plo.
我輩は猫である。名前はノワールだ。どこで生まれたか、とんと見当がつかぬ。
……………いつまで続ければいいのだろうか。
「もー、ノアくん最後までやってよ」≪ヤダね≫
目の前でゴスロリを着て、プーッと頬を膨らましてカメラを構えている少女は僕の主人、ドロワ。これは本名ではなく、魔術師名である。
さて、さとい方は気付いたであろうが、彼女は魔法使い、魔女と呼ばれるモノで僕はその遣い魔だ。
僕は乗せられていた台から飛び降りる。ドロワはそれをみて渋々手を横に振った。すると回りの景色がどこか古めかしい路地裏から乙女チックな部屋に変わる。移動したわけでなく、幻術魔法でそう見せていただけなのだけれど。
ドロワはカメラをポイッとベッドに投げて椅子に座る。僕はその場で宙返りをして人間の姿をとる。
「ダージリンでいいよね」「うん。よろしくね」
ドロワの趣味で僕の格好は執事服をカジュアルにしたものだ。さて、ドロワの部屋に隣接しているキッチンで僕は茶葉やら道具を取り出し、ゴールデンタイムを守ってストレートで淹れる。勿論、カップなども暖めておく。これ重要。紅茶淹れたときにカップ冷たいと味変わるし。こうして徹底的に管理をしたお湯をポットに入れて、右手でティーコゼーを被せつつ、尾で砂時計を返す。
ドロワ本人は全く気にしていないけど、魔女なだけあって、ファーストフラッシュとか持ってるから気にして欲しい。
僕は全てをトレーに乗せてドロワのもとに戻る。僕のこだわりを知ってるからドロワは紅茶について僕に一任しているんだけど。でも気にしてくれないから遣り甲斐がないんだけどね。
さて、紅茶をドロワに渡して一息吐くとドロワは楽しそうにこう言った。
「明日、ライトとルーちゃんが来るんだって。何着ようかなぁ〜」
ライトって言うのはドロワと同期の魔法使い。因みに師匠、老師カールハインツさんに習ってるときからの付き合いだ。ルーちゃんとは彼の遣い魔の白猫ルーチェ。黒猫の僕とは正反対な女子だ。
ライト(光)にルーチェ(光)って、と始めは思ったけどルーチェには光って名がよく似合ってる。更に言えば、ドロワはライトの事が好きだ。くっついてくれたらおもしろいと思う。
僕はこのダメ主のために今日一日どうするか思考を巡らせた。