない……、」

最、悪っ。掃除とかでバタバタしてるっていうか、ライトを呼ぶ以前の問題だ。仕事を任されているんだから、メールはしっかり見とけよ………と思わなくもないが、ドロワたちの師ヒュースさんからの言い付けを片付けていたのだから仕方ない、かな。

「今日中に仕上げないとライトには会わせないから」

「無、無理だよぉっ!!」

「全部と入ってないだろうが、この馬鹿。宮田さんに見せなきゃいけないだろ、ネーム」

それにハッとしたドロワに頭が痛い。お前は集文社の新妻エ◯ジか。ネーム無しでやらせたら何仕出かすか分からないからなぁ。

因みに、前やらかして宮田さんにコッテリ絞られてた。「宮田さん、恐い……」と嘆いていたのは自業自得と思う。今回だって、絞られると思うよ?メールに返信すらしてないし、音信不通だったからね。

「ならさっさと作業しなよ。宮田さんには僕が取りなしといてあげるから」

「の、ノアくん」

なにその心底、貴方神ですか!!と言いたげな表情は。溜め息を吐き、僕はパソコンを立ち上げた。


「これでよしと」

有言実行し、宮田さんには、ドロワが家の都合で家を空けていたことにした。ま、半分は嘘だけど魔法の事は門外不出。作品の中でしか明かせないからね。

ドロワには、その間作品のネタを考えさせていたけど、全く進行していない。………ライトに会いたくないのか?と聞きたいくらいだ。

「ノアくんどうしよ……。なんにも思い付かないや…」

悲壮な表情を浮かべて、ボールペン(メモ用紙に箇条書きで設定を書いてる時に使用するもの)を手から落とすドロワ。

……仕方ない。少し考えてあげるか。

いつも書いているのが、魔法のまの字も出ていない学園物(妖怪だの陰陽師だのはバンバン出るが)だ。陰陽学園と言うタイトルだけど。

「魔法ネタをやれば?ドジな宮廷魔法師としっかり者な幼馴染みの王子とか」

まんまドロワとライトなイメージである。実態は兄弟子と妹弟子だが、短篇なのだ。ま、思い付けばいい。連載にしなくていいんだから。

「うーん………んっ!!思い付いた!!ありがと、ノアくん!!」

ドロワは作画用の紙に、さらさらさらっとシャーペンと鉛筆で書いていく。この主は一度ネタをあたえれば、最後までプロットを考えてから絵を書く。ここまで来れば終わるか。僕はちらりと壁時計を見る。1時か。なら玄米茶でも入れようか、カフェインは目が冴えるだろうし。僕はそっとキッチンに向かった。


僕が去った後も、書き続け、そのまま仕事(ネーム)を終わらせたドロワは、電池が切れたようにペンを離して寝ていた。

………飲み物、いらなかったみたいだ。漫画家魂なのか、綺麗に原稿の無いところに寝ている。……………インク使う仕事やらせなくて本当によかったかも。

机のいらないものをなおし、ネームをファイルにしまってから、棚から毛布を引っ張り出して被せる。明日は少し遅めに起こしてやることにしよう。

「"gooD NighT et hava Nice DrEam"」

夢見がよくなる魔法をかけ、僕は電気を消した。

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